「それでは『おはなし会』始めまーす」
相葉さんの声に、子どもたちが静かになった。
「今日はこのお話です」
相葉さんが出した絵本に、知ってるー!とか、読んだことあるー!って子どもたちが盛り上がる。
「にぃ!あれ、にぃが好きなやつ!」
潤が楽しくて仕方ないって顔して、俺を振り向いた。
「始まるから、前向いてろ」
うんって、素直に前を向いた潤を膝の上に抱き上げた。
喋っている時とは違う、相葉さんの声。
ゆったりして、あたたかくて、心地いい。
「……おしまい」
ぱたん、と本を閉じた瞬間に、次のお話はー?って声が上がる。
「じゃあ、次はねー、コレにしようかなっ!」
じゃーんって、相葉さんが出した本は、何故かまた俺が好きだった絵本で、潤がまた笑顔で俺を振り返った。
「誰かにお手伝いしてもらおうかなぁ。お手伝いしてくれる人ー?!」
相葉さんの声に、あちこちからはーい!って手が上がる。
「にぃ!にぃも読んで!僕、にぃが読んでくれるの、好き!」
「いや、お友だちに聞いてるんだろ?」
「だってあれ、にぃが読むと面白いもん!」
潤が俺の手を掴んで、はいっ!って上にあげた。
「こら!」
相葉さんと、周りのお母さん達の視線が、痛いくらい突き刺さる。
「あっ……すいません。弟が、勝手に……」
「じゃあ、お願いしようかな?」
「は?」
相葉さんが俺を見てにっこりと笑って、おいでおいでって手を動かした。
「にぃ、早く!」
潤に急かされて、相葉さんの隣に用意された椅子に腰掛けた。
「じゃあ、まずはかっこいいお兄さんにお名前を聞いちゃおうかな」
「……櫻井、翔……です」
「翔くん、だね。じゃあ、かっこいい雅紀くんとかっこいい翔くんが、今からこのお話を読みますよー!」
くふふふふって笑った相葉さんに、こどもたちがはーい!って元気に返事を返した。