k-pops☆この10年☆概説メモ | The sounds☆まいにち知ります・学びます

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3月末の韓国のテレビ番組[人気歌謡]を鑑賞。

とはいえ、またもや新機種になったDVD再生に戸惑う^^;


感想として、団体が多い、男子の化粧が厚い・濃い・ヴィジュアル系みたい。

ジャニーズと比較してみたくなる。

というのが多かった。


これは、ごく最近のことである。


ほんの数ヶ月前には、アイドルは高校生っぽいかわいいカンジだったし、

DJが全盛といっても過言ではなかったはず。


これだけ激しく変化していくK-POPS。


以下は、講義の補足である。


K-POPSおよび韓流の発展の要因として挙げられるのは次の4つだろう。

(もしかすると、韓国専門家からの視点とは異なるかもしれない)


1.韓国の文化行政の成果

http://sjc-r.stanford.edu/research/publication/DP/pdf/DP2005_003_J.pdf



2.日本の大衆文化を自国風に変容させていく現場のパワー

(これを検証するネット上の資料が見当たらない)


3.海賊版からオリジナルを求める大衆の要求

http://www.a-jrc.jp/pdf/ajreport/ajreport_final.pdf


4.ネットを中心としたデジタルコンテンツの発達

http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~20050068/20051215.pdf


※コンテンツの日本的定義[wikiではなく「外部リンク」を参照すること]

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84




さて、とりあえず、私が埼玉大学で授業をすることになった頃から、

今に至るまでの韓国音楽の変化について、講義の軌跡から概説しよう。


1990年代半ば。

表向きは、演歌中心だが、さりげなく日本の「歌謡曲」が入っていた楽曲やパフォーマンスだった。

当時、国民感情を配慮した(といわれる)「日本文化排除政策」が存在していたためである。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/ras/04_publications/ria_ja/22_09.pdf


http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~20050068/20051215.pdf


http://www.a-jrc.jp/pdf/workshop/20040925_workshop.pdf


しかし、大衆にとっては、水面下では、海賊版を通して、

すでに日本の音楽シーンは周知のものであった。


「儒教の国」といわれる韓国のイメージ。しかし、

年長者が感じる日本への嫌悪感のみの政策とは考えられない。

日本文化の流入によるイデオロギーの軟化、

国内音楽産業の保護、

(見て見ぬふりをしていた海賊版の経済効果もありうる…推測)

伝統文化保護、

(文化の退廃と低俗化への恐れ)

ホンネとしては、解禁のタイミングを図っていたのではないだろうか。


しかし、金大中大統領となって、文化が産業として経済効果がある、

文化・教育の強化こそが、世界進出への大きな手がかりである、

それらを政策として捉えてきたのだろう。


1990年代後期の授業。

「韓国では、徴兵制があるので、

『グループによるアイドルとしてデビュー』→売れる→徴兵で解散→『大人の男としてソロデビュー』

という図式が男声には存在しています。

女声はそれがないので、ソロデビューでもグループでもOKです」

と、ソテジワアイドル→ソ・テジのソロデビューの図式を例として挙げていった。


少し遅れて小室哲哉の影響を受けたと感じられる楽曲やアーティストが増える。

主にダンス系・ユーロビートがそれに該当する。


少しずつ海外の音楽が浸透していった。

ロック部門やヒップホップ部門で、韓国の中に入り込む形で日本のアーティストが進出。

元X-JAPANのTaijiや松尾兄弟など。

2000年代に入って、すでに海賊版で知られていた日本のアーティストが韓国ライブに成功。


じわじわと金大中が取っていた「文化芸術産業振興政策」の成果が出てくる。

日本では2003年からブレークしていた『冬のソナタ』など映像部門が明らかである。


それと並行して、そういうドラマに合ったバラード系がポップスの主流となる。

さらにPVがアジア諸国の香りがする楽曲(東南アジア・インド)や、

ニューヨークアート(美術)を意識したPVに合わせ楽曲、

そして、まるでドラマそのもののようなPV。

視覚と聴覚を楽しむ音楽が盛んになっていく。


盧武鉉政権になって、伝統文化保護+国際文化交流を強化される。

ネット普及は日本以上となる。

英語教育+情報教育が、小学校から必修となる。

(アメリカなどで「韓国人は教育熱心」と言われるようになったのはこの頃から)


2000年代半ばには、

本来的に韓国民衆はダンス好きだったことに目覚める。

テレビ番組でURLが入っているCMが普通になっていく。

国外進出を考えるアーティストが増える。


POPS界は、ふたたびヒップポップを中心としたダンス系が主流となる。

世界的な動きとして、R&B調の楽曲も多かった。


大衆が望む音楽へのハードルが高くなってきた。

アイドル・グループであってもダンスのレベルが高くないと売れない。

(歌唱力以上に重視されていたともいえよう)

ルックスが良くないと売れない。


若さも…。

男性の場合は、大学や芸術学校への進学で徴兵を避ける傾向が出てくる。

それまでの鍛えられた筋肉美は、軍隊意識であったと思われるが、

実は男性美に対する伝統的な美意識だったのかもしれない。

(それを言及できるだけの資料を探せないので仮説とする)


女性の場合は、ソロ志向だったのが、

徐々に男性なみにグループ志向に変化する。

アメリカ・セレブ系のソロに近い傾向の音楽を団体でパフォーマンスする、

日本のようなアイドル団体でパフォーマンスする、

セクシー系、かわいい系と大別できるようになっていった。


※性同一障害のハリスが目立ったソロ。

韓国人の倫理観の変化も表象されている。


テレビではなく、ネットが自分にとっての娯楽のコアにある若者たちは、

(受験勉強などで部屋にいることが多い・多かった)

B-boy音楽を愛好する傾向が強まってくる。

自分で身体を動かしたいのと同時に、ある種、グローバルな感覚を求めていたのだろう。


これは、ダンスコンテストなどで海外上位入賞者が増えてきて、

さらに「カッコイイ」音楽をパソコンやipodで楽しめるようになったいった。


オーディエンスが、どのようなメディアの選択するか。

大衆音楽の多様化とは言い切れない。


現在、この流れに「男子の厚い化粧」が加わったことは、

注目に値する。


以下は、仮説。

ここまで開花してきたK-POPSだが、

もしも、アーティストがすべて名人芸であったり、ハイ・レベルであったとすると、

大衆自身がダンスを楽しんだり、カラオケで歌うことができなくなってしまう。

と、なると、非日常性と日常性のバランスをとるには、

ジャニーズおよびアメリカ・セレブ系ファッションによるパフォーマンスに落ち着くのではないだろうか。


別の角度から。日本との関係。

東方神起の日本ブレークは、日本のアーティストに足りないものがあったのかもしれない。

またジャニーズは、明らかに韓国の影響を受けていて(KAT-TUNなど)

相互に影響しあう関係にあるといえよう。

KARAが日本デビューとのことだが、

今までの韓国アーティスト・タレントは、日本向けに味付けされていたのに対して、

言語は別として、テイストそのものは韓国直輸入が今後増えていくだろうと予測できる。


尚、日本のPOPSは、現在、ファッションリーダー的存在が不在である。

その隙間を狙えるのは、日本でも韓国でもないような気がする。


話は、韓国に戻る。

最初のほうに大統領の政策と芸能・音楽が強く関係することを述べたが、

いかに大統領の権限が強いか(韓国にかぎらず)

制度の違いに対する意識が日本人は感覚としてピンとこないところではないか。


また、ここ数年、エンターテイメント部門・サブカルチャー部門における経済効果に、

ようやく注目されつつある時代になってきた。

そこに目をつけた金大中・盧武鉉路線の目利きは、

「アニメの殿堂」ハコモノにしか目がいかなかった日本の元首相と、

文化政策が国の借金削減のターゲットとしか考えていない現政権に比べると、

…しばたいるかぁ!!と怒っているタレントさんの真似したくなる切なさがある。


(音楽学が実学として自分の将来のなにかしらに関係あるため受講したいという学生が増えているのに)


ちなみに、音楽学からはずれるが、政治制度について。

韓国には「首相」も存在する。

正確には「国務総理」と呼ぶそうだが、

日本の新聞などのメディアでは首相と書かれている。

中国は、「国家主席」「首相」(さらに一党独裁なので「党書記」も権限がある)

興味がある人は、「大統領」と「首相」に地位について、

いろいろな国で比較してみるとよいかもしれない。


??日本は?? 「立憲君主制」と数えられている。

政治に参加しない「天皇」と選挙で決まった政治家。


民主主義・社会主義という大別だけではないことを知っておくと、

文化にかかわる政策による芸術か反体制で生まれる芸術か、

時代による芸術の変化を客観的な歴史として分析しやすくなる。

高校社会では、分厚い教科書をこなすことでいっぱいいっぱいだったと思うので、

じっくり立ち止まりながら、新聞や書籍で知識を増やしていきとよいだろう。


ここでは、気候・風土・民族性に関する分析は述べない。

次回以降で。次回は、韓国の女性グループと伝統楽器。