マルチ高齢♂ケリー 
マルチ♂ケリーは、2月26日、多頭保護者から引取した子です。
事前の情報では、年齢16歳。
最初に見た写真では、かなり毛が伸びて汚れているようで、しばらくトリミングされていないような状態でした。
(上記写真はアルマ引取後にシャンプー&トリミングしたあとの姿)

ケリーと同じ場所に18歳のマルチースがいましたが、この子は先に他団体経由でお気持ちがある方に引き取られていました。
もしかして、2匹は同じ飼い主さんだったのかも知れません。
18歳の子は、ケリーよりは状態がかなり悪そうでした。

引取に行ってから、初めてわかったこと。
ケリーの両後ろ足先がありません。
昔に他の犬に咬みちぎられたらしい・・・と多頭保護者からの情報でしたが、それは本当かどうかわからず、ケリーがいつこの引取施設に来て、どんな生い立ちだったのか、聞きそびれてしまいました。

ケリー右足  ケリー左足 
    ケリーの右足先                    ケリーの左足先

足の模型 
ケリーの足は、上の足の図でいうと、「足根骨」までしかありません。
左右の長さがほんの少し違いますが、骨1個分、足根骨の一部が片方ないのです。

足先は固くなっているので、足先を失ったのは、かなり前のことなのでしょう。
ヨチヨチでも歩行は出来ますし、長時間は無理ですが、立っていることもできます。

今やケリーの問題は足ではなくて、やはり高齢で、心臓がかなり悪く、腎臓も機能が低下してきていることです。
先日の病院での検査結果は、「三尖弁閉鎖不全症」

三尖弁とは、心臓の4つの部屋のうち右心房と右心室の間にある弁です。
血液が全身→右心房→(三尖弁)→右心室→肺→左心房→左心室→全身と循環する中で、三尖弁は右心室から肺に血液が送り出される際、右心房に血液が逆流しないようにする役目をもっています。
この弁がきちんと閉まらなくなると一部の血液が右心房に逆流するため右心房に負担をかけ、さらには右心室にも負担をかけます。
これが三尖弁閉鎖不全症の病態です


ケリーの肺や腹部に少しの水が溜まっていて、体重は3.6キロあるものの、背骨はゴツゴツしていて、腹部も張りがあります。
すぐに心臓病の治療をしないといけない状態ですが、いきなり利尿剤を使うと、衰えている腎機能にも影響があるため、まずは心臓薬のみを使ってから、経過をみての次のステップとのことでした。

しかし、次のステップに進むまでに、さらに悪化してしまうのではないか・・・と心配でなりません。
ここ数日、食欲が落ちて、昨日は食べたフードを吐きました。
食欲もありません。

今日、ケリーのことを書いておこうと思ったのは、状態が良くないので、もしかしてそう長生きできないかも・・・でもケリーに出来ることを再度、考えたかったからです。
最初の病院では、積極的な治療のお話が出なかったので、明日、別の協力病院へセカンドオピニオンに行ってきます。

寿命といえばそれまでですが、思いがあって引き取った子ですから、苦痛のない、最善のことをしたいと思っています。



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昨年引き取ったシュナ♂しょう 推定13歳
飼い主さんが入院されるとのことで、センターに持込されました。
引取当初より、かなり腎臓が悪く、治療を継続していました。
預かりのらりっちょさんがきんちょさんの手厚いケアで、引取当時よりは、見違えるほどに良い状態になっていきましたが・・・

先日、末期のリンパ腫との診断を受けて、里親募集を停止しました。
リンパ腫のグレードは4~5
抗がん剤治療をして、余命4~6ヶ月
治療しなかったら、余命1~2ヶ月
緩和治療で、ステロイド治療を始めましたが、効きがよくないようです。
ステロイド治療がうまくいけば、余命2~3ヶ月、となるかも知れないと期待していましたが、高齢で腎臓病のある子に、抗がん剤治療を選択することはかなり厳しいと思っています。

治療を続けて、延命する時間の中で、私たちは送り出す心の準備も出来ます。
出来るなら、もう少しの時間を欲しい。
それは切実に思うことですが、ケリーやしょうは、どうすればいちばん喜んでくれるのでしょうか・・・。
一番、苦しくないのでしょうか・・・。


アルマは、「最後の砦」として、最後までセンターでオファーのなかった子たちの引取をしていますので、高齢犬や病犬の引取が多く、今までもご縁が繋がるまでに亡くなってしまった子もたくさんいます。
最善の治療を、最善のケアを・・・・
いつもその思いで出来ることをしてきました。

でも治療方法の選択は、本当に難しい。
私たちが絶対ではないので、犬猫たちの心の声を聞いてみたい。