時間というと、何時間とか何分といった単位が、
暮らし感覚になじむ気がします。
1,000年という長さも時間には違いありませんが、
ここまで長くなると、歴史という言葉の方がお似合いです。
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1,000年の間は何世代くらいにあたるかといえば、
30年で次の世代が生まれるとすれば33世代、20年とすれば50世代。
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千年樹。
なんとなく趣向が透けて見えそうですが、
手に取りたくなるタイトルです。
千年樹/荻原 浩 (集英社文庫)
¥600 Amazon.co.jp
1本のくすの木の誕生から、千年後の現在まで、
その木の周りで起きたことが語られる短編が8つ。
短編ごとにふたつの物語の流れ。
ふたつの流れにも互いの重なりや接点があり、
短編の間にもつながりがあります。
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1冊を読み終えると、というより8つの作品を通して読むと、
"うつり変わるもの"と"変わらないもの"を通じて、
千年の時間を味わうことができます。
そこには、
自然の過酷さもあれば、歴史に残る人の過ちもあります。
ずっと昔から、そして今でも人間が持つ、
命を守るための、欲のための、残忍さや冷たさがあります。
もちろん、ほっとする温もりも。
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千年の物語を読んだのに、
千年は長くもなく、短かくもなく、
むしろ、時間の感覚などどうでもよく、
ただ、ただ、ひとの「体温」が恋しくなる作品でした。
◆
千年の長さを実感したいと思ったら、
その時代のご先祖さまに呼びかけてみてもいいかもしれません。
ひいじいさん、ひいばあさんが私から4世代前ですから、
"ひい"を47回いうと1000年前の世代に呼びかけられます。
千年の長さを実感できそうです。
"ひいひい"言っているうちに、酸欠にならないようご注意を。
無理せず何度も息継ぎをしましょう。
それは自分には不向きと感じる方は、
この作品を読むのもよさそうです。
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