台風15号が房総半島に上陸・通過したのが9月9日。
千葉県や伊豆半島等を中心に、関東各地に被害をもたらしたわけですが、

当初、
「11日には停電復旧させたい」
としていた東京電力の「見込み」が、
「12日になりそう」
「13日以降までかかる」
「1週間は必要」
「完全復旧までは2週間以上必要な地域も…」
という感じで、
「延ばし延ばし」の発表となってしまい、
被害地域の人達は、物理的被害はもちろん精神的ストレスでも疲弊されていることでしょう。

多分、災害発生当初は、
「被害エリアの面積を作業人数で割った時間」
で「見込み」を出してみたんだけれど、
「実際に作業を始めてみたら倒木や飛来物の除去が大変で、とてもそんな簡単にはいかなかった」
というところじゃないかなぁと、素人の僕なんかは思ってしまうのですが、さてどんなもんなんでしょう?

いずれにせよ東電の「見込み発表」は甘かった。
「あんなことなら言わなきゃよかったのに」と思われても仕方ない。

国や県の初動も「遅すぎた」と言われても仕方ない状況だったようで、
県職員や自衛隊の隊員たちは、現地で一生懸命頑張ってくれているというのに、トップの指示と意思表明がしっかりしていないと、組織全体のイメージが悪くなってしまう。

電力会社や電気通信事業者(携帯電話キャリア)や国や自治体のトップの方々には、今後の再発防止のために充分に反省していただくとして、

で、
我々一市民であり、一難病患者であるモノには、なにができるのか?

そもそも、突然発生する「地震災害」と違って、「台風災害」というものはある程度事前準備ができるはずなのです。

「どうやら台風ルートがこちらに向かっているようだ」となったら、
充電できるものはとにかく充電しておく、
乾電池と乾電池で使えるもの(ライト・ランタン・ラジオ等)を用意しておく、
車のガソリン(電力)は満タンにしておく、
水と薬と酸素ボンベは充分に確保しておく、
(僕ら難病患者にとって、水と薬と酸素は最重要事項です)
食料を確保しておく、
(なま物や冷凍食品等は冷蔵庫が使えなくなるとダメになってしまうので、いわゆる「保存食」やカップラーメン等を買い備えておく)
(以前、ブロともさんから教わったのですが「ようかん」は保存食に良いとのことです)
浴槽にタップリと水を溜めておく、
(断水時のトイレ水洗用)
手持ちの「現金」を用意しておく、
(「カード」や「おサイフ携帯」なんて使えなくなるからね)
発電機があるならば試運転しておく、
(被災時に、いざ使おうとしたら、動かなかった、というケースも多いそうです)

一般的に、
被害が 「停電」だけである場合、
「避難所には行かず自宅で生活したい」と思うのが心情でしょうし、今回の台風災害でも実際にそういう対応をされた家庭が多かったようです。
特に呼吸器系疾患者で、寝たきり状態だったりすると、
避難所までの移動も難儀だし、
お互い気を使いあってストレスをためながらの避難所生活で、酸素濃縮器をブォンブォンいわせながら酸素吸ってるのもなんだか迷惑かけてしまいそうで躊躇してしまうし、
体育館とかでの避難生活そのもので、病気が悪化してしまいそうだし、

となればやはり、
災害時に「いかに自宅で快適サバイバル生活を送るか」に重点を置きたいところ。


そしてもうひとつ、
台風接近よりも前に事前に行っておきたいこと、
「避難困難者(避難行動要支援者)登録をしておこう」
呼び名は様々ですが、各自治体には「避難作業が困難な障碍者や在宅寝たきり患者等」を事前登録しておく制度があるはずです。
この制度による避難困難者名簿に登録してもらっておけば、
「災害時に避難行動の手助けをしてもらえる」
「病院や、看護師や保健師が駐在する施設に優先して避難させてもらえる」
「自宅避難生活の場合に避難物資を届けてもらえる」
等の対応をしてもらえるのです。
(支援サービスの内容は自治体毎に異なるようです)

今回の台風災害時に、
千葉市内の「寝たきり状態の在宅患者」が、避難先での受け入れを断られた
というネットニュースが配信されていました。
「どこが問題で、なにが悪かったのか」は当事者ではないのでサッパリわかりませんし、所詮はネットニュースなので、読み手に注目させるような味付けもされているのでしょうけれど…

ただ、
千葉市には前述したような「避難行動要支援者名簿」があるので、そこに登録しておけば看護師駐在の避難施設等を優先案内されたはずで、件の「患者様とそのご家族様」は、事前登録されてなかったのかしらん?
と思うのです。

で、
「そうだよなぁ、普通はそんな支援サービスなんて知らないよなぁ」
って思うのか、
「難病患者なんだから、それくらいのことは知っておかなくちゃダメじゃない」
って思うのか、

置かれた状況や立場でいろいろあるのでしょうけれど、

僕らは、
少なくとも「一日でも長く生きたい」と願う僕ら難病患者は、
「自分自身で生き抜く知恵」を貯えることも、とても大切なことだと思うのですよ。
結果的には行政が行ってくれることだとはいえ、そういう福祉サービスがあることは自分で自治体のホームページを調べればわかること。
そういう情報を集める力もまた「生き抜く知恵」のひとつじゃないかなぁと。



在宅酸素療法を行ってらっしゃる難病患者のみなさん。
まずはキチンと「要支援者名簿」に登録しておきましょう。
台風災害(停電)に備えて、できる準備はしておきましょう。
いざ停電が起きたら、三日間ぐらいは「在宅で」生き抜けるように。
停電が長引く場合や、自宅生活が無理な程に家屋が損壊した場合等には、「名簿登録」しておくことで「適切な避難場所」に優先配置してくれます。
必要ならば「被害地域外の病院施設等への受け入れ」も検討してもらうことになります。

災害が発生する前に自治体の「名簿登録」を済ませ、福祉担当者と「どのようなケアが必要であるか」をシッカリと話し合っておくことが重要です。


なんて偉そうなことをあれこれ書いてきた僕自身は、
寝たきり状態だった当時、
実は、地元自治体の名簿登録を…

「していなかった」

という、なんだそりゃ?!なオチ。

いやあのですね、
「そろそろ登録しなくちゃなぁ」
って思い始めてすぐくらいに「肺移植手術」を受けることになってしまったので…
いやほんと、あの、ええ、そうですとも、
あはは…



『天災は忘れた頃にやってくる』