グスコーブドリの伝記 | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。

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グスコーブドリの伝記


2012年/日本/108分
監督:杉井ギサブロー
声の出演:小栗旬、忽那汐里、佐々木蔵之介、林家正蔵、林隆三、草刈民代、柄本明、他
おすすめ度(5点中) → 2.9


――― あらすじ ―――――――

美しいイーハトーヴの森に暮らすブドリは、両親と妹ネリと幸せな日々を送っていた。しかし冷害による激しい飢饉が森を襲い、両親は家を出て行き、妹は“コトリ”という謎の男にさらわれてしまう。その後、てぐす工場や山師・赤ひげの農場で働き様々なことを学んでいくブドリ。やがてイーハトーヴの高名な学者クーボー博士と知り合い、彼の紹介で火山局に勤めることに。そこで局員としてたくましく成長していくブドリだったが、ある時、再び大きな冷害が襲ってくる。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――

私、映画「銀河鉄道の夜」が大好きなんです。だから同じスタッフが再結集して作った今作に期待大だったし、何よりもあの猫ちゃんたちがスクリーンで観れるってだけでウキウキだったんですよ~(^∇^)

でも感想を簡単に言ってしまうと、微妙だったニャ~。ニャンて書いていいものか非常にニャやみますね。

と、猫語を使いだしている時点でかなり危険(笑)。悩んだまま書きたいと思うのできっとグダグダになりますね。スミマセン。


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▲主人公ブドリの一家は幸せいっぱい。父、母、ブドリ、妹の4人家族だ。

序盤のこの食卓シーンなんだけど、会話があまりにも絵空事みたいで、ちょっと怖かったな(笑)。


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▲ある時、冷害が村を襲う。

これにより、自然を相手に仕事をしていたブドリの父をはじめ多くの者が仕事を失い、食べ物に困っていた。


そんな過酷な状況のなか、ある晩ブドリの父が森へ消えてしまう。

ブドリの父は「ちょっと森へ遊びにいってくる」って言い残して行ってしまうんだけど、

「遊びにいってくる」という単語に不謹慎にもコミカルなものを感じてしまい、観終わったあとちょっとした笑い話になってしまいましたw。


続いて、失踪した父を追いかけて、母も森へ消えてしまう。


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▲こうして、ブドリは妹・ネリと2人っきりになってしまうのだ。


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▲しかし、ブドリにとって唯一の肉親となってしまったネリも、コドリという死神的な存在にどこかに連れて行かれてしまう。コドリが連れていった先は、現実ではなく、どこか非日常なる世界。


だけどね、現実と非現実があいまいに描かれるこの世界観はとても好きなんですが、

主人公ブドリにあんまり感情移入できなくて物語をワクワク観ることが全然できませんでした。

結果、ふわふわした心地よさだけが残ってしまい、困ったことに睡魔が襲ってくるんです(^∇^)。

この睡魔には2度ほどヤラれてしまいましたねw。


なんで、ブドリに感情移入できなかいか考えてみると、

おそらくこの映画のつくりがナレーションベースであるせいだと思うんです。

だから、物語を俯瞰で観た感覚になってしまい、ブドリがどーしても“他人”でしかない感じになり、

同調できなくなっていると思うんですよね~。


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▲フワフワした映像美が、睡魔を呼ぶ。


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▲そして、ひとりになったブドリは家を離れ、旅に出るのだった。


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▲素直で頭の良いブドリは、行く先々で出会いと別れを繰り返しながら成長していく。

彼が出逢った人たちは、農作業など常に自然と対峙しており、

時には無力に、時には恐れを知らない無礼な態度で自然に接している。

やっぱり“自然との共生”と“そのなかで自分はどのようにいきるべきか”が重要なテーマなんでしょうね。


ところで、冒頭で宮沢賢治の有名な「雨ニモ負ケズ」がフルバージョンで語られるんですけど、

それは主人公ブドリの生き様でもあるんですよね~。


●○● 「雨ニモ負ケズ」フルバージョン ●○●

雨にも負けず 風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち

慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを 自分を勘定に入れずに よく見聞きし分かり そして忘れず

野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば 行って看病してやり

西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず 苦にもされず

そういうものに わたしは なりたい



物語の最後で、再び冷害が襲ってくるんですけど、

ブドリはこの「雨ニモ負ケズ」の自己犠牲の精神で、自分の命をなげうって皆を救う行動に出ます。

それは、冷害の被害を食い止めるために火山を活性化させるって作戦なんですが

ブドリは自ら火山に飛び込んで(?)、火山を噴火させるんです。

んで、ブドリの魂がキラキラキラ~ってふりまかれて、このシーンだけみるとエラい感動的なんですけどね、

なんでブドリが命を捨てないと火山が噴火しないのかな?ブドリは人間(猫)爆弾なのかなw?


観念的な映画に、設定がどうのこうの言うものじゃないんでしょうが

そのへんをリアルにやってくれた方が説得力があって個人的には好みでした。

ふわ~っとした全体の流れのなかで、ふわ~っとした英断が描かれてもね~。


しかも、ブドリは心の声をこれでもかってぐらい語ります。

さらに、ブドリ自己犠牲の感動シーンのあとで、エンディングテーマが流れてくるんですけど、

クドい!って思いました(ゴメンナサイ)。

まぁ、これはあくまで私個人の感想ですんで、人によってはかなりツボにハマるかもしれません。

もし観るなら、睡眠を十分にとったうえで観ることをおすすめします(笑)。