自身をふりかえってみれば、
高校生はさなぎのような時期だったような気がします。
3年たてば卒業して、
中学卒業とは比較にならないほど広い範囲に散り散りになります。
興味の対象が上級生だったりすれば、
彼女/彼は、先に行ってしまい、取り残されたようになります。
◆
海を感じる時/中沢 けい (新風舎文庫)
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「海を感じる時」と「銀の雫滴る岸」の2編を収録。
「海を・・・・」は、1978年の女子校生、"私"、中沢恵美子が、
働きながら学校に通うふたつ年上の恋人"高野洋"との恋と、
ふたり暮らししている母親との確執を語っています。
中沢けいさんのデビュー作。作者は当時18歳でした。
「銀の・・・・」は、やはり高校生で新聞部の"私"と、
林、田中、森原、野村たち上級生の男子との話。
こちらはデビューの6年後に書かれた作品。
◆
1年生の時に、3年生に興味をもったとしたら、
知り合ってから3年生が卒業後の準備に入るまでの期間はほんの数ヶ月。
夏休みは、ふたりが高校生でおくる唯一の夏休みになります。
◆
「海を・・・・」では
今は、あんたと俺と理解し合える。でもどうにもならないな。
結婚もできなりだろうし、・・・・
親父によくにた顔しているあんたを育てていくのよ、
にくったらしいったらありゃしないんだから
恋人から、母親から、こんな言葉を投げかけられる"私"です。
確固とした考えがありながらも、気持ちは揺れてあたりまえの
関係だし、年齢です。
高校生があたりまえの言葉で語る、等身大の高校生活です。
◆
別に小説を読むのに季節や旬など感じることなどないのに、
この作品は、
夏が終える頃が読むのにうってつけのような気がします。
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