「特定商取引に関する法律」及び「割賦販売法」の一部を改正する法律 | Rock & Law ! 札幌の弁護士奥山倫行のブログ

「特定商取引に関する法律」及び「割賦販売法」の一部を改正する法律

「特定商取引に関する法律」及び「割賦販売法」の一部を改正する法律(平成20年6月18日公布、平成21年12月1日施行)についてです。

ここ数日の間にたまたま複数のクライアントから相談を受ける機会が続きました。以前にもブログで簡単に紹介させて頂きましたが、改正の概要は以下のとおりです。

詳細については「あれ?」「ひょっとしたら?」とひっかかるところだけを、確認していかれれば問題ないと思います。弁護士も日々勉強の連続です。それでは引き続き午後も頑張っていきましょう!

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1.規制の抜け穴の解消

①規制の後追いから脱却するため、これまでの指定商品・指定役務制を廃止して、訪問販売等では原則すべての商品・役務を規制対象になりました。そのうえでクーリング・オフ等になじまない商品・役務は、規制の対象から除外されています。

* これまでは政令で定めるものだけが規制対象になっていました。
* 普通乗用自動車、葬儀、化粧品、健康食品等、3000円以内の現金取引


②割賦の定義を見直して、これまでの「2カ月以上かつ3回払い以上」の分割払いのクレジット契約に加えて、「2カ月を超える1回払い、2回払い」も規制対象になりました。

2.訪問販売規制の強化

①訪問販売業者に「契約しない旨の意思」を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることが禁止されました。

②訪問販売で、通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入契約をした場合、契約後1年間は契約を解除できることになりました(ただし、消費者にその契約を結ぶ特別の事情があった場合は例外と)。

* 「過量販売」「次々販売」に関するものです。

3.クレジット規制の強化

* 消費者の観点から重要な変更です。

①個別クレジットを行う事業者は登録制とし、立入検査、改善命令など、行政による監督規定が導入されました。

②個別クレジット業者に、訪問販売等を行う加盟店の勧誘行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば消費者への与信が禁止されました。

③与信契約をクーリング・オフすれば販売契約も同時にクーリング・オフされるようになりました。

④訪問販売業者等が虚偽説明等による勧誘や過量販売を行った場合、個別クレジット契約も解約し、すでに支払ったお金の返還も請求可能になりました。

⑤クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけ、消費者の支払能力を超える与信契約の締結が禁止されました。

4.インターネット取引等の規制の強化

* インターネット取引業者にとって重要な改正です。
* 一度確認することをお勧めしています。


①返品の可否・条件・送料の負担を広告に表示していない場合は、8日間、送料を消費者負担で返品(契約の解除)が可能になりました。

* 返品の可否等の記載方法が重要になっています。
* 一度見直しすることをお勧めしています。


②消費者があらかじめ承諾・請求しない限り、電子メール広告の送信を原則的に禁止されました。

③電子メール広告に関する業務を一括して受託する事業者についても、規制の対象になりました。

④オプトイン規制に違反した場合、行政処分や罰則の対象になりました。

⑤クレジット会社等に対して、個人情報保護法ではカバーされていないクレジットカード情報の保護のために必要な措置を講じることを義務づけるとともに、カード番号の不正提供・不正取得をした者等が罰則の対象になりまいた。

5.その他

①訪問販売におけるクーリング・オフがあった場合、仮に商品を使用していた場合でも、事業者はその対価を原則請求できないことになりました。

②違反事業者に対する罰則が強化されました。

③クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度が導入されました。

④訪問販売協会による自主規制の強化が図られています。