個人金融資産1400兆円は、消費には回らないお金である | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 いわゆるサブプライム住宅ローン問題の影響が、世界中に広がる中、リーマン・ブラザーズ社が破産法の適用を申請したのが、2008(平成20)年9月。
翌春の3月、麻生太郎内閣は、88兆円の本予算を組み、続けて5月に、14兆円の1次補正予算を組んだ。9月に政権交代があり、民主党が政権に就いて、1次補正予算の一部を執行停止したりしたが、財政出動自体には反対ではなく、2次補正予算において、急激に税収が落ち込んだとして、税収減の額9兆円あまりをそのまま、赤字国債を発行して穴埋めした。

 財務省のウェブサイトに、一般会計税収と一般会計歳出総額と公債(建設国債と赤字国債)の発行額の推移を表す図表があるので、見ていただきたい。税収の長期低下傾向は、明らかである。そういう中で、平成21年度以降、結果として、一般会計歳出総額を増やし、税収よりも多くの国債(建設国債と赤字国債)を発行するという異常事態が続いている。

 日本には、個人の金融資産が1400兆円あると言われているが、その1400兆円は、極度に偏在している。その1400兆円は、ほんのごく一部の方が、保有資産を増やすために、金融資産という形で保有している資産である。投資や投機のための1400兆円は、政府が財政出動をしようが何をしようが、消費に回ることはない。

 一部の企業が市場を独占することは、市場における公正な競争を阻害し、社会をより住みづらいものにするので、日本には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律と呼ばれる法律がある。いわゆる独占禁止法である。力や資産の偏在が行き過ぎて度を越すと、社会に悪影響を及ぼすのは、企業に限らない。個人とて、同じである。

 以前、何度か富裕税法に言及して参りました。個人金融資産に関する税法を議論すべき時期は、既に来ていると、私は考えています。


神奈川県にて
佐藤 政則