三鷹女子高生殺害事件に関して | 同じ空の下で ~ To you who do not yet look ~

同じ空の下で ~ To you who do not yet look ~

まだ見ぬあなたへ。僕らは、同じ空の下にいながらも、それぞれの感じ方で生きている。
「偶然は必然」というように、僕らを直接結びつけるものはなくても、意図しない形で、思いもよらない所で、あなたと私がきっかけひとつで繋がったことに感謝☆


(以下、毎日新聞ニュースより)


東京都三鷹市で私立高校3年の女子生徒(18)が殺害された事件で、

殺人未遂容疑で逮捕された池永チャールストーマス容疑者(21)が

「8日昼ごろから女子生徒宅に侵入し、女子生徒の部屋のクローゼット内で待ち伏せしていた」

などと供述していることが警視庁捜査1課への取材で分かった。

女子生徒は帰宅直後に襲われたとみられ、同課は池永容疑者が

女子生徒の家庭の状況を把握するなど周到に準備したうえで事件を起こしたとみて追及する。


同課は10日午前、容疑を殺人に切り替えて池永容疑者を送検。

容疑を裏付けるため、池永容疑者が住んでいる京都の自宅などを午後から捜索する。


供述などによると、池永容疑者は8日昼ごろ、女子生徒宅に無施錠の窓から侵入。

1階にある女子生徒の部屋のクローゼット内に潜んでいたという。

数日前に都内で購入したナイフや軍手などを用意していた。


女子生徒は同日午前9時ごろ、両親と三鷹署で池永容疑者によるストーカー被害を相談した後、

3限目から登校。6限終了後の午後3時半ごろまで在校していた。

同4時半ごろに三鷹署員が安否確認の電話を携帯電話に入れた際は、

「帰宅しています」と話したとされるが、池永容疑者はその会話をクローゼット内で聞いていたという。


女子生徒は制服で登校したが、同4時50分ごろ

自宅前の路上で倒れて見つかった時は私服姿だった。

司法解剖の結果によれば大きな傷は腹部など5カ所。

背後から首を刺され、腕には身を守ろうとした際に付いたとみられる小さな傷もあったことから、

警視庁は帰宅して着替えた直後、潜んでいた池永容疑者から襲われ、

外に逃げたところを執拗(しつよう)にナイフで切り付けられたとみている。


捜査関係者によると池永容疑者は9月末に実家がある京都から上京したとみられ、

10月1日と4日朝には、登校途中の女子生徒を最寄り駅までの路上で待ち伏せていた。


同課は9日、現場のすぐ近くのやぶで、

池永容疑者が捨てたとみられる血のついた軍手と、サングラスを押収したが、

「逃走中に捨てた」と供述している凶器のナイフは見つかっておらず、捜索を続けている。


また、女子生徒の親類で脚本家の倉本聡さん(78)が10日午前9時40分ごろ、

女子生徒宅を弔問した。約2時間滞在し、報道陣の問いかけには

「勘弁してくれ」とだけ話して迎えの車に乗り込んだ。



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同じ空の下で ~ To you who do not yet look ~



(以下、毎日新聞ニュースより)


東京都三鷹市の私立高校3年の女子生徒(18)殺害事件で、女子生徒が今年6月上旬から、

元交際相手の池永チャールストーマス容疑者(21)=殺人未遂容疑で逮捕=からの

携帯電話の着信と電子メールの受信を拒否していたことが捜査関係者への取材で分かった。

警視庁捜査1課は、交際復活の望みを絶たれた池永容疑者が一方的に恨みを募らせ、

ストーカー化して襲撃に及んだとみて調べる。


捜査関係者によると、2人は2年前にフェイスブックを通じて知り合い交際を始めた。

しかし、昨年9月ごろから女子生徒が距離を置き始め、交際を解消したという。


しかし、その後も池永容疑者は交際を迫っていたとみられ、

女子生徒の元に池永容疑者からのメールや手紙が届いたことで、

6月上旬から携帯の着信やメール受信を拒否するようになった。


それ以降、池永容疑者からの接触は途絶えたが、今月1日と4日の早朝、

女子生徒の自宅から最寄りの京王井の頭線三鷹台駅までの通学途中に突然姿を現した。

ただ、声を掛けてくることはなかったという。


女子生徒は4日に高校の担任教諭にストーカー被害を訴え、同教諭が杉並署に相談。

8日午前には両親と自宅の管轄署の三鷹署に相談したが、

署を出た後の同日夕、自宅敷地内で襲われ死亡した。

池永容疑者は調べに「都内でナイフを購入し、女子生徒の自宅付近で待ち伏せて刺した」と供述。

同課は、池永容疑者が数日前から襲撃の機会をうかがっていたとみて追及する。



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(以下、J-CASTニュースより)


東京都三鷹市で殺害された高校3年生の鈴木沙彩さん(18)が、

事件当日にストーカー被害を警察に相談していたことが明らかになった。


警察は容疑者に「警告」を試みたが、留守番メッセージを残すにとどまり、

事件を防ぐことはできなかった。


■友人らに鈴木さん復讐の脅迫メールも


事件は2013年10月8日の夕方、三鷹の閑静な住宅地で起きた。

鈴木さんは自宅前の路上で首などから血を流して倒れており、約2時間後に病院で死亡した。

警視庁は同日夜、日本国籍の池永チャールストーマス容疑者(21)を殺人未遂容疑で緊急逮捕した。

犯行を認めた池永容疑者は「フェイスブックで知り合った」「交際を巡り恨んでいた」など

鈴木さんとの関係を次第に明らかにしている。


インターネット上では交際当時のものと思われる2ショット写真が複数見つかっており、

いずれの写真でも2人はほほ笑みながら仲睦まじげに写っている。

しかしその後、かつての恋人は恐ろしいストーカーと化してしまった。


在学高校や警視庁の発表から、事件前のことも徐々に分かってきている。

事件が起きる4日前、鈴木さんは担任教諭に

「自宅周辺で知り合いの男が待ち伏せしている」と被害を相談し、教諭は杉並署に連絡した。

池永容疑者が鈴木さんの友人に「(鈴木さんに)復讐してやる」と

脅迫じみたメールまで送っていたとの報道もあり、

鈴木さんは「ブロック(受信拒否)して」と頼んだという。8日朝には両親とともに三鷹署を訪れた。


三鷹署はその場で池永容疑者の携帯電話に電話し、警告を試みたが3回ともつながらず、

留守番電話に「折り返し電話をください」とメッセージを吹き込んだ。

その日のうちに、鈴木さんは待ち伏せしていた池永容疑者に自宅敷地内で襲われ、命を落とした。


■「かなり危険な状態。容疑者の身柄確保が適切だった」


警視庁生活安全総務課の山口寛峰課長は、記者団の取材に

「警察の対応が十分だったかは、事実確認をしていく」などと説明している。

ストーカー事件防止の鍵となる「ストーカー規制法」では、まず相手への「警告」から始め、

禁止命令、懲役または罰金と段階的な対応を踏む(刑事告訴事案を除く)。

警視庁によると「警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめている」というが、

長崎県西海市や神奈川県逗子市の例もあるように、

同法施行後も悲惨なストーカー殺人が起きている。


鈴木さん殺害事件を取り上げた9日放送の「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)では

弁護士の野村修也氏が「警察はもっとできたのではないかと思われがちだが、

警察もつきまといだけではなかなか手を出しにくい」と、警察対応の実情を話した。

さらに、警察が介入することで逆上して「かえって動機を与えてしまう危険性もある」とも話す。

池永容疑者は「事件の数日前に凶器のナイフを買った」と供述していることから、

留守番電話が殺害に直接つながったわけではなさそうだが、

何らかの刺激を与えてしまった可能性が否定できない。


ストーカー被害などの相談を受けている「NPOヒューマニティ」理事長の小早川明子氏は取材に対し、

一般的には弁護士や加害者に影響力のある人など、第3者に入ってもらうことが有効としながらも、

今回のケースについては「その段階ではありません」と語気を強める。

「復縁や責任の要求ではなく、復讐を口にしているのはかなり危険な状態。

容疑者の身柄確保が適切だった」として、ストーカー被害の内実を見抜けなかった警察を問題視する。


「警察に相談すること自体は必要ですが、逆上の恐れもある。

今回のように自宅が相手にわかっている場合は、自宅へ近づかないこと、

1人で歩かないことは鉄則です。まずは、物理的な距離をとって安全を確保しなければ」と話した。



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(以下、朝日新聞ニュースより)


東京都三鷹市で8日夕、私立高校3年(18)が刺殺された事件で、

高校が事件の4日前、ストーカー被害への対応について、

最寄りの杉並署に電話で相談していたことがわかった。

杉並署は「自宅の最寄りにある三鷹署に相談してほしい」と答え、

相談を三鷹署へ取り次いでいなかった。警視庁はこうした経緯について確認を進める。


警視庁によると、杉並署生活安全課の担当者は4日午後、

被害者の女子生徒の相談を受けた高校の男性教諭から

「うちの女子生徒がストーカー被害に遭っている。どこに相談すればいいか」と

電話で問い合わせを受けた。女子生徒の自宅が三鷹市内で、

つきまとい行為も自宅周辺で起きていたことから、

担当者は最寄りの三鷹署に相談することを勧めた。

一方で女子生徒の氏名や詳しい住所を聞き取らず、

三鷹署にも情報を伝えていなかったという。



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(以下、読売新聞ニュースより)


東京都三鷹市で鈴木沙彩さんが刺殺された事件で逮捕された

池永チャールストーマス容疑者の母親が9日午前、京都市内で読売新聞の取材に応じた。


母親は、鈴木さんとの交際について池永容疑者から相談を受けていたという。

8日、ニュースで事件を知って不安を覚え、本人に電話すると、

池永容疑者は「やりました。(鈴木さんは)意識不明。

お母さんありがとう。死ぬ場所を探しておくわ」と言って切ったという。


母親によると、池永容疑者は、コンビニエンスストアなどでアルバイトをしながら

大阪市内のマンションで一人暮らしをしていた。

東京に住んだことはないが、9月27日に夜行バスで東京に向かったという。


交際が始まったのは約2年前で、いつも池永容疑者が東京に会いに行っていた。

今年7月頃から別れ話が出たことを聞いたといい、

「息子は鈴木さんとフェイスブックで連絡を取っていたようだ。

けんかをすることはあっても、殺したなんて信じられない」と話した。



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(以下、毎日新聞ニュースより)


東京都三鷹市で私立高校3年の鈴木沙彩(さあや)さん(18)が殺害された事件で、

逮捕された池永チャールストーマス容疑者(21)が警視庁捜査1課の調べに、

「交際を巡り鈴木さんに恨みがあった。自宅近くで待ち伏せし、殺すつもりで刺した」

と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。

鈴木さんと池永容疑者はフェイスブックで知り合い以前交際していたといい、

同課は別れ話などを巡り、池永容疑者が一方的に恨みを募らせた可能性があるとみて追及する。


池永容疑者は調べに対し「事前に都内で(凶器の)ナイフを購入した。

現在は京都に住んでいる」などとも供述しており、

同課は計画的に準備した可能性もあるとみて裏付けを進める。


一方、事件直後の時間帯に、インターネット掲示板に

事件への関与をほのめかす書き込みがあったことも分かった。

逮捕された池永容疑者は、逮捕時に携帯電話を所持していたという。


書き込みは、鈴木さんとみられる女性の動画のリンク先を記載した上で

「被害者。無差別ではないです。恨みがありました。」などと記していた。

書き込み時刻は事件発生から約1時間40分後の8日午後6時29分。

同時刻ごろ、池永容疑者は現場から逃走中だったとみられ、

直後の同31分、鈴木さん宅から約600メートル西の路上で捜査員に発見され、緊急逮捕された。


ネット掲示板には6日にも「(復讐(ふくしゅう)を)してみよ」と

事件との関係をうかがわせる書き込みが残っていた。

鈴木さんのブログなどには若い男と2人で撮影した写真も掲載されており、同課で関連を調べる。



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同じ空の下で ~ To you who do not yet look ~



(以下、産経新聞ニュースより)


東京都三鷹市で高校3年の鈴木沙彩さん(18)が刃物で切られて殺害された事件で、

池永チャールストーマス容疑者(21)=殺人未遂容疑で逮捕=が

「殺すつもりで、数日前に都内でナイフを買った。

自宅周辺で帰りを待っていた」と供述していることが9日、捜査関係者への取材で分かった。

鈴木さんは8日夕に帰宅直後に襲われたとみられ、

警視庁捜査1課は計画的な犯行とみて詳しい動機を調べている。


捜査関係者によると、池永容疑者の居住地が京都府にあることが判明。

鈴木さんとは「(交流サイトの)フェイスブックで知り合った」と説明しており、

かつて交際していたが、別れ話がもつれてつきまといなどをするようになったとみられる。

凶器のナイフは「逃走中に捨てた」と供述しているが、見つかっていない。


鈴木さんは8日朝に両親と一緒に三鷹署でストーカー被害を相談。

同署はその場で池永容疑者の携帯電話に3回電話をしたが、出なかったため、

留守番電話に「折り返し電話をください」とメッセージを残したという。

捜査1課は池永容疑者が鈴木さんの被害相談を知った上で襲った可能性もあるとみている。



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(以下、日刊スポーツニュースより)


8日午後4時50分ごろ、東京都三鷹市井の頭1丁目で、

「若い女性が男に刺された」との110番通報があった。


警視庁によると、女性は近くに住む私立高校3年、鈴木沙彩(さあや)さん(18)で、

搬送先の病院で死亡が確認された。鈴木さんは芸能事務所に所属し、

映画「冷たい部屋」(2010年公開)などに出演した。

警視庁は現場から逃走した住所職業不詳、池永チャールストーマス容疑者(21)を発見、

殺人未遂容疑で逮捕した。鈴木さんは同日、

「同容疑者につきまとわれている」と、三鷹署に相談していた。


鈴木さんは高校に通いながら、芸能事務所に所属し女優活動などをしていた。

95年に東京都で生まれ、小学5年頃に芸能事務所にスカウトされ芸能界に入ったという。

10年公開の映画「冷たい部屋」(平田大輔監督)でスクリーンデビューした。


12年4月放送のフジテレビ系ドラマ「浅見光彦シリーズ第44弾 砂冥宮」に出演したほか、

今年は2月2日と3日に横浜市内で開かれた横浜国大教育人間科学部

マルチメディア文化課程の卒業制作展に出品された

短編映画「ガレージ・ドライブ」(斎藤亮太郎監督)に出演している。



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事件化に至る全容が見えてきた。

「悲しい結末」を回避する方法はなかったのか。


まず、警察の対応を非難する向きもあるが、

警察が決して何もしなかった訳ではない。

結果論から、その対応はベストだったとは言えないが、

仮に、学校から自宅玄関口まで付き添ったとして、

容疑者が被害者の部屋のクローゼットに忍び込んでいたのだから、

それはそれで、警察がついていながらと非難されるに違いない。


今月、ストーカー被害に関する法律が改正されて、

そうしたことに則っての対応だったはずだが、初めての相談の印象で、

「そこまでの緊急性はない」と、警察が勝手に線引きすべきではない。

こうした事態になった訳だから、念のため、自宅の施錠状況など、

確認の意味で、自宅を訪問しておく必要があった。

警察は、帰宅確認の連絡を入れる配慮があっただけに、非常に残念だ。


失った命は戻ってこないが、相談者を「死なせないために」という前提のもと、

ストーカー対策を練り直してほしい。


被害者と容疑者には、交際歴があった。

交際中のやり取りの画像などが流出したことを受けて、

容疑者だけでなく、被害者の落ち度を指摘する声があった。

確かに、傍から見れば、危機意識がないと言ってしまえるが、

好き同士の時は、自分たちはまるで無敵のような感覚を覚えてしまい、

当事者ほど、危機意識を感じないものではないだろうか。


どちらが先に惚れて、その後どのように変化したかわからないが、

惚れた相手に、何でもしてあげたいと思ったり、

気に入られたいがために、要求に応えたいと思うことは、

決して異常なことではないし、その中で、こうしたやり取りがあっても、

結局は、当人同士の判断に委ねられる。


もちろん、そうしたやり取りは、迂闊だったと思う。

先日、風俗営業で、相手の血を抜くという行為が、医療まがいの行為として、

女性が医師法違反で逮捕されるニュースがあった。

しかし、これが恋人同士、あるいは夫婦同士で、

趣味で行っている場合は、処罰の対象にはならない。


性的な欲求に訴える写真を撮ることは、個人の趣味として、

当人同士が許しあっているのなら構わないが、

その関係が終わった時に、トラブルの種になってしまうことを、

本件をもって知った上で、交際をしてほしい。


そうした画像などの流出を許した被害者に対して、

「自業自得」というネットの声の多さに驚いた。

それはつまり、「殺されて当然」ということだ。

被害者の、あるいは容疑者の何を知って、そう言えるのだろうか。

まだ意識不明の状態の時から、そうした声があがっていたことに驚いた。

むしろこの反応の方が、事件よりも恐怖に感じたほどだ。


そこで、被害者、容疑者のことを想像してみる。

まずは事件に至る容疑者の動機について、想像してみた。


容疑者の犯行の動機は、別れを一方的に告げられたことに対する怒りが、

どこかのタイミングで、強い憎しみに変わってしまったことだと思われる。

別れを受け入れられないのに、その説明が十分にされないままに、あるいは話し合えないままに、

連絡を一方的に断ち切られたことが、恨みへと変わったと思われるが、

相手に危害を加えようと思うスイッチは、どこで入ったのだろうか?


別れを一方的に切り出されて、連絡が途絶えたら、

何とか連絡をつけたいと思い、会いたいと思い、

自宅を知っていれば、訪ねることは誰だってあるだろう。


嫌いになった訳じゃないと信じたい気持ちがある一方で、

会って話せば、完全に別れを突きつけられると思い、

その時は、相手を殺して自分も死のうと考えたのか。


言葉を額面通りに受け止めてはいけないが、

「復讐」という言葉が出ているように、強い憎しみ、恨みがある。

もちろん、容疑者の一方的な思い込みの可能性もあるが、

被害者が容疑者に対して、何らかの約束を反古にした可能性もある。

その意味では、明確な意図をもって、東京に行くことを決めたのかもしれない。


それでも、惚れた相手だから、ひと目見れば気持ちが揺れ動くもの。

姿を見せたものの声をかけなかったそうだが、

それだけを思えば、女性の側からすれば、恐怖に感じるだろう。

遠く離れた場所から家の近くまでやってきたと。


そこで通報。警察に相談。容疑者に警察から連絡が入る。

そしてその日の夕方に、事件は起きてしまった。


自分はこんなに思い悩んでいるのに、どうして自分を犯罪者のように忌み嫌うのか。

警察に連絡されたことで、もう逃げられないと思ったことが、

強い憎しみと恨みの感情を増幅させ、犯行を決意させてしまったのではないか。


切り付けた後に、馬乗りになって更に切り付けたそうだ。

血を見て、別のスイッチが入ったと思われるが、何を考えていたのだろうか。


容疑者の一方的な思い込みでないとしたら、

被害者が、容疑者の何かを傷つけた可能性もある。


被害者の夢と自分とが天秤にかけられて、夢を選ばれた。

その過程で、自分とは歩む道が違うとか、自分とは釣り合わないとか、

自分と付き合ったことを口外しないでと言われたとか、

じゃあ自分はいったい何だったんだと悶々としていたかもしれない。


その時に、自分がもつコンプレックスのようなものを指摘されたり、
どうしようもない劣等感を覚えて、それが憎しみへと変わったのかもしれない。


もちろん、想像の域を脱しないが、本当に好きだと、どうしようもなくなって、

自暴自棄になることはある訳で、それが自傷行為になるか、

相手に向かうかまで走らせてしまったとも考えられる。


一旦、事件の概要を忘れて、容疑者のことを見た時に、

周囲の印象は、決して悪いものではなかった。

むしろ、好青年で、しかしモテる風でもなかったようだ。


ネットでの出会いは、嘘から始まることもある。

身長や年齢をサバ読む類いから、性別や経歴を偽るなど。

ふたりの出会いも、そうしたところから始まった可能性もあるだろう。


しかし、容疑者の姿を見て、「いかにも」とは思わなかった。

凶悪な犯行に及ぶ者の姿は、「いかにも」と思うものが多いが、

彼の場合、なぜかそれを感じなかった。


ひょっとしたら、「純粋さ」ゆえの凶行かと思った。

純粋さゆえに、突きつけられた現実に、人生が終わったように絶望し、

そのエネルギーがすべて、負に向かってしまったのかもしれない。


もちろん、彼のやったことは許しがたいことだが、

そんなことを考えていたら、これは決して例外的なことではないと感じた。

結果は、異常なことに振れたが、ある段階までは、

誰にでも起こり得る日常だったとは言えないだろうか。


決して、彼を庇っているのではなく、

どこかで誰かが、彼の変化に気づいていたら、

こうした悲しい結末にはならなかったのではと感じた。


犯行後、母親との電話で、自分も死ぬようなことを口にしていた。

結局、死ねず、逮捕された訳だが、彼女がまだ意識不明だったことが、

この期に及んでも、影響していたのではないだろうか。


恐らく彼は、全部自分が悪いという話をするだろう。

ネットでは、彼女を悪くいう声が、想像しなかったほど多かったが、

その中には、彼女の境遇を妬むような感情から発せられたものが多かったように感じた。


女優の道を考えているにしては意識が甘過ぎるなど、

確かに、そのような部分はあるけれども、だからと言って、

鬼の首をとったように、「自業自得」はないだろうと思うのだ。

しかも、亡くなった後に、その言葉が多く見られた。


被害者の命は失われ、容疑者はその罪を償う日々を迎える。

しかし、「自業自得」と言い放った連中は、

すぐに事件を忘れ、何食わぬ顔で明日を迎えるのだ。


画面の世界に没頭して、依存状態になってしまうひとは多いが、

人間関係は広くつながっても、現実の寂しさや虚しさは埋まらないそうだ。

「いいね!」をたくさんもらっても、その数に一喜一憂したり、

反応が薄いと苛立ってしまうのではないだろうか。


それでも、心のバランスが保てるならまだいいのだが、

何かを発した後に、自分の気持ちや表情はどんなだろうか。


便利で何でも手に入る時代。過保護と感じるレベルも遥かに違っているだろう。

小学校の運動会のために、機能的な靴が売れている。

欲しがっている靴を与えるだけでなく、我が子の足をよく見ることだ。

逆に、新しい靴を買ってと言えない子どもは、指を折り曲げるようにして履いている。

窮屈な靴を、ちょうどいいと気遣う子どもだっているだろう。


土踏まずが十分に発達していないうちは、よく転ぶもの。

だが、転んで起き上がってこそ、何かを学ぶのだ。


転ばないように配慮することも大事だが、

転んでも大きなケガをしないようにしてやることの方が、

もっと可能性は広がっていくと思うのだが。


ひとつの若い命が失われて、心ないコメントを多く見つけた時、

何かを発しようと思うエネルギーの使いどころを、

もう少し考えてほしいと感じた。




夢多き女子高生の逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。