挑戦者 ~ 「145gの孤独」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

  - 最悪の場合、両手両足が動かなくなります。

10年以上前のことになりますが、
体に異常を感じて医者に診てもらったところ、
こう言われたことがあります。

  - 手足が動かなくなったら、何の仕事ができるんだろう?

もちろんショックはあったものの、すぐに入院することになっても、
その時していた仕事のことをあれこれと気にならずに、
治療と万一の場合の選択で頭はいっぱいになりました。

幸い今でも手足は動き、週末はジムで汗を流す生活です。

    

145gの孤独/伊岡 瞬 (角川文庫)
¥780 Amazon.co.jp

プロ野球で投手をしていた主人公、倉沢修介がある事故から引退し、
便利屋として接した人たちとの物語が4つ描かれています。

相手をチクリと皮肉る冗談めいたセリフを連発する倉沢。
あまり器用に人と接するタイプとは言えません。

ところが、倉沢が周りの人に向ける観察力は、
顧客となる人たちの境遇や気持ちを見透かしてしまいます。

    

4つの物語を集めていても、短編集の体裁ではなく、
話は"第一章"から"第四章"と、長編として書かれています。

第一章から第三章はそれぞれ、次に続く章のためにあります。
だから長編。

徐々に見えてくる重いテーマと、登場人物たちの暖かな思い。
章が進むにつれ、ほお、と驚かされる展開が待っています。

    

入院している間、ありあまるほどの時間がありました。

私は、万一の場合、どうやって暮らそう、
何の仕事ならできるだろうか、と考えを巡らせていました。

  - 結果を出すにはメチャクチャ苦労するだろうけれど、
    挑戦権だけはいろいろありそうだ。

この物語を読み終えて、
病院のベッドの上で、そう考えたことを思い出しました。


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