ひらがなの「に」は、「仁」の草書体で、カタカナの「ニ」は「仁」の省略形だ。(数字の二説もあり)


漢字はその文字から、意味が読み取れる。ひらがなや片仮名から読み取れるのは、その音の語感ぐらいだと思っていた。しかし、そうでもないんじゃないかと最近思う。


私が初めて「仁」という字を知ったのは「里見八剣伝」の珠からだ。ドラゴンボールが始まったとき、八剣伝じゃん!と思った人多いと思うが、四方に飛び散った仁義八行の数珠の大玉の1つが仁の珠だった。仁義八行とは、仁義礼智忠信孝悌をいい、最初に来るのが仁。一般的に最初に来るのは重要なもの、大切なものとなっている。つまり「仁」とは、重要なもの・大切なものとなる。しかし、一番重要で大切なものとは何なのか?


旺文社の漢和辞典によれば、仁の意味は9つある。
①いつくしむ。いつくしみ。愛する
②したしむ。したしみ。「親を親しむは仁なり」〈孟子・告子〉
③おもいやり。なさけ。めぐみ。あわれみ。
④(ア)儒教で説く最高の徳。人道の根本。
(イ)五常(仁義礼智信)の一つ。
(ウ)道徳の通称。
⑤徳の高い人。「ひろく衆を愛して仁に親しむ」〈論語・学而〉
⑥人情に厚い風俗。「仁におるを美となす」〈論語・里仁〉
⑦ひと=人。
⑧さね。果実の核の中身。「杏仁」。
⑨しのぶ=忍。


ちょっと昔の日本人が好きだったような言葉が並んでいるのに驚きです。


私は愛という言葉は日本人の日常に合わないと常々思っているのだけど、日本人的な愛の言葉にあてはまるものが今までは「情」しか思い浮かばなかった。(語彙が少ないです、はい。)でもこの「仁」の意味を見たら、「仁」こそが日本人的愛なんだなと思う。


で、ひらがなの「に」に戻ると、「に」と一文字でいえば、意味するのは笑い。思い浮かぶのは笑顔だ。つまり、仁があればそこには笑顔があるわけです。


昔はひらがなにも色んな書き方があった。つまり、元の漢字によりバラバラなひらがながあったのを統一したのが、今のひらがなだ。「に」が「仁」からの「に」決まった理由の一つは、仁の意味にもよるのかもしれないと想像してしまいます。


笑顔、一番重要じゃありませんか?大昔、幕末やそれ以前に日本に来日した外国人は、庶民の笑顔について記録しています。そして、明治になり再来日した外国人が、笑顔が減ったのを悲しむ記録もあります。今の日本を見たら、どう思うでしょう?