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全身麻酔下での手術では、
中枢から末梢に熱が再分配され、体温が低下する。

全身麻酔により熱産生が低下するだけでなく、
対流、伝導、蒸発、放射など様々な機序により熱が奪われ、
さらに体温が低下し、あるところで定常状態に達する。

術中低体温は、創感染、凝固障害、筋弛緩遷延のリスクになり、術後回復遅延につながる。

従って、
手術中は36度以上を保つように管理することが推奨される。

対流、伝導、蒸発、放射など熱が奪われる機序をブロックすることは大切だが、
それだけでは低体温は改善しない。
積極的に加温していく必要がある。

Forced-air warming
(たとえば、Bair Hugger、くまさんでおなじみベアハガー。)

Carbon-fiber resistive-heating system
(たとえば、SmartCare、オレンジ色の重い装置)

Circulating-water garment
(たとえば、Rapr・Round Body Wraps 自施設にないから実物見たこと無いけど。)

など加温装置も色々ある。
果たしてどれが一番効果的なのだろうか。

Core temperatures during major abdominal surgery in patients warmed with new circulating-water garment, forced-air warming, or carbon-fiber resistive-heating system.
J Anesth. 2011 Dec 22.


先ほどの
1. Forced-air warming
2. Carbon-fiber resistive-heating system
3. Circulating-water garment
  (これだけさらに +circulating-water mattress)
での深部体温の変化を比較している。

結果は、
Circulating-water garment(+circulating-water mattress)が一番術中の深部体温保持効果が高かった。

ただ、今回の結果は、
Circulating-water garment(+circulating-water mattress)が一番効果があったものの、
単に(+circulating-water mattress)があることによって他のと差がついただけだろうと著者らは考察していた。

circulating-water mattressをプラスしたため、加温装置の体表カバー率に差が出てしまっている。それが原因だと。

Forced-air warming群と、
Carbon-fiber resistive-heating system群の
体表カバー率が15~20%だったのに対して、
Circulating-water garment(+circulating-water mattress)群では30%だった。

さらに、
仰臥位だったら自体重により背部の皮膚の血流が落ちるため、
circulating-water mattressは熱伝達効率が悪い。
しかも、熱傷のリスクにもなる、
と指摘している。

そのため、本文の最後のまとめでは、
今回の結果で一番良かったCirculating-water garment(+circulating-water mattress)を推奨するのではなく、
一般的にはForced-air warming、すなわちBair Huggerが、安価で安全でもっとも良いんではないでしょうか、
circulating-water mattressを使用するにしても注意が必要ですよ!
とまとめていた。

研究デザインは重要ですね。
結果にへんな解釈が必要になり、
結局のところ何が言えるのかわからなくなってしまいます。


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