- 最悪の場合、両手両足が動かなくなります。
10年以上前のことになりますが、
体に異常を感じて医者に診てもらったところ、
こう言われたことがあります。
- 手足が動かなくなったら、何の仕事ができるんだろう?
もちろんショックはあったものの、すぐに入院することになっても、
その時していた仕事のことをあれこれと気にならずに、
治療と万一の場合の選択で頭はいっぱいになりました。
幸い今でも手足は動き、週末はジムで汗を流す生活です。
◆
145gの孤独/伊岡 瞬 (角川文庫)
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プロ野球で投手をしていた主人公、倉沢修介がある事故から引退し、
便利屋として接した人たちとの物語が4つ描かれています。
相手をチクリと皮肉る冗談めいたセリフを連発する倉沢。
あまり器用に人と接するタイプとは言えません。
ところが、倉沢が周りの人に向ける観察力は、
顧客となる人たちの境遇や気持ちを見透かしてしまいます。
◆
4つの物語を集めていても、短編集の体裁ではなく、
話は"第一章"から"第四章"と、長編として書かれています。
第一章から第三章はそれぞれ、次に続く章のためにあります。
だから長編。
徐々に見えてくる重いテーマと、登場人物たちの暖かな思い。
章が進むにつれ、ほお、と驚かされる展開が待っています。
◆
入院している間、ありあまるほどの時間がありました。
私は、万一の場合、どうやって暮らそう、
何の仕事ならできるだろうか、と考えを巡らせていました。
- 結果を出すにはメチャクチャ苦労するだろうけれど、
挑戦権だけはいろいろありそうだ。
この物語を読み終えて、
病院のベッドの上で、そう考えたことを思い出しました。
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