あっ、ここにも八番筋 ~ 「八番筋カウンシル」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

私の友達は、サラリーマン、脱サラ自営、跡取り自営、職人など、
生活の糧をえる手だてはさまざまです。

それぞれ苦労を背負いながらも、
しっかりと、あるいはなんとかやっている者もあれば、
商売をたたんだ者もいます。

    

八番筋カウンシル/津村 記久子 (朝日新聞出版、2009年)
¥1,470 Amazon.co.jp

Around 30 のタケヤスは体を壊して会社を辞め、地元に帰ってきました。
彼は小説の新人賞を受賞しましたが、まだ次の作品のオファーはありません。

彼と同じく地元の商店街"八番筋"に暮らす同い年の友だち、
ホカリ(女性)、ヨシズミ(男性)もそれぞれ実家の店を再開を考えています。
彼らは皆、母子家庭で育ちました。

ある日、同じ母子家庭で、追われるように町を去ったカジオが姿を見せます。

    

八番筋の青年会の連中の多くは、暇にまかせて噂好き。
そこに、八番筋の今後を左右する話が舞い込みます。

青年会の連中は賛否を論じたり、どちらにつこうか迷ったり。
そんな時期に、タケヤス、ホカリ、ヨシズミも青年部に巻き込まれます。

    

地元相手に商っていると、商圏の人たちの構成が変化したり、
時代の変化で扱っている商品やサービスが下り坂になったり、
跡取りがいなかったりして、商いを続けるのが難しくなることも。

商いの舵を大きくきろうとすれば、資金が必要になったり、
新たに商いのコツを身につけなおしたり。

そんな自営の人たちは、おいそれと、
勤め人ほどには柔軟に稼ぎの元を変えることができません。

    

でも、ちょっと考えてみると、
これって会社の中にもよく起きることです。

市場の変化に対して、経営の舵をどちらにきるか、あるいは切らないか。
結論にたどりつくために喧々諤(けんけんがくがく)々の議論が展開され、
結論が出たあとも、会社の中の意見は斑模様だったり。

    

卒業をひかえ、どんな道に進もうかと考える学生さんだって、
ひとり心のなかで、舵をどちらにきろうか迷うことはあるでしょう。

私も勤め先を変えようと考えたとき、
自分のなかで八番筋のオヤジやオバサンや若者のように、
あれやこれや自問自答して、心の中は喧々諤々でした。

    

どうやら"八番筋"は、
会社のなかにも、ひとりの心のなかにもあるようです。


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