メディカル・マネジメント・プランニング・グループ(MMPG)創立30周年記念の第14回公開シンポジウムに参加して参りました。
(MMPG)理事長、医療経済フォーラム・ジャパン専務理事兼事務局長の川原丈貴先生の司会進行で会が始まりました。
□基調講演
○元総務大臣、株式会社野村総合研究所顧問 増田寛也先生「地方創生における医療・介護の役割」
・人口減少+人口の東京圏への移動と一極集中→「地方消滅」という未来
 -全国1799市区町村のうち896が消滅可能性年に該当。うち523市区町村は人口1万人未満となり、消滅可能性が更に高い
・後期高齢者の増加、さらに東京都では高齢者の4人に1人が単身世帯となる⇔東京圏の後期高齢者収容能力
 →東京圏高齢化危機回避戦略
・「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の全体像
・コンパクトな拠点とネットワーク
・地方創生7つのポイント
 ①雇用②結婚・出産・子育て③コンパクト化④財源⑤合意形成⑥東京一極集中の是正⑦「出さない」「戻す」「ひきつける」とその意味
□シンポジウム
○座長:医療経済フォーラムジャパン・医療経済研究機構所長 西村周三先生
・ここ当分は、生むお母さんの数が減る、出生率が上がっても当分増えることはない
・本当に本音で議論する必要がある時期に来ている
・一つだけ問題提起をしたい
 「医療・介護における人材確保と育成について、またそれが地方創生にどういう役割を果たすか」
・これから働き方をどうやって変えていくかは大きな課題で、医療介護分野も働き方をどう変えていくか、人手不足の中で大きなテーマである
・人材確保のために医療機関が用意している募集費用がいかに大きいか、そしてママさん看護師をうまく雇用することに成功している医療機関は低コストで獲得することに成功している
・当面の人口減少は確実である中でイノベーションをどうやって作っていくか、そこでどういう工夫をするかが大事な課題である。
○千葉大学予防医学センター 近藤克則先生 「高齢者の社会参加による地方創生」‐予防医学の視点から-
・背景と課題意識
 ▽後期高齢者の増加に伴い重点のシフトOR拡張
  ‐急性期から生活期へ
  ‐臓器別高度医療から医療と介護の連携へ
  ‐病院完結型から地域完結型へ
  ‐治療を中心とする医療から予防や日常生活支援ニーズへ
 ▽「高齢者という人財」は夢なのか?
 ▽地方創生の担い手=社会参加を促すことによる予防効果があれば一石二鳥
 ▽社会参加⇒元気高齢者の増加⇒医療介護ニーズ抑制は可能か?
・高齢者の社会参加の実態=JAGES2010-13調査フィールド
 約14万人が回答
・会への参加率(月1回以上)
 →趣味37%、スポーツ23%、老人クラブ15%
・地域別・前期・後期高齢者のグループ参加率
 →都市度に関わらず、前期高齢者の参加率が高い地域で後期高齢者の参加率も高い
・小学校区別転倒率とスポーツ組織参加
 →日本の中には、他の地域よりも3倍も転ぶ人が多い街があり、スポーツ組織に参加しているほうが転倒率が低い
・趣味の会に参加している高齢者が多い街がメンタルヘルスが良い(うつ得点が低い)。
・ボランティア参加率が高い市長村はスポーツ参加やサポート提供も↑
 →情緒的サポート提供している人が多い市町村では閉じこもりもうつも少ない
・認定率とスポーツの会への参加
 →スポーツの会に参加している割合が高いほど要介護認定率が低い
・参加組織の種類の数別の要介護認定の発生リスク
 →社会参加の種類が多いほどリスクは減る
・政策効果
 →「ボランティア参加で元気になる」を呼びかけると、ボランティアは7年で9倍になった。
・役割を担って社会参加している男性のうつ発症のリスクは7分の1
・どんな企画をしたら人が集まるのか考えること、身体を動かすことが認知症予防になる
・サロン参加群で要介護認定は低くなる(半分に)
・まとめ
 ▽高齢者という人財
 ▽社会参加は高齢者の健康づくり・介護予防につながる
 ▽さh会参加を支援するまち環境づくり=地域創生は可能
 ▽高齢者も活躍する「1億総活躍社会」で地方創生を
○日本医師会常任理事 鈴木邦彦先生「地方創生における医療・介護の役割」
①地方創生と社会保障
・社会保障と経済は相互作用の関係にある。
 老後が不安であるという思いを持つ多くの国民に安心を示すことは、経済成長を取り戻すための出発点である
・医療は国内生産額36兆円、1次的な生産波及額は63兆円と産業全体の中で高い水準にある
・雇用誘発係数は、介護で突出して高く、医療も高い水準である
・医療法人は法人税・住民税・事業税を負担
・医療法人の経営状況:年々厳しくなっている
・国際比較では、日本の医療の生産性は高い
②地域包括ケアにおける中小病院の役割
・今後我が国に必要な医療:地域に密着した医療(超高齢社会でニーズ↑)
・超高齢社会に適した日本型医療システム
 -中小病院・有床診療所が多い
 ‐診療所の質が高く、充実している
・既存資源を活用した日本型在宅支援モデル
・日本型在宅支援システム
・日本型の高齢者介護の確立
③志村フロイデグループの沿革と現状
・法人の経営理念・目標
・志村フロイデグループ
 ‐医療法人博仁会・社会福祉法人博友会・学校法人志村学園
・志村フロイデグループの展開
 ‐24時間365日の地域包括ケアの確立を目指す
 ‐在宅部門の総力を結集し、在宅復帰を可能にする
・医療機関・介護施設における地域活性化モデル
④地方創生における中小病院の役割
・志村フロイデグループの目標「中小病院は地域と運命共同体」
・常陸大宮市地域活性化プロジェクト「フロイデDAN」発足
・コミュニティカフェBAHNHOFオープン
・あきないデリバリー(地域活性化プロジェクト)
→さまざまな取り組みで、平成25年商店街活性化コンペ 優秀賞
・医療機関を中心としたまちづくり計画
・志村大宮病院を中心としたまちづくり=共生型CCRC
・3重のコンパクトシティによる地域活性化構想
○国際医療福祉大学大学院 高橋泰先生「人口減少社会に向かう日本の医療介護の現状と将来予測」
・2012年10月から全国をまわって
 ‐患者が減っている(全国的)→病床稼働率が下がっている
 ‐構想会議を真剣に受け止めて、一生懸命考えている(想像以上に自発的)
・我が国全体では若年層が激減、高齢者が急増
 ‐2005年ピークで毎年100万人ずつ0-64歳が減り、後期高齢者が50万人ずつ増える
 ‐2030年以降後期高齢者は増えなくなり、0-64歳が100万人ずつ減る
 ‐その後0‐64歳100万人ずつ、75歳以上が25万人ずつ減る
・今年から団塊の世代が高齢者になる。
・1980年の日本は先進国で最も若い国だった。25年経って高齢化率9%→20%。
 →世界で最も若い先進国が世界で最も年寄りな先進国になった
・日本の人口推移の地域差(東京の高齢化危機)
・東京周辺は医療が大変、介護も大変
・埼玉・神奈川・多摩が23区の需要超過を埋めていたのが埋まらなくなる→介護クラッシュ
・東京圏高齢化危機を回避するために必要な改革
 ‐医療介護サービスの人材依存度を引き下げる
 ‐東京圏の特性に応じた地域医療介護体制の整備と高齢者の集住化
 ‐「一都三県をカバーする行政対応の確保
 ‐東京圏の高齢者が希望に沿って、「東京圏の高齢者の地方への移住の促進」
・個人の生活、老い方、死に方、はどのように変わるべきか?
 →最適な住居地の判断
 ‐年代に応じて「仕事・利便性・物価・医療介護・住宅環境」のバランスが変わる
○内閣官房まち・ひと・しごと創生本部 山崎史郎先生「人口減少克服・地方創生に向けて」
・なぜ「地方創生」なのか?
 ‐日本が人口大変動期を迎えたことが拝啓→人口減少・地域多様化時代の到来
 ‐このままでは地方の多くが消滅し、いずれ日本全体が衰退する恐れ
  →人口減少を克服し、地方の創生、日本の創生を目指す
・人口動態について(全体・地域)
・まち・ひと・しごと創生法の概要
・まち・ひと・しごと創生総合戦略の政策体系
 ‐調整戦略が中心→積極戦略(人口減少歯止め)も
 ‐縦割りと横並び→総合戦略の推進
 ‐自治体内簡潔の体制→経済生活実態に即した圏域重視
・地方人口ビジョン・地方版総合戦略の意義
・人口減少・地域多様化時代の社会保障政策の視点
 ①全国一律対応からの脱却→地域単位の政策プラン
 ②縦割り構造の是正→統合連携・結集の推進
  ‐都市のコンパクト化とネットワーク形成
  ‐生涯活躍のまち(日本版CCRC)構想の検討
 ③人口構成変動への対応→若年人財の重視
  ‐地域別の就業者数の増減
  ‐「長期ビジョン」における将来推計

これからの医療・介護の地域との関わりのあり方について、非常に勉強になりました。