薔薇の名前?(2) | ・・・夕方日記・・・

薔薇の名前?(2)


グラハムトーマス1

グラハムトーマスが咲きました。


偉大なイメージは歴史と先史をあわせもつ、とバシュラールも述べていますが

ばらの歴史も古く、最初に登場する文献は古代バビロニアの叙事詩、ギルガメッシュだと言われています。


ばらは大別すると野生のばら(原種・ワイルドローズ)と栽培ばらに分けられ、

栽培ばらは、さらにオールドローズとモダンローズに大きく分けられます。


ばらの発展に貢献したのは、ナポレオンの最初の妻だったジョゼフィーヌ。

マルメゾン宮に広大な植物園を作り、世界中からさまざまな品種の植物を蒐集します。

なかでも特にばらが好きだった彼女は、一流の研究者や園芸家を集めて新品種の研究をさせたり、

画家に図鑑を描かせて記録させたりしました。


ここで働いていたアンドレ・デュポンが、世界で初めて人工受粉でばらを作る技術を見つけ出し、

さらに1867年、同じくフランス人のギヨーが「ラ・フランス」という上品なピンク色のばらを作ります。


これは花びらが剣弁といって、中心が高くとがったようなかたちになり、

春から秋まで花をつける、四季咲きという性質を持つもので、

それまでのばらには見られない、当時としては画期的な品種でした。

(これ以前の薔薇をオールドローズ、これ以降の薔薇をモダンローズと呼びます)


この後さらに研究が進み、

一期咲き(春だけ)でおとなしめの色に優雅な形、香りのいいオールドローズに対して、

四季咲きで華やかな形と鮮やかな色を持つモダンローズがたくさん作出されました。


そして1969年、イギリス人のデビット・オースチン氏が

オールドローズの香りと優しいフォルム、育てやすさに、

モダンローズのあざやかな色と四季咲き性を合わせもつ

イングリッシュローズを発表します。


両方のいいとこどりのイングリッシュローズは、あっという間に人気になりました。

写真で載せたばらもぜんぶイングリッシュローズです。

(四季咲きですが、秋までずっと咲き続けるというよりも、

夏に剪定をして春と秋に二回花が咲くように育てるのが普通?らしく、これに倣っています)


グラハムトーマス2    アブラハムダービー    LDブレスウェイト2


黄色いばらはもともと自然に存在した色ではなく、

品種改良の結果、1900年代に入って作られた色なのだそうです。


モダンローズできれいな黄色を作ることはとても難しかったそうで、

これほどしっかりした黄色を持つのは、このグラハムトーマスが初めてでした。



オースチンが師事したオールドローズの研究家、グラハム・トーマス(Grahem S. Thomas)氏が、

自分で選んで、この薔薇に自分の名をつけてくれたのだそうです。

よくやった!という感じで嬉しかったんだろうなぁ…(←妄想



濃くしっかりしていながら深みのあるやわらかな黄色と、

ティーローズというレモンティのようなすっきりした香りが上品な薔薇です。


先日載せたアブラハムダービー(Abraham Darby)は、

18世紀の産業革命に貢献した起業家の名前に因んで名づけられています。

確かに丈夫で、なんとなく勢いがあるんですよね。

咲く気に満ちあふれています(上中央)


そして!

つぼみだったL. D. ブレスウェイトも咲きました。


じゃん。


LDブレスウェイト1


これぞ薔薇!!という風情の深紅です。

咲き方はロゼット咲き(多芯咲き)といって、中の方に四つぐらい

それぞれ小さいぐるぐるができる咲き方です。


グラハムはカップ咲き(アブラハムダービーも同じラインで、さらに深めのディープカップ咲き)で、

外側が開いた後は、カップのようにまるく

真ん中からぐるぐるとそのまま大きく花びらが重なっています。

写真で比べてみると、おわかり頂けるでしょうか(^^);


ブレスウェイトとは、オースチンの義理のお父さんの名前(Leonard D. Braithwaite)なのです。

これを聞いて、赤いばらをひとつ育てたいなといっていた夫が、

「よしこれは絶対間違いない」と根拠のない自信を持って(汗)選びました。

曰く「よっぽど自信のある出来でないと、この名前はつけられないと思う」…

さすがにうんうんと頷いてしまう威厳があります。


ほかにもオースチンの妻(オレンジ色)や娘さんの名前がついているものもあって、おもしろいです。


注:上記の歴史や分類はかなり簡略版です(すみません;

  バラの歴史や品種などについて詳しく知りたい方は文献や、以下のサイトなどをご参照下さいませ。

  

  (社)農林水産技術情報協会 フラワーガーデン バラの館 

  イングリッシュローズのすべて



<おまけ>


本日のお茶、アールグレイのホワイトチョコロールです。

黄色のグラハムを飾ったので、うつわも黄色(ロイヤルアルバート)で。


紅茶のロールケーキ2   紅茶のロールケーキ1


と言いつつ、メインのはずの花瓶が切れています(左)

完全な花より団子アングルに、風流な人間になりたいと思うワタクシでした…



レシピはこちらの「基本のロールケーキ」から。

砂糖-10g、生クリーム+大さじ1、紅茶の葉+4g(=ティーバッグ2個)で作りました。

クリームは(半本ぶんで)生クリーム70ccに溶かした白いダース4個を入れて泡立てています。



たかこさん&みかさんの毎日作りたくなるお菓子とパンのレシピ
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