意識のある健常volunteerによるstudyによると、
排泄半減期が長い輸液ほど、
plasma volume expansion効果は延長するものの、
同時にinterstitial volume expansionも延長し、
urinary excretionは少ない。
The half-life of infusion fluids: An educational review.
Eur J Anaesthesiol. 2016 Jul;33(7):475-82.
全身麻酔は輸液の排泄半減期に影響を与えないが、
麻酔により低血圧になったり、術前の状態や手術そのものによるストレスが加わると、
輸液の排泄半減期は延長してしまう。
手術中の麻酔では一般的に輸液の排泄半減期が延長しており、自然とvolume expansion効果が高い状態になっている、
と考えることもできる。
そこに術前の脱水補正だから、とか、
麻酔により相対的hypovolemiaになるから、とか、
晶質液は血管内に1/4しか残らないから、とか言って、
盲目的にじゃんじゃん輸液すると、
volume expansionしすぎてhypervolemicな状態になりかねない。
hypervolemicな状態になると、
ANP(atrial nariuretic peptidess)が増加する。
ANPは炎症反応と同様に
glycocalyx layerを消失させ、
血管透過性を亢進させる。
すると、
投与された輸液はすみやかに間質に分配され、
輸液のvolume expansion効果が減少する。
つまり、
輸液すればするほど、
血管内からvolumeが消えていくというparadoxに陥る。
少量(5mg/kg)の輸液はplasma volume内だけに分布するものの、
多量になると間質への透過量が増加してくる。
輸液負荷は必要性を吟味して実施する必要がある。
手術中の多くの場合、
輸液の排泄半減期が延長するということは、
urinary excretionも少なくなる。
また、輸液負荷によりhypervolemicな状態にしてしまうと、
血管透過性が亢進しはじめ、
輸液は血管内から消失し、
結果としてさらにurinary excretionは少なくなる。
urinary excretionがどの程度低下するかというと、
意識のある健常volunteerの1/10程度とかなり減少する。
そのような状況では輸液戦略を、
restrictive(4ml/kg/h)にしようが、
liberal(10ml/kg/h)しようが、
尿量は100ml/3h vs 107ml/3hとほとんど差がないという報告もある。
つまり、術中の尿量は輸液量の多少を反映しないということであるし、
ましてや過負荷の指標にもならない。
したがって、
尿量を見て輸液量を増加減する管理方法は疑問である。
排泄半減期の延長はvolume expansionには有利である。
一方、high complianceな間質への貯留も促進するため、
edemaの原因にもなり、術後回復遅延因子となりかねない。
hypervolemicな状態になったことによる血管透過性の亢進は、さらにedemaを助長することにもなる。
手術終了後、輸液の排泄半減期は速やかに回復する。
Urinary excretionも増加する。
ただ、これは新たに輸液した分による利尿反応であって、
間質にたまっていたものがすぐに出はじめるわけではない。
まとめ
手術中は輸液のvolume expansion効果は高い状態にある。
とはいうものの輸液の仕方により、
輸液の半減期は様々で、かなり差がでるし、
その結果、edemaが助長されることもあり、
術後回復遅延因子となりかねない。
従って、輸液負荷は必要性を吟味して実施、決して盲目的に行ってはならない。
手術中はdiuretic responseはweakだが、
腎障害となる証拠はない。
尿量を見て輸液量を増加減する管理方法は疑問である。
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排泄半減期が長い輸液ほど、
plasma volume expansion効果は延長するものの、
同時にinterstitial volume expansionも延長し、
urinary excretionは少ない。
The half-life of infusion fluids: An educational review.
Eur J Anaesthesiol. 2016 Jul;33(7):475-82.
全身麻酔は輸液の排泄半減期に影響を与えないが、
麻酔により低血圧になったり、術前の状態や手術そのものによるストレスが加わると、
輸液の排泄半減期は延長してしまう。
手術中の麻酔では一般的に輸液の排泄半減期が延長しており、自然とvolume expansion効果が高い状態になっている、
と考えることもできる。
そこに術前の脱水補正だから、とか、
麻酔により相対的hypovolemiaになるから、とか、
晶質液は血管内に1/4しか残らないから、とか言って、
盲目的にじゃんじゃん輸液すると、
volume expansionしすぎてhypervolemicな状態になりかねない。
hypervolemicな状態になると、
ANP(atrial nariuretic peptidess)が増加する。
ANPは炎症反応と同様に
glycocalyx layerを消失させ、
血管透過性を亢進させる。
すると、
投与された輸液はすみやかに間質に分配され、
輸液のvolume expansion効果が減少する。
つまり、
輸液すればするほど、
血管内からvolumeが消えていくというparadoxに陥る。
少量(5mg/kg)の輸液はplasma volume内だけに分布するものの、
多量になると間質への透過量が増加してくる。
輸液負荷は必要性を吟味して実施する必要がある。
手術中の多くの場合、
輸液の排泄半減期が延長するということは、
urinary excretionも少なくなる。
また、輸液負荷によりhypervolemicな状態にしてしまうと、
血管透過性が亢進しはじめ、
輸液は血管内から消失し、
結果としてさらにurinary excretionは少なくなる。
urinary excretionがどの程度低下するかというと、
意識のある健常volunteerの1/10程度とかなり減少する。
そのような状況では輸液戦略を、
restrictive(4ml/kg/h)にしようが、
liberal(10ml/kg/h)しようが、
尿量は100ml/3h vs 107ml/3hとほとんど差がないという報告もある。
つまり、術中の尿量は輸液量の多少を反映しないということであるし、
ましてや過負荷の指標にもならない。
したがって、
尿量を見て輸液量を増加減する管理方法は疑問である。
排泄半減期の延長はvolume expansionには有利である。
一方、high complianceな間質への貯留も促進するため、
edemaの原因にもなり、術後回復遅延因子となりかねない。
hypervolemicな状態になったことによる血管透過性の亢進は、さらにedemaを助長することにもなる。
手術終了後、輸液の排泄半減期は速やかに回復する。
Urinary excretionも増加する。
ただ、これは新たに輸液した分による利尿反応であって、
間質にたまっていたものがすぐに出はじめるわけではない。
まとめ
手術中は輸液のvolume expansion効果は高い状態にある。
とはいうものの輸液の仕方により、
輸液の半減期は様々で、かなり差がでるし、
その結果、edemaが助長されることもあり、
術後回復遅延因子となりかねない。
従って、輸液負荷は必要性を吟味して実施、決して盲目的に行ってはならない。
手術中はdiuretic responseはweakだが、
腎障害となる証拠はない。
尿量を見て輸液量を増加減する管理方法は疑問である。
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