日本人であれば、自分の名前に使用されている漢字に興味を持ったことがあると思う。名字についての本が多いのはその現れだろうし、名付け本も多い。私も昔からそういう本でチェックしてきたし、自分の名前を古代文字のアート習字で書いたこともある。


自分の名前に興味を持つのは自然なこと、そして自分に関係あるものに興味を持つのも自然なことです。


そして去年から約10カ月歴代天皇について調べていて興味を持ったものの一つが「仁」です。第五十六代清和天皇以降の御名に始まり、今上天皇陛下までのほとんどの歴代天皇の御名に「仁」があるからです。


惟仁(これひと)親王→第五十六代清和天皇
敦仁(あつぎみ)親王→第六十代醍醐天皇
懐仁(やすひと)親王→第六十六代一条天皇
親仁(ちかひと)親王→第七十代後冷泉天皇
尊仁(たかひと)親王→第七十一代後三条天皇
貞仁(さだひと)親王→第七十二代白河天皇
善仁(たるひと)親王→第七十三代堀河天皇
宗仁(むねひと)親王→第七十四代鳥羽天皇
顕仁(あきひと)親王→第七十五代崇徳天皇
体仁(なりひと)親王→第七十六代近衛天皇
雅仁(まさひと)親王→第七十七代後白河天皇
守仁(もりひと)親王→第七十八代二条天皇
順仁(のぶひと/よりひと)親王→第七十九代六条天皇
憲仁(もりひと)親王→第八十代高倉天皇
言仁(ことひと)親王→第八十一代安徳天皇
為仁(ためひと)親王→第八十三代土御門天皇
茂仁(ゆたひと)親王→第八十六代後堀河天皇
秀仁(みつひと)親王→第八十七代四条天皇
邦仁(くにひと)親王→第八十八代後嵯峨天皇
久仁(ひさひと)親王→第八十九代後深草天皇
恒仁(つねひと)親王→第九十代亀山天皇
世仁(よひと)親王→第九十一代後宇多天皇
熙仁(ひろひと)親王→第九十二代伏見天皇
胤仁(たねひと)親王→第九十三代後伏見天皇
冨仁(とみひと)親王→第九十五代花園天皇
量仁(かずひと/ときひと)親王→北朝第一代光厳天皇
豊仁(とよひと/ゆたひと)親王→北朝第二代光明天皇
興仁(おきひと)(初名は益仁:ますひと)親王→北朝第三代崇光天皇
弥仁(いやひと/みつひと)親王→北朝第四代後光厳天皇
緒仁(おひと)親王→北朝第五代後円融天皇
幹仁(もとひと)親王→第百代後小松天皇

以降、女性天皇を除く歴代天皇全員の御名に「仁(ひと)」が使用されている。

追号そのものに「仁」がつく天皇もいますが、古代の天皇に共通しているのが善政をしいたことです。

古墳時代まで
第十一代垂仁天皇
第十六代仁徳天皇
第二十四代仁賢天皇

飛鳥時代以降
第四十七代淳仁天皇
第四十九代光仁天皇
第五十四代仁明天皇
第百二十代仁孝天皇


特に第十六代仁徳天皇は、聖の帝と称えられ後の天皇が見本としてきたといいます。

「仁」とは、人に対する親愛の情を意味し、儒教における最重要な五徳の一つです。私の持っている辞書では、「不仁」以外の「仁」のつく言葉全部が良い意味でした。(33語)



名詮自性という仏教用語がある。名はそのものの本性を表すという意味だ。言霊の国日本であるから、選び抜かれた字が「仁」なのです。そう思ってこの字を見ると、歴代天皇から今上天皇陛下、また未来の天皇までの理想や目指すものが見えてきます。


※旺文社の漢和辞典による仁の意味
①いつくしむ。いつくしみ。愛する
②したしむ。したしみ。「親を親しむは仁なり」〈孟子・告子〉
③おもいやり。なさけ。めぐみ。あわれみ。
④(ア)儒教で説く最高の徳。人道の根本。
(イ)五常(仁義礼智信)の一つ。
(ウ)道徳の通称。
⑤徳の高い人。「ひろく衆を愛して仁に親しむ」〈論語・学而〉
⑥人情に厚い風俗。「仁におるを美となす」〈論語・里仁〉
⑦ひと=人。
⑧さね。果実の核の中身。「杏仁」。
⑨しのぶ=忍。