あかねちゃんはわたしの同級生で、中学最後の一年間を同じクラスで過ごしました。
あかねちゃんは身体が小さくて、制服を着ていなければ小学生に見えました。
話しかけても困ったようにニヤリと笑い返されるだけで、おしゃべりした記憶がありません。
授業で先生に当てられても同じでした。
それは緊張などではなく、勉強がまるでわからないといった様子でした。
当時、おとなしい子や勉強の苦手な子は、からかいの対象になることがありましたが、あかねちゃんはある意味別格で、そういうことはありませんでした。
「こういう子たちって、わたしたちが子どもの頃は同じクラスにいたよね」
支援級か普通級か。
発達障がいの子どもを持つママたちと話していると、よくそんな話題になります。
そうなんです。
ごくフツーにいたんです。
そして思うのです。
あかねちゃんはあの教室にいて楽しかったのかなあ、って。
あかねちゃんを思い出すとき、彼女は教室の端っこの席にひとりきりで座っています。
グループわけで最後の人数合わせに声をかけられるのを待っているのです。
あのとき本当に声をかけるべきだったのは、親や先生や専門家などの大人だったのではないでしょうか。
あかねちゃんはあの教室にいて楽しかったのかなあ…。
それが、わたしが「めざせ普通級」とどうしても思えない理由のすべて。