金曜日の朝は、東京青年医会の早朝勉強会からスタートです。

冒頭、竹川勝治代表から、先日開催されました夜間勉強会と熊本にて開催された全日本病院学会のお話がありました。加えて、今週末10/16(日)より開催される医療の質に関する国際的な学術大会ISQuaについてご連絡がありました。

私からは、先日の全日本病院協会にて発表いたしました療養病床廃止に伴う、転換シミュレーションのお話しをさせていただきました
25:1医療療養病床と介護療養病床が2018年3月にて廃止が予定されていることをうけ、既存の療養病床が新類型へ転換された場合に、どのくらいのインパクトがあるのかをシミュレーションいたしました。その結果、転換ケースと既存ケースとの医療費の比較では、特に大きな差は確認されず、さらには20:1の基準を満たす医療機関が増えた場合は、逆により多くの医療費がかかるという結果となりました。このことからも、単純な療養病床の廃止という判断ではなく、地域の状況を加味した選択肢を多く残したかたちが、理想的ではないかと、お話しさせていただきました
また、今月末には、日本慢性期協会の全国大会が石川県金沢市にて開催されます。ぜひ、ご参加いただき、一緒に今後の慢性期医療について、考えていただければと思います。

本日の講師は、早稲田大学理工学術院教授の棟近雅彦先生です。「医療の質マネジメントシステムQMS-H」をテーマにお話しいただきました。質マネジメントの基本的概念から、マネジメントの仕組みづくり、現在10の医療機関と取り組まれているQMS-H研究会の活動についてお話しがあり、医療の質を工学的にロジカルに考えることは、医療サービスにおいて、新たな課題の発見やマネジメントの効率化に繋がるのだと、とても勉強になりました。

最後に私からは、
当法人でもバランストスコアカードなどのマネジメントツールを取り入れて、行っておりますが、やはり継続することの難しさを感じております。チェックをしっかりと行い、楽しみながらできるような仕組みづくりを作っていかないと、なかなか難しいのではないかと思います。また、これまで青年医会では、様々な内容の合宿を行い提言につなげるべく活動を行ってきましたが、その中でも現在、高騰した社会保障費の問題は、現在の日本においてとても重要な問題であると感じております。財源もなくなってきており、日本医師会でも持続可能な社会保障制度の仕組みを残していくためには、色々と検討していく必要があるとのことを伺っております。このような背景を踏まえて、青年医会ならではの視点で、今後の医療や介護のあり方を考えていく必要があると思っています。10%ぐらい診療報酬や介護報酬が落ちたとしても、医療の質を担保したうえで、ROEやROAなどの経常利益を保つことができるために、どんなことをすればいいのか?外部要因や内部要因の分析、規制緩和に向けた施設基準などの検討、あるいは医師のタスクを看護師が行い、看護師のタスクを他の職種が行うなどのマルチタスクの視点で考えること、また容積率や建蔽率などのハードに関する事項を検討していくなど、そういった様々なことを考えていく必要があると思っています。そして、このような分析や議論を行い、提言としてまとめていくのは、東京青年医会の役割であると思っています。ぜひ、今回の棟近先生のQMS-Hというマネジメント手法も取り入れて、さらなる検討の機会を作っていければと思います。また、来年度からは、素晴らしい功績を残された竹川代表を引き継いで土谷先生が代表をされることもあり、新たなプロジェクトを踏み出すことができれば、さらに良いと思っています。とお話しさせていただきました。また、医療機関のマネジメントにおいて、医療の質を担保したうえで、どんなことをやったらよいかなどの、ご質問もさせていただき、とても活発な議論に繋がりました。

 

 

その後、南多摩病院、永生病院をまわりました。

その後、スタッフミーティングに参加しました。
まず私から、10月1日付で金子弥樹先生が永生クリニックの院長にご就任されたことをご紹介させていただき、最近の医療業界のトピックスをお話しさせていただきました。

   東京都医師会の尾﨑治夫会長の3つの医療政策について
① 東京にふさわしい、地域医療提供体制と地域包括ケア
日本の病院の種類を高度急性期、急性期、回復期、慢性期で分けて、各二次医療圏単位で過不足なく整えていくというもの。地域包括ケアは、5,000人から1万人の人口の中で、高齢者を中心に介護予防も含め、地域の方々の力をお借りしながら、街づくりも含め取り組んでいこうというもの。
② 変容を迫られる医師をしっかりサポートできる東京都医師会
積極的に地域に関わり、介護保険にも精通し、チーム医療を重んじて多職種と連携をとりながら医療を行える医師の支援体制を整えていこうということ。
③ 超高齢化社会を見据え都民の予防医療への積極的施策
予防医療特に規制の弱いたばこの対策について力を入れて取り組んでいこうといこと。また、永生会で行っている病院救急車について積極的に取り入れ、予算に取り込んでいこうと言っていただいている。
 介護療養病床について
将来的に労働人口が減り、現在の療養病床の人員配置がクリアできない地域では、国の介護療養病床から在宅への移行の方策は効果があるとは思うが、東京、埼玉、千葉、神奈川のような高齢者が増えていく地域では、依然療養病床の需要が高いため見直しが必要と感じている。東京都医師会としては介護療養病床の廃止については反対の立場である。
東京都慢性期病院協会では、患者様、ご家族様にアンケートを実施。2018年の介護療養病床の廃止を知らない方が8割、廃止について9割が反対、1割が良く分からないという結果であった。国民の理解がないままでの廃止には疑問がある。今後も医療と介護のニーズが増えていくことは必須であり、在宅に取り組んでいるクリニックのバックベッドとしても有用であると考えている。

 「住み慣れた町でいつまでも―チームで支えるあなたの暮らし―」
東京都、東京都医師会で15職種の方々と多職種連携に関する冊子を作成した。各職種の役割、どのような連携が必要かなどが書かれている。ぜひ参考にしてほしい。
 東京都、東京都医師会での多職種連携に関わる様々な勉強会の紹介
様々な職種の方々による講義、グループワーク方式(ワールドカフェ方式)により色々な地域の試みを学びあえる取り組み等を紹介


その後、最近の法人の掲載記事をご紹介させていただきました。
 『日経ヘルスケア』10月号
診療療報酬算定漏れ撲滅作戦」 永生病院 田野倉浩治事務長、渡部雅人医事課長
4月の改定のみならず、日頃の算定の中で医師、看護師、医事課との連携ミスによる算定もれがあった。連携ミスによる算定もれを防ぐために、算定可能項目を一覧にした1枚のシートを作成、医師、看護師、医事課スタッフ間で共有し、算定漏れを防止に取り組みを紹介した。
→このようなシートを使用することにより、国の政策、力を入れているところが見えてくる。ぜひその辺りにも注目してほしいと思っています。
 『月刊ケアマネジメント』9月号
医療から介護にスムーズな移行 経験豊富なリハスタッフがフォロー
地域リハビリテーション』9月号
地域包括ケアの拠点を担う通所リハの機能と実践
リハビリ統括管理部 荒尾雅文部長補佐
月刊ケアマネジメント』では、クリニック0の退院直後の訪問リハビリサービスやスマイル永生での活動参加に向けたアプローチについて紹介した。この記事を拝見された厚労省の方から直接にお電話をいただき、見学に来られた。
病院に入院される方のだいたい5割が介護保険サービスをご利用いただいているというデータがある。今後、医療と介護のつながりがより重要になってくると考えている。『地域リハビリテーション』」でも、同様にクリニック0の取り組みについて報告させていただいた。また、厚労省の老健事業の作業部会でのあり方検討でまとめた内容を報告させていただいた。
→この他、リハビリ部では東京都病院協会で回復期リハビリテーションのクリニカルインディケーターを作成したりとご活躍いただいている。その内容を、来週開催される医療の質の国際学会(ISQua)で、千葉大学の今中教授が発表してくれることになり、嬉しく思っています。
 『ヘルスケアレストラン』10月号
Bright Youth」(インタビュー記事) 永生病院栄養科 金井麻智さん
栄養士になったきっかけや今の仕事の内容、今後の目標などについてお話しさせていただいた。
→国でも栄養ケア、摂食嚥下が非常に重要視されている。在宅で介護されている方にとって一番大変なことは摂食嚥下と排泄ケア。これがうまくいくと介護されている方の負担が減ると考えられます。
 学会報告
9/14~16 全国介護老人保健施設大会(大阪) 演題発表8名
10/1~2 日本認知症グループホーム全国大会(北海道) 演題発表1名
10/8~9 全日本病院学会(熊本) 演題発表23人、ポスター発表5名、シンポジスト1名
今月26日からは日本慢性期医療学会が開催され、16名が演題発表、シンポジストとして参加予定です。今後も学会発表に力を入れたいと思います。発表予定の方、頑張ってください。

 

続いて南多摩病院益子洋邦院長から『病院』10月号の投稿論文「大都市圏の救急医療体制の構築」について、南多摩病院の災害対応訓練につてお話しいただきました。
(益子先生のお話)
八王子市の取り組みとして論文を投稿させていただいた。平成12年と平成28年のデータを比較すると、高齢者の方々の重症、中等症、軽症の救急搬送が非常に増え、これが地域の救急医療を崩壊に導いている。そこで多職種連携のチーム八王子市高齢者救急医療体制広域連絡会(八高連)を立ち上げ、病院救急車を使って在宅や地域の高齢者施設からの救急搬送をする取り組みをしている。搬送先の医療機関は、半分は急性期病院、もう半分は慢性期、精神科病が受け入れている。消防の救急車ではその搬送先のほとんどは救急病院。病院救急車により急性期医療機関と慢性期医療機関の連携が強化されたと考えられる。まさに病院救急車は医療介護のネットワークを推進し、循環型の医療介護システムを構築しているということを書かせていただいている。
地域包括ケアはオーケストラだと考える。オーケストラは、それぞれの楽器が素晴らしい音を出しても、周りの音との調和がなければ良いハーモニーは生まれない。それを調節するのが指揮者の役割。地域包括ケアでもまさに同じことが言える。救命救急センター、大学病院、精神科病院、悔悟療養型病院、消防署、薬剤師会、訪問看護ステーション、地域包括ケアセンター、市町村の役場、町内会等々、様々な方々が周りの動きを見ながらハーモニーを奏でることが大事で、そのコンダクターとして地区医師会の役割が重要と考える
南多摩病院で9月30日に災害対応訓練を実施した。部門ごとに、地震発生後の火災時の対応について、防火管理者が各部署を回りヒヤリング・指導を行った。また、南多摩病院には大規模災害時の患者さんの受入れ方法についての訓練を行った。トリアージの中等症の患者受入や、重症患者の災害拠点病院への転送などの訓練、病院横駐車場へのテントの立ち上げ訓練等、有効な訓練が行われた。来年3月11日には地区医師会の先生方、八王子市役所の方と一緒により大規模な訓練を実施予定。ご興味のある方はぜひご参加を。
益子院長からの報告の後には各部署からの報告がありました。

その後、永生病院、セントラル病院分院・本院・松濤、マイウェイ四谷をまわり、東京都医師会に立ち寄りました。


その後、JUMP(日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会)打ち合わせ会に出席いたしました。


その後、日大医学部同窓会 企画、総務委員会及び翠心・若樹祭委員合同委員会に出席いたしました。翠心・若樹祭とは、日本大学医学部と看護学校との合同学園祭です。私も学生の頃には、軽音楽部に所属していたこともあり、毎年相当入れ込んでいたものです。
私の方からは、学生さん達に、これからの医療は医師だけではできないので、このように医師と看護師が一致協力して一つのことを行うことは非常によいことである。さらに医療の現場では、様々な職種の方々と多職種連携、すなわちチーム医療を行う必要があります。学園祭においても、もっと地域の方々と一緒になってまちづくりの一つとして頑張ってほしいというお話をさせていただきました。学生のうちから、地域包括ケアという概念を身に着けてほしいと思う次第です。

 

その後、医師会関連の会合に出席した後、櫻医社の懇親夕食会に顔を出してきました。