折り合いのつけ方 ~ 「彼女のプレンカ」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

無理やりに誰かに連れていかれたのでもなければ、

旅は、つまるところ、
  目的地に何かを探しに/求めにいくか、
  目的地の何かに惹かれて/呼び寄せられていくか、
  とりあえず、ここから逃れたいから
のどれかじゃないのかなあ、と思っています。

その旅の目的地が、遠かったり、たどり着くのが困難だったり、
制約が多いほど、どちらかに比重のかかり具合に偏りがでそうです。

    

「彼女のプレンカ」、「八月のベーダ」、
2編の旅の物語を収めた本を読みました。
タイへ、ミャンマーへ、とどちらも女性が東南アジアに旅に出ます。

彼女のプレンカ/中上 紀 (集英社文庫)
¥520 Amazon.co.jp

どちらの物語の女性主人公も、他の人と旅に出ているのに、
なぜか独り旅のような趣です。
現地の男性と女性と、徐々に関わりをもっていきます。

主人公に限らず、一緒に旅する人、旅先の現地の人、残してきた人、
登場する人たちがそれぞれに、折り合いを探っています。

    

前向きな挑戦に重きをおけば、壁をよじ登るように思え、
苦難を背負いこむような覚悟をすれば、跳び下りるように感じます。

流れに任せて状況を受け入れようと、
  何かを求めて町を出ようと、
    進んで苦難に飛び込もうと、
みんな折り合いをつけているんですよね。

    

恋人と、育った村と、家族と、自分の未来と、民族の血と・・・・・・
ごく身近なところにもころがっていそうな、
折り合いのつけ方が物語のあちこちに散りばめられています。


メインの物語の流れにくわえ、
もしその流れのどこかが違ったらこんなになるかも、
とも思えるようなもうひとつの物語が傍らを流れます。

「八月のベーダ」のラストにある、
この物語の主人公の折り合いのつけかたは壮絶です。


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