天の夕顔 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

「天の夕顔」
70年ほど前に、中河与一という作家が書いた小説です。

天の夕顔/中河 与一 (新潮文庫)
¥340 Amazon.co.jp

30年くらいに及ぶ、男性と年上の女性の恋と愛が書かれています。



京都と神戸に住むふたりは、
逢う機会も限られ、
ふたりの間のやりとりは手紙に委ねられます。

現代のように
メールで、毎日、頻繁に連絡しあうことはおろか、
ふつうの家には、まだ電話すらない時代です。

昭和初期は、倫理感もいまとはかなり違います。

今の時代からみると、
なんとももどかしく思われる物語かもしれません。



手紙を出して、返事を手にするまでの何日間かを、
相手のことを考えてすごしているうちに、
ゆっくりと熟成されていく想いもあるのでしょう。

ゆっくりと暖められた想いは、冷めにくいような気がします。



昨日は予定が詰り、効率が求められるビジネスのなかで、
慌ただしいいち日でした。
目の前の日々とは違った時間が流れる物語は、
少しばかり気分を和らげてくれました。

(end)