山本節子講演『がれき焼却で、なにがおきるのか』PM2.5の危険性を知ろう | 一日一回脱原発 & デモ情報in大阪

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『がれき焼却で、なにがおきるのか』というテーマで11月7日に行われた山本節子さんの講演の動画です。

大阪でも11月にがれきの試験焼却が行われ、その時初めてPM2.5という言葉を知った方は多いと思います。わたしもそうでした。(試験焼却当日の汚染についてはこちら⇒大阪市がれき試験焼却当日の大気汚染 真っ赤になっています。


山本節子さんは3月11日の原発事故以前から、ゴミの焼却処理に反対してこられました。日本ではゴミの焼却処理は当たり前になっていますが、その危険性を知らないのは日本人だけ。一般のゴミを焼却するだけでも危険なのに、放射能に汚染されたがれきを燃やすなどというのは論外です。


こちらの動画、PM2.5や焼却処理の危険性についての基礎的な説明があり、がれき問題を考えるにあたってとても勉強になりますので、ぜひぜひご覧ください。
特に小さな子供さんやお孫さんのいる方は必見です。


下に、内容をざっとピックアップしていますので、時間のない方はまずそちらをどうぞ。

動画はこちら

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『がれき焼却で、なにがおきるのか』 講師 山本節子


(内容抜粋)

チェルノブイリ事故の立ち入り禁止区域では全体の70%にあたる2600平方キロメートルが針葉樹林帯・30%が農業地帯だった。
汚染がひどく森林は放置された。森林が放射能を受け止めていた。そっとしておけばよかった(日本では逆のことをやっている。がんがん除染している。日本はやってはいけないことをやっている)。

ところが荒れた森林、倒木が増え、森林火災が起きやすくなった。1992年、火災により12, 000ヘクタールが焼失した。そのため、防火監視システムを開発。95年以降は大きな火災は出ていない。
この火災を調べた人たちがこまかく土壌調査をした。PMに注目した。


火災で何が怖いか。PM=パティキュレート・マターが発生する。これは日本語では浮遊粒子状物質、粒子状物質、微粒子などという。
PMとは、大気中に浮遊する100万分の10メートル(ミクロン)単位の超微小物質。
PM10=100万分の10

PM2.5=100万分の2.5 
汚染物質を付着させていることが多く、大気中のPMが増えると死亡率も増える。


チェルノブイリの場合、大気中の(放射性)核種の排出源は、火災の煙とミネラルダストである。
土壌ダストは建設工事と風が最大の原因で、直径2-100μmと割合大きく、排出源近くに落ちる。吸い込まれても排出される。
火災の煙のPMは小さく、0.04-0.07μmと0.1-0.3μmの2つの山がある。吸入されると肺の奥に入る。


危険なPMは2.5。欧米や日本以外のアジアではこれは常識である。
中国でもPM2.5を常時観測し、データを流しているが、日本では、2009年9月にようやくPM2.5の基準を決めた。

日本のPM規制はとてもゆるい。なぜなら焼却炉を使っている限り、PMの排出源はなくならない。それをごまかすために、かつて石原都知事はディーゼル車の排ガスがPMの原因だと言って、ディーゼル車規制をした。しかしPMの排出源はディーゼル車だけではない。工場やとくに焼却炉からのPMは健康被害がひどい。これは世界的常識だが、日本人だけが知らない。

PM10は自然界でも存在する。

PM2.5は人為的にしか生じない。
PM2.5がなぜ危険か。PM2.5は非常に微小なので経口(口から)でも経皮(皮膚から)でも体内に侵入できる。


1997~2003年 チェルノブイリとベニフカの町では4月と10月に放射線量がものすごく高まった。それはなぜかというと、その時期は森林火災が起きる時期だから。
火災があることによって放射線量がどっと高まる。火災により放射能を含んだPMが大量発生し、風に乗って飛んでしまうため放射能濃度が上昇した。
大気中の放射性核種はPMに濃縮されていた。
さらに恐ろしいことに、プルトニウム各種がPMの主な放射性物質の要素だった。


放射能汚染がれきの焼却が怖いのはなぜか。焼却により、大量のPMが出てくる。PMはものすごく有効に放射性物質を取り込んでいる。その放射性物質はあまりにも小さいので、だれにも止められない。バグフィルターなんて話にならない。何の役にもたたない。バグフィルターはダイオキシンをとらえる役にも立たない。行政の官庁はそんなことはわかっている。役に立つのはバグフィルターメーカーや焼却炉メーカーが儲かるというだけ。
日本は経済優先なので、人命なんかどうでもいい。そういう行政作ったのはわたしたちの責任でもある。


後にチェルノブイリエコセンターができた。エコセンターでは自動モニタリングネットワークを設置し、常時大気中のPMに含まれるセシウム137の放射線量を測定している。1995年以降やってる。
これくらいのことは日本でもできる、やっていない日本はなんなんだ?
放射性物質はPMに取り込まれて環境中に排出されている。
環境省はそらまめくんでPMを常時測定しているが、PMの中に取り込まれている放射線の線量はやってない
ロシアではやってる。セシウム137は本当は常時測定できる。こういうことは市民が知って要求していかないといけない。


チェルノブイリでは放射線量が上がる時期は、森林火災と一致している。
つまり、放射能に汚染されたがれきを燃やしたら、その都度線量があがるということを意味している。

PMが小さいというのはどういうことか。コントロールできない、軽くて小さいからなかなか下に落ちてこない。ちょっと風が吹くと飛んで行って、風に乗って何千キロも旅する。
ダイオキシン問題と同じでいったんできてしまうと微小化し補足が困難。なのでダイオキシンは発生源から止めようという条約ができた。ストックフォルム条約。これを守ろうと思えば焼却なんてできない。焼却炉がダイオキシンの最大の排出源だから。


ウクライナでは20%が森林で80%農地だった。しかしその20%の森林地帯の火災がウクライナ全域に放射能をふりまいているということが分かった。
チェルノブイリの汚染は原子炉の爆発だけで汚染されたと思っていたが、それは誤解だった。いったん降り積もった放射性物質が、山火事や森林火災や農地火災によって定期的にふりまかれていた。最初の爆発による放射能の拡散より、おそらく火災による拡散の方がPMが沢山出てくる。それが怖い。だから燃やしてはいけない。


火災の煙は非常遠くまで飛ぶ。チェルノブイリ周辺の火災による、放射能を含む煙の長距離移動はスウェーデンの地上モニタリングポストでも観測されている。
1972-85年(原発事故前)の間、セシウムレベルが高かったのは5月。これは大気中核実験の降下物による。
しかし1987-2000のセシウムのピークは4月と10月で、原発事故のあと降り積もった放射性物質が火事により拡散したことは明らかである。


原発事故はそのときでおわりではなく、そのとき降り積もったものが何年もたってから森林火災や農地火災によって再拡散され、もっと身近な形で人間を襲ってくる。これが原発事故の恐ろしさ。
では燃やしたらどうなるか? 燃やしてしまうと、非常に小さなものなのでバグフィルターやマスクも簡単通り越す。皮膚からも入ってくる。誰にも止められない。


一般に、ゴミの焼却とはどういうことか。
・酸化作用と高温で物質を破壊する。
・焼却炉の中で未知の物質が発生し続ける。解明されている物質はごく一部。
・化学反応により、多数の有毒物質が発生している。
・しかしセシウムなどの元素は消えない。
すべての有毒物質が微小化し人体に吸収されやすくなる。
鉛も気化する。気化した鉛は体に入る。ごみの焼却は非常に危険である。焼却炉はあらゆるものを有毒化する。


日本では焼却場はクリーンセンターなどというきれいな名前をつけているが、あれほどダーティーなものはない。学校が子供をクリーンセンターに社会見学に連れて行くのに市民が反対の声を上げないといけない。


(疲れたので、以下メモ書きです)


・欧米ではごみ焼却炉の計画が立ち上がると町をあげて大反対の運動がおこる。欧米では焼却場は民営化されている。焼却場が民営化されると、ゴミを出してもらって会社は生き残る。都合の悪い情報は出さない。民営化すると危険。日本では反対運動がほとんどない。


・PRTR法―人の健康や生態系に有害な物質について、事業者から環境への排出量および廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に対して届け出るとともに、国は届け出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計し、公表する制度。
462物質が指定されている。

ダイオキシンのほとんどは焼却炉の中でしか発生しない。ダイオキシンは最強の汚染物質。発がん性。催奇形性。


・自然のPM―火山灰・スギ花粉 粒径大きく、体内に取り込まれてもすぐ排出。
・人為的PM―小さく肺胞に達し、生体反応起こす。小さいほど毒性高い。表面積が大きく有害物質を付着させやすい。
・日本がPMの基準を決めたのは2009年。PMの排出源をディーゼル排ガスとした。焼却炉も発生源。
 PMは致死性がある。何をくっつけてるかわからない。アスベストより怖い。


・PMと病気の関連―いろんな論文がありしっかり裏付けられている。次世代への障害が怖い。妊娠中空気の悪いところにいると、子供に障害が出る。
「慢性気管支炎 呼吸困難 胸痛 肺機能の低下 肺がん 低体重児 新生児死亡 先天性障害 奇形 死産 心筋梗塞 リューマチ 糖尿病 甲状腺機能不全 アトピー アレルギー うつ病」


・母体を守らないといけない。がれきを燃やして守れるか。PM2.5が増えると、総死亡率上がる。すべての病気で。妊娠中の場合、先天性異常が増える。

・放射性廃棄物の焼却により無数の放射性PMが生じる。体内に入ると内部被ばくする。原発事故由来の人工放射性物質は自然界の放射線よりよりはるかに危険性が高く悪質である。


・焼却炉で出る飛灰は底灰より汚染度がはるかに高い。本当は分けて処理しないといけない。だが日本では多くがガス化溶融炉使ってる。これはなんのためか?
飛灰の処理は高レベル放射性物質と同じくらい高いお金がかかる。だから業者がいやがって、安いコストで灰を処理する。そのために灰溶融炉やガス化溶融炉を使う。これは飛灰と底灰を両方一緒にして高温処理してスラグに固める。
ガス化溶融炉は日本では大売れしたが、開発したアメリカはひとつもない。日本ではさらにこれを再利用しているので、もっと危険。


・飛灰に入ってるもの(1997年 オランダ)
アルミニウム ヒ素 カドミウム クロム 銅 水銀 鉛 モリブデン セレン ストロンチウム(放射性物質) スズ バナジウム 
例)ヒ    素 検体 17mg/kg ⇒ 
底灰:19-23mg/kg 飛灰:97mg/kg 
例)ストロンチウム 検体 17mg/kg ⇒ 底灰:検出されず  飛灰:245mg/kg 
飛灰に放射性物質がものすごく入っている。


・「ゴミ焼却炉の健康影響」英国生体医学学会 第4回報告2008年より
排ガスは安全との主張を裏付けるのは事実上不可能
排ガスの最大の危機にさらされるのは幼児や胎児で、彼らの権利は侵害されている。


・焼却炉は欧米では人里離れたところ・貧困地帯にある。不公正な実態。ただし焼却炉の数自体は少ない。アメリカではヒスパニック、黒人居住地、インディアンの土地など。日本では焼却炉は各地にあるので、貧困地帯も何もない。圧倒的に数が多い。


・焼却炉の危険性は以前認識されていたよりさらに大きいことが最近の研究で実証された。焼却炉の健康リスクは無視できないほど大きくなっている。ただでさえ危ない焼却炉放射能汚染されたがれきを燃すのか? 私に言わせると狂っている。だから必死になって止める。しかし日本の皆さんはまだこういう知識がないから、必死になりようがない。


・中国の広州での焼却炉反対運動の写真。日本人は、中国人は押さえつけられて市民運動がないと思ってるかもしれないが、それはマスコミの洗脳による偏見。中国の市民運動はすごい。大きな運動が起こると、国が止めに入る。自分たちの首が飛ぶから。広州の焼却炉もストップした。
日本では何が違うか? 日本は市民が弱い。市民が強くなれば止められる。


・ゴミ焼却は環境汚染であり胎児を害する犯罪行為。焼却をしなくても代替案はいっぱいある(クリーン生産 排出者責任 汚染者責任 焼却の段階的禁止 市民参加のごみ行政 行政と市民の教育など)
ずっと言い続けて、意見書を何通も出してやってきた。みなさんはこんなことをやっても無駄じゃないかと思っているかもしれないが、きちっと筋を通した運動は無駄じゃないです! 無駄じゃないことは何度も経験してきた。いくつもつぶしてきた。ちゃんと筋を通してやってみてください。


・ヨーロッパではゴミは埋め立てしていた。しかし場所がなくなった。そこでそれに税金をかけて埋め立てをやめさせようとしたら、今度は処理業者が焼却処理をするようになった。イギリスでは突然、50~100の焼却炉建設の計画が出てきた。各地で反対運動が起こっている。


日本以外は、みんなゴミ焼却施設に反対している。日本はこれまで焼却に反対してこなかった。だから、今がれき問題が出てきている。がれき焼却反対は当然だが、焼却そのものに反対の声を上げる必要がある。皆さんも反対の声を上げてください。



山本さんの著書↓ 最近ブログの更新に忙しくて、本を読む時間がありません。でも読んでみたい一冊です。

一日一回脱原発 & デモ情報in大阪-ごみを燃やす社会  ごみを燃やす社会
 ごみ焼却はなぜ危険か
 山本節子[著]
  2400円+税 四六判 264頁 2004年7月発行


全世界の焼却炉の2 / 3が、なぜ、日本に集中しているのか。

水銀、粒子状物質SPM、重金属・・・・。

毎年2兆円の血税を使い、ごみ焼却炉からまき散らされる 有害物質(巻末に全物質リスト公開!)。

焼却炉汚染と決別した各自治体の、安くてクリーンな「燃やさない」ごみ政策は、これからどうなるのか。

日本:ごみは「あふれては」困る→燃やして減量→焼却炉は必要施設
世界:ごみは「危険だから」困る→ごみを減らすしくみを作る→焼却炉をなくす




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