酵母の匂い ~ 「うさぎパン」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

もうずいぶんと前のことです。
早い時刻に家に帰るなり、ツレアイに言われたことがあります。

  - うそでしょ。なに?その姿。

私は口をもぐもぐさせながら、スーツ姿で右手にブリーフケース、
左手には食べかけのフランス・パンを持っていました。

おなかが空いているけれど、夕飯にはまだ間がありそうだな、
と思っているところに、匂いに誘われてパン屋によりました。
駅前のその店のパンは私のお気に入りでした。

周りが硬めで中がふんわりとした焼きたてのパンをかじりながら、
歩いて帰ってきたのです。

    

いままで、気に入ったパン屋が3軒ありました。
いずれも、自分で焼いて売る店でした。

残念ながら、いろいろな理由で3軒とも今はもう姿を消しました。

    

うさぎパン/瀧羽 麻子 (幻冬舎文庫)
¥520 Amazon.co.jp

「うさぎパン」と「はちみつ」の2作はパンに因んだ作品です。

「うさぎパン」は高校生優子の恋とふたりの母親の物語です。
大学院で物理学を研究する家庭教師美和を通じて、
不思議な出来事がおこります。

「はちみつ」は美和の幼馴染み桐子の失恋後の物語。
桐子が勤める大学院の変わり者の人と出逢います。

    

いずれの物語も焼きたてパンのように、
ふんわりと暖かで、自然な匂いがたちこめます。

その自然な匂いのする筆さばきのおかげで、
不思議なできごとやドンデン返しも、力むことなく読めました。

    

この作品を読み終えたら、
またお気に入りのパン屋を開拓したくなってきました。


[end]

***************************************
<----左側の
①「ライブラリーを見る」をクリックし、
②ライブラリの各本の"LINK"をクリックすると
 その本を紹介した記事にとびます。
***************************************
ペタしてね