もうずいぶんと前のことです。
早い時刻に家に帰るなり、ツレアイに言われたことがあります。
- うそでしょ。なに?その姿。
私は口をもぐもぐさせながら、スーツ姿で右手にブリーフケース、
左手には食べかけのフランス・パンを持っていました。
おなかが空いているけれど、夕飯にはまだ間がありそうだな、
と思っているところに、匂いに誘われてパン屋によりました。
駅前のその店のパンは私のお気に入りでした。
周りが硬めで中がふんわりとした焼きたてのパンをかじりながら、
歩いて帰ってきたのです。
◆
いままで、気に入ったパン屋が3軒ありました。
いずれも、自分で焼いて売る店でした。
残念ながら、いろいろな理由で3軒とも今はもう姿を消しました。
◆
うさぎパン/瀧羽 麻子 (幻冬舎文庫)
¥520 Amazon.co.jp
「うさぎパン」と「はちみつ」の2作はパンに因んだ作品です。
「うさぎパン」は高校生優子の恋とふたりの母親の物語です。
大学院で物理学を研究する家庭教師美和を通じて、
不思議な出来事がおこります。
「はちみつ」は美和の幼馴染み桐子の失恋後の物語。
桐子が勤める大学院の変わり者の人と出逢います。
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いずれの物語も焼きたてパンのように、
ふんわりと暖かで、自然な匂いがたちこめます。
その自然な匂いのする筆さばきのおかげで、
不思議なできごとやドンデン返しも、力むことなく読めました。
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この作品を読み終えたら、
またお気に入りのパン屋を開拓したくなってきました。
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