夏の終りがうってつけ ~ 「海を感じる時」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

自身をふりかえってみれば、
高校生はさなぎのような時期だったような気がします。

3年たてば卒業して、
中学卒業とは比較にならないほど広い範囲に散り散りになります。

興味の対象が上級生だったりすれば、
彼女/彼は、先に行ってしまい、取り残されたようになります。

    

海を感じる時/中沢 けい (新風舎文庫)
¥691 Amazon.co.jp

「海を感じる時」と「銀の雫滴る岸」の2編を収録。

「海を・・・・」は、1978年の女子校生、"私"、中沢恵美子が、
働きながら学校に通うふたつ年上の恋人"高野洋"との恋と、
ふたり暮らししている母親との確執を語っています。

中沢けいさんのデビュー作。作者は当時18歳でした。

「銀の・・・・」は、やはり高校生で新聞部の"私"と、
林、田中、森原、野村たち上級生の男子との話。
こちらはデビューの6年後に書かれた作品。

    

1年生の時に、3年生に興味をもったとしたら、
知り合ってから3年生が卒業後の準備に入るまでの期間はほんの数ヶ月。
夏休みは、ふたりが高校生でおくる唯一の夏休みになります。

    

「海を・・・・」では

  今は、あんたと俺と理解し合える。でもどうにもならないな。
  結婚もできなりだろうし、・・・・

  親父によくにた顔しているあんたを育てていくのよ、
  にくったらしいったらありゃしないんだから


恋人から、母親から、こんな言葉を投げかけられる"私"です。

確固とした考えがありながらも、気持ちは揺れてあたりまえの
関係だし、年齢です。

高校生があたりまえの言葉で語る、等身大の高校生活です。

    

別に小説を読むのに季節や旬など感じることなどないのに、

この作品は、
夏が終える頃が読むのにうってつけのような気がします。


[end]

***************************************
<----左側の
①「ライブラリーを見る」をクリックし、
②ライブラリの各本の"LINK"をクリックすると
 その本を紹介した記事にとびます。
***************************************
ペタしてね