今年は古事記編纂1300年。



機会ある度に回りの人達には言っていますが、浸透度が少ないのが実状です。本屋に行けば、昨年から沢山の古事記本が出てきましたし、雑誌の特集やムック本も沢山出ていますので、本屋に行くような人にはある程度は知られているかもしれませんが、そうでなければ全く知らないでしょうし、知っても「あっそう」で終わっている人も多いでしょう。



来年になれば、古事記関連の出版は減ってしまうかと思うと、この機会に日本神話が浸透してほしい私としてはヤキモキしてしまいます。ただ伊勢神宮や出雲の大社の式年遷宮がありますので、一気に消えないだろうというのが救いではありますが。



ということで、古事記を知ることがなぜ重要なのか、古事記の秘密を一言で言います。これを知ればあなたもきっと古事記を知りたくなります。



古事記最大の秘密とは?



それは古事記が【日本攻略本】であること。



古事記の2/3は神々や神々に絡んだ話となっています。つまり日本神話が語られているのが古事記です。



神話はその民族の知恵の結晶です。その国やその国の人について知りたかったら、神話を読むのが世界の常識です。民族の特色や社会の成り立ち構造などが、その民族の神話を知れば理解できるからです。つまり日本や日本人の本質がわかるのです。



日本や日本人の本質、社会の構造がわかるということは、長所も短所も強みも弱味も全てわかるということです。だから古事記を知れば日本が攻略できるのです。



日本人が学ばなくなっているのに、日本攻略本としていい意味でも悪い意味でも日本に興味のある人達が研究しつくしているのが古事記なのです。



幕末の有名なイギリス人通訳アーネスト・サトーは日本神話を研究していましたし、昭和のスパイ事件ではロシアスパイ、ドイツ人のゾルゲが古事記と日本書紀の翻訳本により日本語が話せないにも関わらず「日本を三ヶ月で理解した」と語っています。



聖書やコーランなど、キリスト教徒やイスラム教徒が何度も読むのは、それが彼らの神話だからです。彼らは宗教としての神話を読んでいるのですが、日本人は違います。古事記は民族の神話なのです。日本は、神話から続く国で現存している世界唯一の国ですから。



日本攻略本として有名な本だったのに、日本人が知らなかったなんておかしいですよね。それは終戦後GHQが行った政策の一つが、日本の教育から日本神話を取り上げることだったからです。イギリスの著名な歴史家トゥインビーは、「10歳ぐらいまでにその民族の神話を教えられなかった民族は100年後みな滅んでいる」と語っています。



終戦後何年経っていますか?



だからこそ古事記は、日本人が一番学ばなければならないものなのです。日本人が日本や日本人を攻略できないのに、外国人が攻略できるほど危険なことはありません。



今からでも是非「古事記」を読んでみてください。知らなかった人はもちろん、知っていても再度読んでみると以前とは違った視点で新たな発見があるはずです。何度でも読むことにより、その時の視点で新しい発見があるでしょう。



私はこの歳になってやっと日本の社会の仕組みなどについて理解できるようになりました。そうなると、けっこう人間関係がスムーズになってくるから不思議です。もっと早く知っていれば、違う人生になっていたのではないかと最近考えるほどです。



さて古事記ですがいきなり古文は難しいという方に、竹田恒泰氏の「現代語古事記」がお薦めです。映像で見たい方には古事記縁の地の映像とともに竹田氏が古事記の講義をしているDVDがあります。これの入門編だけでも初心者にはいいかと思います。(ただDVDは市販されていないので竹田研究会か竹田氏の講演会に一度参加してみてください。)もちろん、竹田氏以外にも、古事記関連のものは沢山ありますが、せっかくの古事記を変なフィルター越しに知ってほしくないと思うと問題なく薦められるのがまずこれらです。



またもっと優しく子供用の本から入る場合、古事記を歪めているものがあることをご承知おき下さい。古事記に限らず、子供用の本は思想操作に利用されていますので、お子様用にと考えられている方はまずご自分でもご一読を。そういう本は、一見もっともらしく書かれていてパラパラ読んだだけではわからず危険です。



なお、古事記と同時期に編纂された日本書紀にも神話が載っています。こちらは古事記とは違う編集になっており、こちらも学ぶとさらに日本がわかるかと思います。


そうして日本神話を学んだ後には、古代史探検の楽しみも生まれます。色んな説があってとても面白いんですよ、日本の古代史は。


でもまずは「古事記」攻略です!