中学のある問題の答えが、長年、間違ったまま放置されていることが分かった。
原文のままの問題
モーターと豆電球を直列につなぎ、乾電池につなぐ。
モーターを動かしたままだと豆電球は光らないがモーターが回らないように手で押さえていると豆電球は明るく光る。
その理由を答えなさい。
正しくは「光らない」は「暗く光る」
この問題のポイントは「光らない」なら電流がゼロだからモーターは回らないことになり「矛盾する」ことだ。
しかし、模範解答には「モーターが回ると誘導電流が生まれ、電流を流さないようにするため豆電球が光らない」とはっきりと電流がゼロになると書いている。
手でモーターを回さなくすればコイルの回転が止まるので誘導電流が生じないからモーターは単なる導線になり豆電球には普通に電流が流れて明るく光る。そこは正しい解答である。
昔々の私の記憶で申し訳ないけれど、私が中学生の時も同じ問題を解いた気がする。おかしいと思ったけれど、先生もそういう風に説明したからそれ以上は追及しなかった。そのままその問題の存在を忘れてしまっていた。
しかし、今回、改めてその問題を見て、高校物理をしっかりと学ぶとおかしいことがわかるようになった。
モーターというのは発電機と同じ構造をしていることは教科書でもよくみる。
しかし、その際にモーターとして動くときに同時に弱い発電をしていることは記述していないし、その発電がモーターの内部抵抗に相当することも記述していない。
えー、そんなことが起きているのか。
と驚かれると思うが、現象としては空気抵抗によって落下速度が終端速度になる場合と似ている。
重力によって物体は落下するが、速度に比例する空気抵抗が落下し始めるとすぐに働き始め、ある速度で平衡状態になる。
その後はその速度(終端速度)で落ちて行く。
モーターは電池の電流による「電・磁・力」という皆さんも知っている力で回転するが、回転するとレンツの法則で逆方向に磁界を生むように誘導電流が生じる。しかし、電池電流を完全に止めるほどの誘導電流は生じない。電池電流を止めると電磁力は無くなってしまい(重力を止めることに相当)その途端に誘導電流は止まってしまうから再び電池電流が流れモーターが動き出す。
ちょうどころ合いの良い電流が流れ続けモーターは回り続けるわけである。
その時、誘導電流はモーターの内部抵抗として働くのである。
電流計の内部抵抗というのはこれに相当すると考えられる。
確かに難しいと思う。物理を嫌いになってしまう。
これを中学生に解かせる問題集の作者は理解力が疑われる。
やめた方が良いと思う。
長年この問題を載せ続けた出版社の責任は大きいと思う。