「天の夕顔」
70年ほど前に、中河与一という作家が書いた小説です。
天の夕顔/中河 与一 (新潮文庫)
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30年くらいに及ぶ、男性と年上の女性の恋と愛が書かれています。
◇
京都と神戸に住むふたりは、
逢う機会も限られ、
ふたりの間のやりとりは手紙に委ねられます。
現代のように
メールで、毎日、頻繁に連絡しあうことはおろか、
ふつうの家には、まだ電話すらない時代です。
昭和初期は、倫理感もいまとはかなり違います。
今の時代からみると、
なんとももどかしく思われる物語かもしれません。
◇
手紙を出して、返事を手にするまでの何日間かを、
相手のことを考えてすごしているうちに、
ゆっくりと熟成されていく想いもあるのでしょう。
ゆっくりと暖められた想いは、冷めにくいような気がします。
◇
昨日は予定が詰り、効率が求められるビジネスのなかで、
慌ただしいいち日でした。
目の前の日々とは違った時間が流れる物語は、
少しばかり気分を和らげてくれました。
(end)