東京国立博物館・東洋館 文物紹介【前編】 | 呉下の凡愚の住処

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三国志(孫呉)・春秋戦国(楚)および古代中国史絡みの雑記、妄想、感想をおいてます。
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他、中国旅行記や中国語学習記も。

東京国立博物館・東洋館に行ってきました!!!

見てる途中で気付いたんですが、なんと、写真撮り放題でした。
撮影禁止と記載のある展示を除いて、めちゃくちゃ撮り放題でした。
やっと日本の博物館も追いついたのか……写真撮影の需要に……

後漢末の蜀の地でよく見られる文物、“揺銭樹”をこの目で見てきました!
もうね……こんなすごい宝物を持っていたならもっと早く言ってほしかった……
揺銭樹なんて超スーパー目玉文物だろ! なんで宣伝しないんだ!!

まあ宣伝したところで人が来ねえ、みたいな問題はあるのかもしれない。
宣伝費に対して100分の1ほどの効果もないのかもしれない。
私もこれからは東洋館の情報を血眼で確認していこうと思いました。


写真撮ってきた文物たちをご紹介します!
あの、文物好きな人って歴史好きの中で数%しかいないらしくて、
私も“変態”“特殊性癖の持ち主”などのレッテルを貼られているんですが、
別にそこまで珍しいことではないだろ……? との期待を込めて、紹介します。

好きな時代の文物が見られてうれしいのがなぜ変態扱いなんですかね……
歴史好きが文物好きとは限らないから仕方ないけれど、
決して人物やできごとだけが歴史ではないのにね。
一人でも多くの文物ファンを獲得するため、たくさん語りました。

文物データは↓からお借りしています
東京国立博物館 - 情報アーカイブサイト
http://webarchives.tnm.jp/archives/

※たまに発見してしまうのですが、ここの記事を転載して
ご自身のものとして発表するのは本当にやめてください。
見ればすぐ分かりますし、日本人のすることではないと思います……



三彩貼花六葉盤
三彩貼花六葉盤/三彩贴花六叶盘
唐(7~8世紀)
高さ9.5cm 直径40.6cm

唐三彩
三彩鎮墓獣/三彩镇墓兽
唐(8世紀)
左:高さ91.6cm 右:高さ96cm
中央の人はデータがないので分かりません、あと、中央は獣ではありません……

以上2枚は“唐三彩”というものです。
唐三彩についてはこちらで⇒ 唐三彩 - Wikipedia
私は唐三彩の鎮墓獣が大好き。と言うか、鎮墓獣が大好き。
鎮墓獣というのはお墓の入り口に置かれている獣です、墓主を守ってるんです。

いちばん好きなのは楚の鎮墓獣ですが、
唐三彩の鎮墓獣は大きくて、色鮮やかで、自信に満ち溢れているところが好き。
唐三彩では他にもラクダと胡人のモチーフのものが好きだったりしますが、
今回は写真撮ってないのでまたの機会に……

楚鎮墓獣
↑♡大好きな楚の鎮墓獣♡(荊州博物館で撮影)

加彩舞女俑
加彩舞女俑/彩绘舞女俑
唐(7~8世紀)
高さ38.5cm

すごくかわいい女の人の俑だなあと思って撮影しました。
髪型も服も昔の貂蝉ちゃん(三國無双)みたい! かわいい。
細身の女性は初唐の俑の特徴らしく、
時代が進むにつれてどんどんふくよかになっていくそうです。
確かに、唐の女性俑は太ましいイメージがある。

青磁神亭壺

青磁神亭壺
青磁神亭壺/青瓷神亭壶
三国(呉)~西晋時代(3世紀)
古越州
高さ42.5cm 底部13.9cm

三国時代は文物が乏しい時代だと思います。
個人の感覚ですが、三国時代の文物は、「うーん……」と唸りたくなるものが多い。
戦乱の時代だから仕方ないんでしょうかね。
文物を作っている余裕なんてなかったのかもしれません。

そんな中で心を癒してくれるのが、彼ら神亭壺です。
江東・江南地方からたくさん出てきています。
羽人やら海の幸やらお魚やらお家やらがわんさか載っている神亭壺を見ると、
本当に心が安らぐ……初めて見たときからずっと好きです。

この壺に死者の魂を集めてあの世に送るのだと、
南京博物館のスタッフさんが教えてくれました。
日本でも神亭壺が見られるなんて、ありがたい……

加彩鎮墓獣
加彩鎮墓獣/施彩镇墓兽
西晋(3世紀)

頭にはもともと角があったと推測されているようです。
肩から頚にかけてこぶを持つ架空の動物……だそうです。
犬が墓を守っているのは見たことある気がするんですが、
犬でも、唐代の獅子みたいなアレでもない、
躍動感あふれる鎮墓獣……(結構小さい、手乗りサイズ)
というのはあまり見る機会がないなと思って。尻尾がかわいい。

緑釉熊形灯
緑釉熊形灯/绿釉熊形灯
後漢(1~3世紀)

説明文:大きな体格の熊が、台上で片膝をついています。出土した類例によって、背中から伸びた柱のうえには、もともと灯明皿が載っていたことがわかります。漢時代から南北朝時代にかけて、器物を支える足や柱は、熊形のものが流行しました。なかでも燭台を支える熊は大きく抜群の存在感を示しています。

熊形が流行していたのか……
私にとって釉と言えば唐三彩でしたが、绿釉もなかなかいいですね!
動物型文物には弱い……後漢代のものらしいけど、
どんな身分のお家で使われてたんでしょうね?

饕餮文瓿
饕餮文瓿(ほう)/饕餮文瓿(bù)
殷(前13~前11世紀)
高さ60.7cm 口径32.5cm 重さ31.5kg

これだよこれ! 君みたいな文物を見に来たんだよ!
と跳ね回りたくなるような堂々たるお姿。
すごく綺麗な色で、模様も鮮明で……
何も言うことありません、本当にカッコいいです……惚れ惚れする……
青銅器を好きになってよかった、と心から思える瞬間です。

この展示はまた光の使い方がすばらしいと思います。
陰影がくっきりと浮かび上がり、
この瓿本来の魅力を最大限引き出せているように感じる。
偉そうで申し訳ないが、青銅器にはちょっとうるさいからね(๑´ڡ`๑)

とは(维基百科より)
水・酒・調味料などを入れていた礼器。商(殷)~戦国時代に流行した。
形は“尊”に似ているが、尊よりも低くて小さい。
同じ瓿でも円形もしくは方形、耳の有無などの違いがあり、
耳があるものは多く獣の形で表される。
腹が大きく、丸い足(圏足)を持ち、ふたが付いている。
本体には饕餮紋、乳釘紋、雲雷紋などが施される。


搖銭樹は後編に載せました!
東京国立博物館・東洋館 文物紹介【後編】