どこか微妙に現実離れしているようで、
それでいながら痛みをもった登場人物たちの
感じていることやセリフがごく身近なものに感じる、
そんな物語のなんとなく宙に漂うような雰囲気は、
静かな季節になじむような気がします。
◆
つるかめ助産院/小川 糸 (集英社)
¥1,470 Amazon.co.jp
突然姿を消してしまった夫"小野寺君"を探しに、
"まりあ"が訪れたふたりの思い出の地の南の島へ。
ひょんなことから、
"まりあ"はその島の"つるかめ助産院"に泊めてもらうことに。
そしてしばらく島で暮らすことになります。
そんな日々を"まりあ"が"私は・・・・"と語ります。
◆
「人に嫌気がさしている」"私"が惹かれる助産院の先生も、
「私、もう人間なんて、こりごりなのよ」という経歴の持ち主。
長老、エミー、妊婦のナナコさんやサヨリちゃん、"さすらい"のハジメさん
といった島の人たち。
旅人サミー、ベトナム人のパクチー嬢、艶子さんら外からきた人たち。
みんな多くを語らないものの、それぞれ訳あり風です。
◆
"まりあ"は人に囲まれて心がゆるんでいく日々を語ります。
戸惑いながら、迷いながら、彼女の立ち位置をさぐります。
まりあが実体験から感じとった教えの強さは定着率も耐久性も抜群です。
◆
どんな心持ちで読んでも、この物語のどこかに、
なにかコツンとアタリを感じる言葉を見つけることができそうです。
"ゆるむ"と"ゆるす"。
どこか似ています。
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