初代の天皇神武天皇は、即位4年目に詔をしました。


「我が皇祖の霊が、天から降り眺められて、我が身を助けて下さった。今、多くの敵は全て平らげて天下は何事もない。そこで天神を祀って大孝を申し上げたい。」


これは大和朝廷に古くからあった、天皇(大王)自身が祖先神(皇祖天神)を祭祀される伝統の原点を示すものです。つまりこれが日本人が先祖を祀る習慣の原点ともなるわけです。ここに書かれているということは、長い間そういう習慣があったからこそのことでしょう。


日本書紀には、神武天皇が即位76年目の3月11日に崩御されたとあります。


神武天皇祭は、幕末の孝明天皇の時代に御陵祭として始まりました。「諸事、神武創業の始に基づく」王政復古の大号令を発した明治維新政府は、明治三年(1870年)の3月11日、神祗官に天皇の出御を仰ぎ、神武天皇祭を親祭として発足させました。それが同6年から新暦に換算して4月3日となり、その後国家的な祭日の日と定められました。しかし、昭和23年(1948年)を最後に祝日からは外されています。


しかし、今も存続している大事な宮中祭祀の一つなのです。


当日、皇霊殿で儀式が行われるとともに、勅使を差遣して畝傍山東北陵に奉幣を行います。また、橿原神宮や宮崎神宮などの神武天皇を祀る神社をはじめ、日本全国の神社のほとんどで遥拝式あるいは祭典が行われています。


お近くに神社のある方は、ぜひ参拝されてみてはいかがでしょう。



参照:「天皇の『まつりごと』」
「全現代語訳日本書紀」