本物の直木賞選考会(第148回)~結果・講評~ | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

この外しっぷり。
外しのあもる、やっぱこうでなくっちゃ!!!



2013年1月16日、直木賞が決定した。

芥川賞 75歳の黒田夏子さん 
直木賞は戦後で最年少、平成生まれ初の朝井リョウさんと、
歴史小説の安部龍太郎さん
 (MSN産経ニュース)

第148回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、
東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、
芥川賞は黒田夏子さん(75)の「abさんご」(「早稲田文学」5号)に、
直木賞は朝井リョウさん(23)の「何者」(新潮社)と
安部龍太郎さん(57)の「等伯」(日本経済新聞出版社)に決まった。
初候補の黒田さんは昭和49年の森敦さん(61歳11カ月)を39年ぶりに更新し
最年長受賞者に。朝井さんは戦後最年少、平成生まれで初の受賞者となる。

◇◆

何はともあれ、
朝井リョウさん、安部龍太郎さん、おめでとうございま~す。
パチパチパチパチ。

では祝辞はこれくらいにして(みじかっ!)、早速答え合わせと参りましょう。
模範解答はいつもどおり、産経ニュースから。

「完成した力量と新しい才能のぶつかり合い」第148回直木賞講評」(MSN産経ニュース)

こちらの北方謙三氏の講評に照らし合わせ、
落ちこぼれあもちゃんの解答↓

あもる一人直木賞(第148回)選考会ースタートー
あもる一人直木賞(第148回)選考会ー途中経過1ー
あもる一人直木賞(第148回)選考会ー途中経過2ー
あもる一人直木賞(第148回)選考会ー結果発表・統括ー

を採点していこう。

>それではあもる一人直木賞選考会(第148回)の受賞作品の発表です!!!!!
>はいっっ!ドラムロール、スタ~ト!!!!
>ドロドロドロドロドロ~~~~~~
>ジャン!!!!!
>西加奈子「ふくわらい」
>で~す!!!

はい、0点。要復習。

今回はダブル受賞という当てやすい状況だったにも関わらず、1作品も当てられず。
む~。
しかししかし!惜しかったのよ~!!!

「決選投票は、
 朝井リョウさん、安部龍太郎さん、それから西加奈子さん(『ふくわらい』)
 の3者で行われました。」

>西加奈子氏の描く、主人公サダさんのインパクトある物語によりスタートダッシュに成功。
>そのままぶっちぎりで走り抜くかと思ったが、
>思わぬ伏兵、安倍氏による絵描き等伯の登場により、
>選考会の最後の最後、サダvs等伯のすばらしい一騎打ちが見られた。

ほら!!
ほらほらほらほら!!
本物の直木賞選考会の決選投票でも、西加奈子氏『ふくわらい』が残っていたのだ。
私は安倍氏と西氏の一騎打ちと予想したが、実際は、朝井氏を含め三つ巴決戦だった模様。

最終決戦の2作品を当てただけで私、やってやったわ感で満足。フンフン!
いいんだいいんだ、今回は当てる気なんてなかったんだもんもん。
私が好きな順位だけ発表したんだから!!!!
そう、負け犬の遠吠え。ウォンウォ~ン!!

「3分割なもので、なかなか点数が決まらないということになりまして、
 討議をしながらやっていくと、どうも安部さんと朝井さんが残るということになりました。」

・・・3択の女王の竹下景子さんのお力をお借りしたい。

ピンポイントで外すあたり、あもちゃん、さすがだね。
そろそろ言い飽きた台詞だが、何度も言う。
こんだけ外せばむしろ清々しい。キリッ。

そして今回受賞した朝井氏の作品、ぜ~ったいに私、1位にすることはできなかった。
「ふくわらい」と「等伯」では多少迷ったが、この作品の授賞は迷わなかった。
授賞する勇気も力量も私にはなかった。
でも実際に受賞したのは、朝井氏(と安倍氏)だった。
時代の折り返し地点といっても過言ではない。
老兵あもちゃん、去り行くのみ。
そういう意味で、今回の直木賞は意義あるものであったと思う。

「最初の投票で、
 有川浩さんの『空飛ぶ広報室』が、あまり点数を集められずに選外になりました。
 志川節子さんの『春はそこまで 風待ち小路の人々』これもあまり点数を集められなかった。
 点数を集められなかったというのは、
 肯定的、絶対的に推すという委員がいなかったということです。
 もう一つ、伊東潤さん(『国を蹴った男』)も、
 前々回の候補作から大きく飛躍していないということで、この3作が選外となりました。」

>6位 志川節子「春はそこまで 風待ち小路の人々」
>5位 有川浩「空飛ぶ広報室」

惜しいねえ。
実に惜しい。
案外、私、いいとこいってたのよ。
1位はけして当てないが、悪口三昧の下位作品はびしっときっちり当てていく。
これがあもるの~~~~ぉ、真骨頂~~~~~ぉぉぉ。→歌舞伎風で。

下位を当てる、しかもびしっと当てる。
まるで小姑。
趣味:人の粗探し。
ヤダ、意地悪い感じ、出てない?大丈夫?大丈夫?

「だいたい選考会では2作受賞となると反対意見が出るんですが、
 反対意見がほとんど出ませんでした。
 これは例年の水準と比べて今回の水準は低くない、むしろ高い、ということにより、
 2作(受賞)ということがさきほど決定いたしました。
 3回目の投票も2作受賞を前提として残りの3作で一応行いまして、
 圧倒的な点数を集めたのが朝井さんと安部さんでした。
 2作受賞は非常に妥当な判断であったと、選考会としては判断しております」

なに、この言い訳がましい感じ。
私の被害妄想なだけ?
でもまあ、安倍氏の作品と朝井氏の作品、比較できないわなあ。
戦乱の世に命を賭けた絵描きの人生と、就職活動に悩む大学生・・・
一方がスケールでかっっ。一方がスケールちっさ。みたいな。
だから直木賞を決めるのって難しいのよ~~~~。

そんな第148回直木賞、各候補作品の講評を順に見ていこう。

・安倍龍太郎『等伯』

「安部さんの小説に関して言いますと、綿密に調査してあるのと同時に、
 等伯という人自身は若い頃の資料があまりないんですよ。
 そこのところも、きちんといろんなものを考察した上で、フィクショナルに組み立てて、
 小説としてきちんとした土台ができているという部分があって。」

>等伯の人生とともに政情を平行に描くことにより、深みと凄みが出ていた。
>安倍氏は主人公である長谷川等伯とともに魂を震わせていた。
>感情的になりすぎず、読者を楽しませる、ということも忘れず、
>いいバランスで描いていたように思う。
>等伯の人間性にさほど魅力は感じなかったのだが、→こらー!
>等伯の周囲の人間のぬくもりや冷たさ、計算や知略に常にワクワクしていた。

周りから囲い込んで行き、組み立てて行く作品の完成度を、私も選考委員も認めている。

「完成した力量として、非常に評価が高かった。」

ベテランの風格漂う完成品であった。おめでとうございます!!


・西加奈子「ふくわらい」

「西さんの小説については、
 リアリティーのありようということについて問題視する選考委員もいらっしゃいましたし、
 必ずしも西さんの評価が低かったというわけではなく、
 最後に2作選ぼうかということになったとき西さんに点数が集まらなかった、
 というふうに理解していただければ」

え!?これだけ!?
三つ巴決戦投票に残ってるのに、これだけ!?
今回の選考会であもちゃんイチオシの作品。
もっと作品の内容に触れていただきたかった・・・

仕方ないからあもちゃん、もう一度書いちゃうもんね。

>一言で言うと「しあわせ♥」である。
>他人と変わった境遇で育った、だいぶ個性的すぎる主人公の女性が、
>友情や愛情を学び、人として成長し、深みのある人間へと変わっていく話
>と言ってしまえば、ただフツーの小説のようだが、全然違う。
>スケールがまるっきり違う。
>ほんと、ぜっっっっっっんぜん、違うの!!!
>声を大にして言いたい。あもちゃん、壮年の主張!!!
>説明しがたい幸福感がそこにはあるのだ。
>仕事中の描写も、愛情や友情の芽生えの描写も、ギスギスしがちな描写も、
>どこにも「すさみ」や「ガツガツ」といった負のオーラが一切感じられない。
>変わり者のサダさんに対する周囲の反応も、微笑ましいものであったり、
>彼らの戸惑いすらも愛おしい。

選考委員の問題視した「リアリティ」なんてぶっとばせ!
そういう勢いがあるのだ、この作品には。
時系列がむちゃくちゃだろうが、リアリティがなかろうが、そんなの関係ねえ。
ぐいぐい踏み込んで、私のハートをガッチリ鷲掴み。
それがこの『ふくわらい』であった。


・伊東潤「国を蹴った男」

「伊東潤さん、(候補作の)最初の作品が『牢人大将』で最後が『国を蹴った男』、
 この2つの作品は、主人公が牢人大将だったり、今川氏真だったりするんですよ。
 ところが真ん中の作品は有名人がバーッと出てくるんだけど、
 有名人をチラチラと出すとどうしても歴史をつまんだようになる。
 そういうところが弱いんじゃないか。」

そうなのよね~。
わかるわかる。今回、なんだかひっじょーに印象の弱い作品が多かったのよね~。

>私の期待を一身に背負って、2度目の登場であった伊東氏。
>それが思わぬ苦戦。
>ぐっと引き込まれたのはたったの1度。

たったの一度、というのは、上記講評にも挙がった『牢人大将』のシーンである。

「今度2回目の候補ですから、3回目はみんな期待しているという形で。」

>その魅力は失われていなかったが、今作品ではあまりその力を発揮しきれていなかった。
>ぜひ!ぜひ次回は頑張っていただきたい!!!

私も、本物の選考委員も、伊東氏には期待しているのは事実。
次回は授賞したいものであります。


・有川浩「空飛ぶ広報室」

「有川浩さんの『空飛ぶ広報室』に関しては、
 自衛隊をずっと書いてこられた方で、非常に丁寧に書いているけれども、
 タイトルと同じように広報小説になっているのではないか、という意見がありました。
 選考会では、あの(作品)世界が高く評価されるということはほとんどありませんでした。」

北方先生、きびすぃーーーー!!!!
直木賞の候補作として挙げられ、読まされたこと自体にご不満なよう(笑)。
が、私も、北方先生はじめとする選考委員の先生方と同じ感想であった。

>ドラマとしても充分見応えあるであろうし、映画化するかもしれない。
>登場人物も多いし、全体的に若いし、華やかになりそうだ。
>が~。
>直木賞候補作、として読むとなると、ちょっと意味合いが変わってくる。
>物語としては面白い。しかし、小説としてはもう少し、なのである。

ここで誤解のないように言っておきたい。
北方先生の講評を意地悪く取り上げてねじまげられ理解され、場合によっては、
自衛隊を書いているから授賞させないのか、このサヨク選考委員どもが!
 →選考委員たちが左翼思想かどうかなんて知りませんが。
などと思う人もいるかもしれないが、私がはっきり否定しておこう。
この小説ではそもそも直木賞はとれません!!
左翼だろうが右翼だろうが、思想は全く関係ない。
この作品は直木賞の器ではない。
あもちゃん、きびすぃーーーー!!!


・志川節子「春はそこまで 風待ち小路の人々」

「志川節子さんの力量についてはなかなかあるんじゃないか、と。」

>志川氏はオムニバス形式の作品で、大変健闘していた。

うむうむ。力量を認めているあたり、同じである。

「ただ、風待ち小路にみな閉じこもってしまって、狭いという意見もありましたね。」
 それと市井の世界にあだ討ちが入ってくるとき、
 武士の世界と町人の世界の齟齬があるのに、
 武士の世界についてあまり的確に書かれていないので、
 そこについて調査が不足しているのではという意見がありました」

そうそう、そうなの。
時代小説にとんと疎い私だが・・・

>もうちょっと何かが足りないのである。
>人物や背景、物語の枠線が少々頼りない。
>悪くはないのだが、ちょっとばかし、雑、に感じた。
>この「雑」さが、何度も書いているうちに洗練されてくるのか、否か。

私が感じた「雑」さは、武士の世界の調査不足が原因であったのか。

「志川節子さんについても、才能は十分にある。感性も十分である。
 あとは数を書いてきちんとした世界を提示することだろう、という意見です。」

>ただ、そこにほどこされた絵の具の色彩は鮮やかで、読んでいて飽きない。
>嫌いじゃない。
>あとちょっと。上位にあがるのに、あとちょっと何かが欲しい。
>筆の勢いか、もっと丁寧な描写力か。
>読後は悪くないし、不快な作品ではない。

志川氏の作品によい印象をもったところも同じであった。
たくさん書いて、経験豊かになったところで再度、志川氏の作品が読めるといいなあと思う。


そして、問題作(?)かつ直木賞受賞作の・・・

・朝井リョウ「何者」

北方氏、よっぽど朝井氏推しだったらしく、講評がやったらめったら長いねん。
前回の候補の時も、北方氏は朝井推しだったらしい。
そりゃ、熱く語るわけだ。

「前回は推した(投票で○を付けた)のは私だけで、後は全部△で、
 第1回目の投票で落ちました(笑)。
 僕は前回非常に悔しかったのであえて言わせていただきますが、
 今回はきちんと雪辱できたというか、まあ良かったなあと思って、
 ニコニコ笑いながら記者会見をやっております(笑)」

俺、見る目あるでしょ?的な感じといい、
手柄は自分、とか北方先生が妙にかわいい(笑)

朝井氏の作品、悪くはなかった。
ただ、私にはどう理解していいのかわからなかっただけ。
おばちゃん、最近の若い者は~、が口癖になりそう。
そういう意味でも、北方氏、感性がお若いんだわ。

「朝井さんの場合は非常に斬新である。
 青春小説として非常に新しい、
 それから現代というものをきちんと書いているというような意見が多かったと思います。」
「朝井リョウというのは、ある意味で才気の作家です。
 才気というのは普遍的に認められるというのはなかなか難しいというところがあったのですが、
 今回はまあ、この才気は本物だろう、と。」

ベタボメですなあ。

「最初の問題として、自分の日常の生活の中からいろいろなものを取捨して選択して、
 それを土台にしてフィクショナルなものを組み立てる。
 それが朝井リョウの小説作法なんです。」

北方先生、なんだかすげー小難しい単語を並べてこねこね説明しているが、
朝井氏の生活に起こる事象を軸にして書いた小説です。
という意味です。
そんなん読めばわかるっちゅーねん。

「前回はめちゃくちゃ言った人も、今回はいいじゃねえか、っていう話になりましたね」

>前回、あまりの衝撃にコンラン状態に陥っていたのだが、今回は普通に読めた。
>普通といえば普通。
>ラスト、ちょっとしたどんでん返しがあり、あ!と思ったので順位が少しあがる。

私の、今回は普通に読めた、というところが、
選考委員の「今回はいいじゃねえか」と通ずるものがある。

「現代というのは非常に青春小説が書きにくい。
 燃えればいい、という時代じゃないもんですから。
 その中できちんと青春小説の形態で、
 自分は何者なんだ、という問いかけをきちんとなしえているという点は、
 才気以外の何者でもない。
 朝井さんの小説は斬新に、現代の青春というものをきちんととらえて、
 何者か、何者なのか、何者にもなりえないのか、
 というようなものをきちんと書き得ていると思いました。」

ふーん。
だそうです。
私はその才気が理解できなかったんだなあ。。。。
好きじゃない、というのが私の理解を阻んだのか、老いが若さを理解できなくなったのか。

以上、年を感じながら講評を終えたい。
今年はスキンケアを重点的にしたほうがいいかしらねえ。。。
その前に、睡眠をしっかりとろう・・・



当てる気ないんでしょ、とか、そろそろイタイとこ突いてこられそうな
あもる一人直木賞選考会。
え?
もう突いてるって?
イタタタ。

老兵は立ち去るのみ。
と痛感した今回の直木賞。

あもちゃん・・・一人直木賞選考会からの卒業をここに発表いたします。

今まで応援ありがとうございました。
こんな一人よがりの選考会を支えていただき、あもちゃん、ほんと感謝感激アメアラレ。
ヨヨヨ。


~~~~♪♪♪


まて~~~。
まてまてまて~~~~~!!!!
あもちゃんはああああ、
あもちゃんは、あもる一人直木賞選考会を、やめへんで~~~~!!!!

~~~~♪♪♪

というわけで、毎度毎度外すことについて、
今回は趣向を変えて、山ちゃんはやめへんで、を真似してごまかしてみました。
文字にするとすぐネタバレしちゃうのがつまらん。

そう!
私、バカだけど、まだまだ本が好き!
直木賞選考会があるからこそ、朝井氏のような作品に出会えるわけで。
まだまだ続けて行くつもりです。
引き続き、ご愛顧のほど宜しくお願いいたします。

でも私、昔っから、テストでミスしたとこを復習したりするの、嫌いなんだよな~。
テストが終わったらそのまんま。
よって、受験戦争も大敗退。
失敗を次に生かさない女、それがあもる!きりりっっっ!!!!
次回の選考会も大失敗するよ。→もう自棄。

次回お会いするのは半年後の夏。
青い空の下、私の三振ショーをお楽しみに!