磐船を歩く 1 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉


広島人であるあもんが大阪の町を歩いていると
『せやろ?』と時々聞こえる
それを見たあもんは『せ、せやね…』と思わず…
すると大阪の町から『せやねん!ここが大阪やねん!』と聞こえてくる
大阪人3年生のあもんが大阪を確かめる旅
“せやねん、大阪”
今日は磐船を歩き旅します


放浪日:2013年5月26日

大阪に隠れたパワースポットがあると聞いた
大阪府交野市にある磐船神社だ
最近、どうやら疲れやすい
休日でも半日は身体がだるく、ゴロゴロしてしまうお年頃になってしまった
だから、パワースポットがあると分かったら行くしかない
自然の元気を頂きに行くしかない
思えば、あもんは1年以上パワースポットを旅していないと気がついた


交野市へ行くには京阪電車である
枚方市駅で乗り換え、京阪交野市線の終点である私市が最寄りの駅だ
ちなみに私市とは“しいち”でも“わたくしし”でも“しし”でもない、“きさいち”と読む
読めない大阪地名のひとつだ
私市駅は昭和4年にはもう開業していた歴史ある駅であり
昔はおりひめとひこぼしというロマンチックな電車も走っていたらしい
この沿線に並行して流れている川は天野川だ
まさか、あの七夕伝説の発祥の地か?と思ったが、そんなことないやろと自答した
そんな私市駅に降りてみると
そこには何故か機関車トーマスがあった



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『そのまんまやん!』と心の中で優しく突っ込み、ホームを降りる
改札口辺りもトーマス一色だ
駅舎を振り返ってみると大きなトーマスが!
この徹底ぶりには感心するが、そこにキャッキャとはしゃぐ児童はいなかった
『うん、たまたま、時間帯が合わなかっただけやんね』


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事前に調べた結果、ここから磐船神社にはバスが出ていると言う
バスが出ていると言うことだけ覚えて、時刻表までは確認しなかった
何故なら、ここは大都市大阪
どの駅でも時刻表は設置されているがそれを確認したことは無い
何故なら、ドンドン列車が来るからだ
ホームで10分以上待ったら、イライラし始めてしまうと言う大阪人
大阪人のせっかちさは要所要所で確認できる
そして、あもんの旅のスタイルは“いきあたりばっ旅”
あまり詳しく調べて行くと驚きが少なく、少し勿体ない気がするのだ

朝食代わりに近くの商店でパンとコーヒーを買った
『どこまで歩かれるんですか?』と親切な店員さんが話しかけてくれた
『磐船神社までです。バス停って見当たらないのですが、どこにあるのですか?』
『え、バス?…』

店員さんは少し申し訳なさそうな顔をしている
『バスはちょっと、もし、歩いていかれるなら、国道を避けて遊歩道を歩く方がいいですよ』
店員さんは観光用周辺マップをあもんにくれた
『京阪バスのバス停はあちらですが、一応、そこで時刻表を確認してくださいね』
『はい。ありがとうございます』



あもんはバス停で時刻表を確認してみた


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『おい!もっとがんばれ!』

あもんは少々困った…
今日は歩き旅の予定では無く、その装備は一切ない
靴だけは登山靴を履いているが、水分もタオルも帽子さえもない軽装だ
地図には目安の徒歩時間が書いてある
磐船神社は軽く一時間を超えると言うことを発見した


『まぁ、ええか、どうにかなるじゃろ』

こんな時は楽天的あもんに頑張ってもらおう


『これこそ、いきあたりばっ旅じゃのう』
と小さく自分を慰めた

この周辺はおおさか環状自然歩道として整備されており、天野川沿いに遊歩道が続く



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有名なウォーキングコースなのか、多くの老夫婦や家族連れがウォーキングをしている
あもんはひとり歩きなので歩くペースは結構速い
よって、前を歩く人を追い越し、黙々と磐船神社へ向かった
あもんが追い越したグループで、はほとんどのグループが笑いながら楽しんでいる
確かに、笑いながら自然の中を歩くことは良い
木漏れ日がキラキラと輝き、鳥の鳴き声が遠くで聞こえる

この時期は動植物全てが芽を覚ましたばかりで、自然全体が元気にあふれている
元気の中に包まれると元気になれるのは自然の不思議であり
歩けば歩くほど、気持ち良く疲れることができるのは自然の恩恵とまでも言える
大都会大阪でコンクリートの箱の中で企業戦士として戦うのは心身ともに疲れる
ウォーキングは至って簡単で安価なストレス解消となりえる
あもんは良く考えてみるとこの様なウォーキングが一年以上ぶりだった


前方から中学生らしきカップルが向ってきている
二人とあもんは眼が合い、軽く会釈する
すれ違う瞬間、カップルの彼女の方が囁いた



『自由人…w』


そして二人はクスクス笑いながらあもんから遠ざかって行った

『あっ…』
『そういうこと!』


今日は多くの笑い声が聞こえるな、さすが大阪人、笑いを常に忘れない!
と思っていたのだが、その要因はあもんのTシャツにあった



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自由人と書かれているオレンジ色のTシャツは
あもんのお気に入りTシャツのひとつである
主にパワースポットへ旅した時にパワーを増幅できる機能があるTシャツだ
さすがのあもんでも結婚前のお年頃なので
梅田のど真ん中でこのTシャツを着て歩くのは少々恥ずかしい

今日は久々にパワースポットへ行くと気合いを入れてタンスから引っ張り出したのだった
どうせバス旅だから汗もかかないだろうと、自由人Tシャツの上にパーカーを着て旅へ向かった
しかし、いきあたりばっ旅の為、状況は変わった
今日は5月のくせに最高気温29度という記録的な暑さ
歩き始めて3分でパーカーを脱ぐのはとても自然なことだった


そして、この自由人Tシャツの背中には素敵な文字が描かれている


『広島魂』


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『そうか、追い抜いた人はあもんの背中を見て、笑っていたのかww』
『ええやん!大阪!』


記録的な暑さのせいなのか、体温が上がり顔が真っ赤になった
だが、ちょっぴり嬉しい
笑われていることがちょぴり嬉しい


『これが広島魂じゃ!!』
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と大阪人を笑わせることができることに少し快感を覚えるようになった


この辺りは国定公園ほしだ園地というらしい
一日かけてゆっくり歩くとツッコミどころがたくさん見つけられる気がする
大阪の街では味わえない自然を満喫できる



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そして突如現れる人工的建築物


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不自然なトコロを我がもの顔で行うのが大阪人のたくましい処である
ここでもう一度地図を見てみる
あもんの目的地である磐船神社はどうやらほしだ園地内では無いらしい
地図に添って歩いてみると、辿り着いたのは国道であった

『え?なんで?磐船神社まで遊歩道ないの?この歩道のない国道を歩くの?』
さすが隠れたパワースポット、すんなりと行けないようにしているのはわざとなのだろうか
あもんが歩いている国道は168号線
2車線でタイトなコーナーとアップダウンが続く道路だ
良く見ると路面にはタイヤ痕が多く見られる
多分夜な夜な自慢の車をクルクル回る遊びが行われているみたいだ
そんな気持ちの良い道路なので、走る車はそこそこ快走している
その路肩を歩くなんて、ちょっとドキドキする


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太陽の照り返しが容赦なく襲ってくる
歩き旅が好きなあもんでも国道路肩ウォーキングは初めてだ
ドキドキしながら、改めてスピードは落とさないといけないと勉強になった



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あもんのオレンジ色Tシャツが良かったのか、車は遠くから広島魂を確認し、お陰で接触することは無かった
磐船神社近くでトンネルを見つけた
天の川トンネルと書いてあった


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『まさに川のトンネルやん!こんだけの量が川に流れたら大事やん!!』
さすが大阪人、やることのスケールが大きい
広島魂を大阪人に存分に見せつけて、あもんは磐船神社に着いた
それは、パワースポットらしい厳格な雰囲気に包まれていた



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磐船神社は天照国照彦天火明奇玉神饒速日尊(あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと)が天の磐船に乗って河内国河上の哮ヶ峯(たけるがみね)に降臨されたとの伝承がある
しかし、神社の起源は不明である
不明であると言うことが大阪人のノリのように思ってしまうが…
「磐船(いわふね)」とは石でつくられた船の意であり、「天磐船(あめのいわふね)」とは高天原と地上を行き来するいわば空飛ぶ円盤のようなものだろうか
『日本書紀』にしたがえば、物部氏の祖にあたる饒速日命(にぎはやひのみこと)が、この天磐船に乗ってこの地に降り立ったという


さっそく岩窟に向うことにした
そう、この神社の岩窟の中にパワーがみなぎっていると言うのだ
拝観料を払う時にあもんは言われた
『お荷物はありませんか?』『はい。ありません』
『岩に書いてある矢印の方へ向かってくださいね』
『ポケットの中のモノ落とさないように気をつけていってらっしゃいね』『はい??』

ふと案内板に目が掛かった



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『服は必ずよごれます』『え?汚れるって…』
磐窟の入り口付近で大阪のおじさんに話しかけられた
『にいちゃん、今から行くんかい?ズボンが泥だらけになるで~あっはっはっ』
あもんの返事を待たず、おじさんは笑いながら去って行った
磐窟は鳥居の様な形をした入口から入る



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『狭っ!』
誰もがここで第一ツッコミをするであろう

続く