かなり大雑把に言えば、「事業者が有料で行う、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」に対し、消費税が課される(消費税法4条1項)。事業者が、代金を受け取って、物を渡したり、物を貸したり、一定の行為を行ったりすれば、その事業者は、消費税の納税義務者になる。
余談だが、食品スーパーなどの事業者が、きゅうり1本を28円で販売した場合は、消費税が課されるが、証券会社や銀行などの事業者が、個人向け国債を販売した場合は、消費税は課されない。課税と非課税の線引きは、かなり恣意的である。
消費税率が、3%から4%(地方消費税と合わせて、実質5%)に引き上げられた1997(平成9)年以降ずっと、消費税収は、ほぼ10兆円で推移している。ということは、
消費税込みの最終消費 x 消費税率 = 消費税収
(260兆円 x 104分の4 = 10兆円)
この260兆円というパイを広げないまま、単に消費税率を8%(地方消費税と合わせて、実質10%)に引き上げたら、消費税収が10兆円から19.3兆円に増え、最終消費の売上高が250兆円から240.7兆円に減る。そうなれば、必然的に、法人税と所得税の税収は落ち込む。下手をすれば、"行って来い"である。
富裕税法(昭和25年法律第174号)という名の個人金融資産税法を再導入し、260兆円というパイを広げれば、消費税率を引き上げなくても、消費税収は増え、必然的に、法人税と所得税の税収も増える。だから、約1400兆円あると言われている個人金融資産の5%、70兆円を、資産税として納税していただき、復興財源とし、財政出動をすべきである。
神奈川県にて
佐藤 政則