独占スクープ! DVD付属スピナーは日本人原型師によるものか?
↑ 公表されているDVDボックスの画像
さてさて、12月発売の、米国版 DVD&HD DVD&ブルーレイの5枚組みアルティメット・エディション。
特典で付属するポリススピナーですが、
1.だれが原型をつくったんだろう?
2.デキはどうなんだろう?
3.大きさはどうなんだろう?
4.エトセトラ・・・エトセトラ・・・
・・・と、期待と不安がないまぜになりますよね。
スピナーについてはアーテル社から82年にミニカーが出たけど、
塗装やマーキングは子供向けのおもちゃというカンジであったし、
(形はすごくいいが)
ガレージキットによる立体化は数多いけれど、あくまでもキットで、
こういう、塗装されて、マーキングまで入った完成体でのリリースって意外と
思いつかない。コメットのやつ(もちろん無版権)くらいか。
今回はワーナー自らのリリースだから、
きっと秘蔵の資料を駆使して、
マーク・ステットソンあたりに依頼して
驚愕の究極のスピナーをつくりあげてるのでは、
・・・なーんて妄想をふくらませているアナタ、
残念ながら、今までの流れから言って、それはないと断言します。
まず、ブレランは、版権元が空中分解していたらしく、そのせいもあって貴重な資料とかを一括で管理したり、
保存するとかいうことが行われてないんです。だからネットオークションなどを通じて
一級の資料がどんどん拡散してしまってるし、今もなお、しつつあるわけです。
まあ、それでなくても、映画製作なんて映画が完成したら、
プロップもセットも資料も用済み、というのが当たり前なことなんでしょうけどね。
さらに、ブレランは独立プロダクションの製作で、ワーナーは配給だけなので、
まるで継子扱いで、(米国じゃ最初のビデオソフトなんて、ワーナーでなくエンバシーからのリリースでした)
ワーナーには、たぶん映像やスチル関係のもの以外の資料は皆無に等しいのでは、と思うのです。
今度のDVDの特典映像の内容をみると、映像関係はけっこう貴重なものが残っていたようですが・・・。
また、マーク・ステットソンみたいな超一流の人にたのむと話題性はあるでしょうが、
超一流がゆえに莫大な費用が発生するわけで、特典としてはコストがかかりすぎるため、まあ、ありえない。
となると、私が思ったのは、この企画が出たときに、むこうの人間は
アウトソーシング先というか、どっか委託先を探すのではないかと。
スピナーといえば、TVC-15。
HPは →こちら http://www.tvc-15.com/
武田真和氏を中心としたブレラン記事は →こちら http://www.tvc-15.com/spinner/spinn/spinner_doku
スピナー読本やスピナーのキットで
世界中にその名が知れ渡ってるTVC-15に相談してくるのでは?とふんで、
TVC-15のボス、山本氏に問うてみたわけです。
「相談とかなかったですか~?」 って。
そうしたら、
「実は・・・・」
と驚愕の事実を明かしてくれました!!!
なんと、ある中国系バイヤーからの依頼で、以前1/43スケールでスピナーを作ってるというのです!
ただし、それがどういう商品化になるのかわからないというのです。
原型を製作したのは某・超有名な日本人原型師 (仮にA氏としましょうか)。
この原型師の方は、ある伝説的なメカ物の食玩の原型も手がけている、スゴ腕の人物。
TVC-15のスピナー情報 + スゴ腕原型師 =すごい!!!!
マーク・ステットソンよりすごいかも!!!
その内容たるや
・ドア開閉
・リアのウィング(スタビライザー)開閉と同時に後部タイヤの引き込み連動可動
・フロントカバーとタイヤは交換式
というファンなら驚喜乱舞なモノ。
DVDボックスの画像のスピナー ↑ 右のドアがあいてます・・・
ところが・・・・
ここからが奇妙な話になります・・・・
完成した原型を送り、お金ももらったものの、製品は出来ていないというんです。
A氏のところにも何の情報も伝えられないまま。
したがって、A氏の手元にも形としてのモノは何も残っていない。
山本氏が今回のDVD特典スピナーについて尋ねたところ、
A氏 「たぶん、オレのんとは違う・・ でも、可能性がないコトはない・・どうなってんだろなぁ」
とのこと・・・
山本氏の弁
「 とはいえ、歴たる事実としては、A君の1/43原型が存在しているというコト。
それが、こたびの付録模型なのかどうかが・・ 判らんワケですな。」
つまり、A氏も、山本氏も、それがDVD特典スピナーかどうかはわからないというわけです。
しかし、タイミング的に見て、ほぼ間違いないのではないでしょうか? (ドアもあいてるし)
(心配なのは、どれだけ原型がすばらしくても、たぶん中国の工場で量産するのだろうから、
改変(改悪)が行われたらオワリだな~ってことくらいですね。前述の、伝説的なメカ物の食玩のA氏の原型
は、実際の製品より何倍もすばらしいものだそうな)
しかし。
それにしても。
原型師さんといえば、それがなければ製品ができない、肝心要の存在ですよね???
というか、製品のデキはもうその人にほとんどすべてがかかってるわけですよね???
原型師さんといえば私はアーチストだと思うんですが、
模型業界では 「最初の作業をする作業員」 にすぎないという感覚なんですかね???
そんな、扱い悪いものなんですか???
自分の作品がどうなったかも教えてもらえないなんて・・・
そういえば、A氏の手がけた伝説的な食玩が発売された時、
(これは日本の会社ですが)
A氏のところにはその製品が送られてこなかったそうな。
やむなく自分でコンビニに買いに行ったということです・・・・
山本氏にその疑問を問うてみたところ、
「かつて広重も歌麿も・・ 今や国宝と化した浮世絵版画の数々を産んだ方々も、
当時は単なる職人でしたよね~~。
高名ではあっても、ものすごく待遇悪かったみたいですよ。」
とのおへんじ。
う~む。
まあムカシはムカシとして、この21世紀にそんなことでいいんですかねえ。
たぶん、DVDボックスには、スピナーについてはなんのクレジットもないんでしょうね。
それがA氏の作品であっても、そうでなくても・・・
なんかなあ、もしA氏の作品だとしたら、ちょっとくやしいですよね。
TVC-15が長年追求・蓄積してきたスピナーの情報。
そこにはいろんな人の情熱があるわけで・・・。
それをもとに、A氏が究極のかたちに纏めあげた・・・。
いわば、いろんな人のスピナーへの「愛」の結晶なのに、
扱い、悪いんじゃないの?せめてクレジットするとかさあ、って、
一言言いたくてこの記事書いてます。
まあ、ワーナーにしてみれば、それこそアウトソーシングで、
だれかスピナーのモデルを供給できるやついないかって、
だれかに話を振って、それが中国系のバイヤーにまわって、
それがTVCにまわってきて・・・・と間にいくつも人物・会社がかんでって、
大元ではよくわかってないんでしょうけど。
まあ私みたいなのがこんなこと言っても、な~んにもなりませんが、
このブログを読んだ方で、DVDボックスを手に入れ、スピナーを手にした何人かでも、
TVC-15や、そこに関わった人たち、A氏に思いをはせていただければ
いいかな、と。
もしほんとにA氏の作品だとしたら、ね。
期待して待つことにしましょうか。
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ANOTHER SPINNER STORY
もう一つのTVCー15のスピナー秘話
( 山本氏が「もう披露してもイイと思ってますよ」 と言ってくれたので、ついでにスクープだぁ!)
かつてフジミ模型さんがデロリアンの次の企画として
スピナーをキット化しようとしてTVC-15と接触してきたことがありました。
何度もディスカッションを持ち、スピナーのデザイナーであるシド・ミード氏までもまきこんで、実現に向けてスタ
ートしたビッグプロジェクト。
ミード氏も非常に好意的に動いてくれたものの、世界版権を得るには至らず・・・・・・
結局、最終的にプロジェクトを断念したということがあったのです。
山本氏の弁
「フジミさんは大真面目に取り組もうとしたので、とても残念でしたね、あの一件は。」
いやはや、スピナーのキット化については常に困難やら不可解がつきまとうということですね・・・・