魔法少女の変身 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 魔法少女の変身

 彼女の服はまるで一瞬で溶けて、全裸になったかのようだった。
 彼女はそのままの状態で、ぺたんと地面に座り込んだ。冷たい雨がしとしとと彼女を濡らす。
 彼女は裸体のはずだったが、身体全体にブラー効果がかかったように、その裸体を裸体として視認できなかった。
 まるで、それが人間の身体ではないかのように。
 どこかがぼやけていて、どこかに違和感があった。
 だから、それはきっと、人類の身体じゃないのだろう。
 それを超えた変質が、きっと彼女の身体には起こっているのだ。
 そして、気が付いた時には、彼女は衣類を纏っていた。
 過剰修飾のドレスのような、それも人類がこれまで着てきたどのような衣類とも違う――身体にピッタリとしたコスチューム。
 気が付いた時には、彼女は魔法少女になっていた。
 つまり、既にもう人間ではなかった。
 何か別物に――なっていた。