劇場霊 | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。


劇場霊


2015年/日本/99分
監督:中田秀夫
出演:島崎遥香、足立梨花、高田里穂、町田啓太、小市慢太郎、中村育二、他
おすすめ度(5点中) → 2.9


――― あらすじ ―――――――
未だ芽の出ない若手女優、水樹沙羅は、気鋭の演出家・錦野豪太が実在の女貴族エリザベートの生涯を描く新作舞台に端役で出演することに。小道具として不気味な球体関節人形が置かれた舞台では、主演の篠原葵、野村香織ら女優陣が火花を散らしながら、連日稽古に打ち込んでいく。そんな中、劇場内でスタッフの変死体が発見される。さらに、今度は葵が不慮の事故で降板、沙羅が代役として主演に抜擢されるのだったが…。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――
中田監督、「MONSTERZ モンスターズ 」の時はいったいどうしたのだろう?と思っていましたがw、今作はある種の味わいがあります。 いろいろと突っ込みたくなる作品でしたが、なんか嫌いにはなれないですね。


▲まだ売れていない女優・水樹沙羅が主人公。

彼女が普段やっている役柄といえば、死体や殺され役など。それでも彼女は劇中の全ての台詞を暗記してしまうぐらい芝居に熱心だったりします。


そんな彼女ですが、事務所に頼み込んで受けたオーディションから、演出家・錦野豪太が手掛ける新作の舞台に出演することになります。このオーディションでは沙羅の先輩で売れっ子女優でもある篠原葵も参加していたんですが、彼女はオーディションで台詞を忘れていたのに主演の座を得てしまうのです。


▲先輩の篠原葵(左)はトップ女優だが、沙羅に対する接し方が最悪なのです。


はぁ。台詞を忘れていた葵は主役で、全部覚えていた沙羅は脇役か。不条理だなー。結局華のあるトップ女優を使いたいんだろうね。

こういう設定はけっこう好きなんだな。「この映画けっこう好きかもポイント①」としておきましょう。


さらに野村香織っていう他の脇役の子が、沙羅のことを知っているっていうのがグッときました。「あぁ、貴女もしかして『○○○○○』で殺されてた人じゃない?」って。なんていうんですかね、この映画の脇役に対する愛を感じた、というと言いすぎでしょうか。「この映画けっこう好きかもポイント②」です。


▲同じ脇役の野村香織(左)もいい感じなのです。


さて、いよいよ稽古が始まりますが、ここでトラブルが起きます。この舞台は「永遠の若さ」を求めた女貴族エリザベートを描いたお話ですが、そのエリザベートっていう人は永遠の美のために若い子を殺して生き血を浴びていたというんですね。で、なんとそのエリザベートの心の声を表現する「人形」が舞台においてあるんですよ。この人形が危険でしてね、これは呪いの人形なんです。


この人形のせいで、まずは小道具係の女性が死んでしまいます。続けて主演の葵も事故で意識不明になります(ざまぁ(`∀´)!)


恐るべし人形ですが、元はある人形作家が長女のはやすぎる死を嘆いて作ったもの。精緻に作られたこの人形には魂が宿り、生きている女性への嫉妬心が芽生え、結果、人形作家の次女・三女が死んでしまいました。慌てた人形作家はこの人形を涙ながらに破壊したものの、何十年かたった現代で美術担当の人がちゃっかりその頭部を見つけて舞台に設置しちゃったのです。


さて、主演の葵が意識不明になったので、主役が沙羅になります。でも沙羅は演出家が求める“枕営業”を断ったことで執拗な演出いじめにあいます。そこへ追い打ちをかけるように、呪いの人形の地味すぎる「ギョロ目攻撃w」をくらい、沙羅はすっかりビビってしまい、主役を降板。新主役として香織が抜擢されるのです。


劇場には主役の座を狙った女優たちの嫉妬が渦巻いていて、エリザベートの心も嫉妬に満ちているんですが、残念だったのはこれらの嫉妬が呪いの人形の嫉妬心と完全にリンクしていないことです。


式にすると

女優たちの役に対する嫉妬 ≠ エリザベートの若さに対する嫉妬 ≒ 呪いの人形の生命に対する嫉妬

って感じです。全部が=にならないのが残念なんです。


つまり、この呪いの人形って、結局どんな舞台だろうが惨事を引き起こすだろうって思っちゃうんです。この舞台だからこそっていうのがないんですよね。


▲沙羅は美術の人を味方につけ人形のことを調べます。


で、最後の方は呪いの人形が大暴れ!人を殺しまくります。警察もいますがみんな無能です(笑)。人形はエクソシストばりに首まで回転します(萎えました)。


▲呪いの人形が暴れる!


「この映画けっこう好きかもポイント③」 笑ってしまうぐらい期待通りの画(笑)。


沙羅が「ちょうだいちょうだいって、あげないんだからー!」と人形に言い放つシーンが愉快。「この映画けっこう好きかもポイント④」でしょうか。その台詞どっから出てきた(笑)。

ちなみに、その時に沙羅が呪いの人形の顔にブッ刺した舞台セットは、前半~中盤で美術さんが磨いているシーンがあってね、その回収もいいなと。


酷評だらけですが、何か得るものがあるかもしれませんよ(^∇^)。ではでは。