宮本武蔵（十六）千年杉
映画 トーキー 110分
イーストマンカラー 東映スコープ
昭和三十六年（1961年）五月二十七日公開
製作国 日本
製作会社 東映京都
配給 東映
製作 大川博
企画 辻野公晴
小川貴也
原作 吉川英治
脚本 成沢昌茂
鈴木尚之
撮影 坪井誠
照明 和多田弘
録音 野津裕男
美術 鈴木孝俊
音楽 伊福部昭
編集 宮本信太郎
助監督 山下耕作
富田義治
杉野清史
出演 中村錦之助（新免武蔵）
三国連太郎（宗彭沢庵）
入江若葉（お通）
監督 内田吐夢
☆☆☆
小川貴也＝初代中村獅童＝小川三喜雄
中村錦之助→初代萬屋錦之介
三国連太郎＝三國連太郎
☆☆☆
台詞の引用・シークエンスの考察は、
研究・学習の為です。
東映様にはおかれましては、ご理解・
ご寛恕を賜りますようお願い申し上げます。
☆☆☆
平成五年（1993年）一月四日
京都文化博物館映像ホールにて鑑賞
☆☆☆
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『宮本武蔵 昭和三十六年五月二十七日公開
内田吐夢監督作品（一）』
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『宮本武蔵（二）青春の悩み』
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『宮本武蔵（七）空に吠ゆ』
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千年杉に吊るされた武蔵は怒り心頭に達し
沢庵に恨みを語る。
武蔵「沢庵出てこい！」
沢庵は武蔵に「それぐらいで弱音を吐くお主
でもあるまい」と声をかけた。
武蔵は「同じ死ぬなら坊主の手に」と思った
ことをつげ、吊るしの罰は予想していなかった
ことを示し、沢庵の処分は酷いと糾弾する。
沢庵「全て誤りだったと思わんか？」
武蔵は、お杉婆にせめて又八が生きている
ことを伝えたかった心で帰郷したが、敗残兵
ということで自身を罰する村人の仕打ちを怒る。
沢庵「お前の性根が問題だよ。あの世に行
ってな。お前を産んでくれた両親に引
導を貰うたと伝えるがいい。濡れぬう
ちに退散退散。」
雨が降りだし、沢庵は寺に入る。
武蔵「この無様な姿で死ぬのは無念だ。姉
上！」
お通「武蔵さん。」
☆☆☆男女の心☆☆☆
千年杉に吊るされた武蔵は、沢庵が自身を罠に
嵌めたと怒る。沢庵は厳しく「全て誤りだったと思わ
んか？」と問い、生き残るためとはいえ次々と人を
殺傷した武蔵の暴れ方を糺す、。
武蔵はお杉が溺愛している又八の安否を気にして
いるから伝えたかったのだと心根を語る。
この言葉がお通の心を打つ。
沢庵は「あの世に言ったら産んでくれた両親に良い
引導を貰うたと伝えよ」と厳格に語りつつ雨を恐れて
寺に戻る。
武蔵の純粋な優しと真心に触れて、お通に母性の
心が芽生える。もともとお通は優しい娘だが、お杉
の母性に応える為に危機を承知で知らせに来てくれ
たことに感謝が起こる。
そして、その気持ちは武蔵への愛に変わって行く。
武蔵にとってもお通はずっと想ってきたひとである。
杉の木に縛られた武蔵は、姉に会いたい心を語り、
不安そうに見つめるお通の胸には、助けてあげたい
という優しさが強く起こる。
男女の愛の世界を、吐夢が繊細に示す。
初代中村錦之助の渾身の熱演。
入江若葉の可憐さ。
共に光り輝いている。
合掌