旅は、つまるところ、
目的地に何かを探しに/求めにいくか、
目的地の何かに惹かれて/呼び寄せられていくか、
とりあえず、ここから逃れたいから
のどれかじゃないのかなあ、と思っています。
その旅の目的地が、遠かったり、たどり着くのが困難だったり、
制約が多いほど、どちらかに比重のかかり具合に偏りがでそうです。
◆
「彼女のプレンカ」、「八月のベーダ」、
2編の旅の物語を収めた本を読みました。
タイへ、ミャンマーへ、とどちらも女性が東南アジアに旅に出ます。
彼女のプレンカ/中上 紀 (集英社文庫)
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F31PJW1MXV9L._SL160_.jpg)
どちらの物語の女性主人公も、他の人と旅に出ているのに、
なぜか独り旅のような趣です。
現地の男性と女性と、徐々に関わりをもっていきます。
主人公に限らず、一緒に旅する人、旅先の現地の人、残してきた人、
登場する人たちがそれぞれに、折り合いを探っています。
◆
前向きな挑戦に重きをおけば、壁をよじ登るように思え、
苦難を背負いこむような覚悟をすれば、跳び下りるように感じます。
流れに任せて状況を受け入れようと、
何かを求めて町を出ようと、
進んで苦難に飛び込もうと、
みんな折り合いをつけているんですよね。
◆
恋人と、育った村と、家族と、自分の未来と、民族の血と・・・・・・
ごく身近なところにもころがっていそうな、
折り合いのつけ方が物語のあちこちに散りばめられています。
メインの物語の流れにくわえ、
もしその流れのどこかが違ったらこんなになるかも、
とも思えるようなもうひとつの物語が傍らを流れます。
「八月のベーダ」のラストにある、
この物語の主人公の折り合いのつけかたは壮絶です。
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