「こをろこをろ」という言葉のある歌で怒りを鎮めた天皇がいます。







それは雄略天皇。







古事記によれば、それは枝の繁った欅(けやき)の木の下で、采女が欅の葉が盃に落ちたのにきづかずに、天皇に賜った時のことです。天皇はその葉を見て怒り、その采女を手打ちにしようとしました。







しかし、その時采女が天皇に命乞いをして歌を歌い、その中に「~水(みな)こおろこおろに~」という歌詞があったので命を助けたのです。







「こをろこをろ」といえばもちろん「古事記」の冒頭の国生みの際に語られる音で、その歌は国生みにたとえた歌だったのです。







そして雄略天皇は御機嫌がよくなって采女にご褒美まであげています。







さて、この歌で雄略天皇がご機嫌になったということでわかることがあります。

それは、雄略天皇の時代には、国生み神話が伝わっていたということです。







しかも、この歌はもともと景行天皇を称える歌が雄略天皇を称える歌に変わったようだともいわれています。

ということは第二十一代の雄略天皇よりも昔の第十二代景行天皇の時代に既に国生み神話が伝わっていたことになるのです。







その伝承を元に作られたのが「古事記」というわけです。







参照:「現代語古事記」