■カゲロウプロジェクト じん(自然の敵P) 完全解釈マニュアル 1/4 | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 分かりやすく改行してみました! それにしてもこの頃の俺の文章の根暗度ひでぇ……w まあ結構濃い事は認める。

 何か未だにこの記事を読んでくれる人が多いという事が判明しました! この記事は5月30日以前のメカクシティデイズ発売前に書かれた物なので、今から参考にすると間違っている部分もあると想うので気を付けて! ただまあ初めてカゲプロについて全力でまとめたので、確かに濃い記事になっていると想いますし、俺の解釈の基本になっている部分だと想うんですよね! 今回はこの旧解釈マニュアルを全てリニューアルし、改めて投稿し直します!

 これ以降の新しい僕の解釈は、このブログインデックスにまとめられている新解釈マニュアルや、ここから読む事の出来るカゲプロ関連最新記事を読んでみて下さいね!

■カゲロウプロジェクト じん(自然の敵P) 完全解釈マニュアル

■各楽曲の動画、歌詞、『動画と歌詞から読み取れる事全て』、自分自身の解釈。

■ちょっと歌詞と動画のバランス悪いっすね。すいません。現時点での情報を俯瞰して、なるべく詳細かつ、じんさんの楽曲の解釈初心者でも分かりやすいように言葉を尽くしました。メモ帳四枚分にも渡るコレさえ読んで頂ければ、じんさんの楽曲に関して独自の解釈をする事が可能となるでしょう。それではよろしくお願いします。

■人造エネミー。『目を背ける話』

■動画



■歌詞

「夢の消えた毎日を
繰り返していたって
意味などないよ。」と
素晴らしいこと言うね
君もそう、
「非現実を愛してます。」
なんて指では言うけど
口では何も言えないのにね

顔も声もない人と
繋がってるなにかを感じてる
それはきっと
相思相愛じゃないけど
そうやって今日もまた
一日が終わるけど
君は生きたようなフリをして
して そして眠る

ああつまらないなと
目を背けてみても
閉じることは出来ないくせに。
ねぇ、
そんなことを認めもしない割りに
今日もまた厭らしい顔で
画面の奥の私を見てるよ?

それが最善策じゃないことを
きっと君は知ってる
萎んだ暗い毎日に
溺れてるのは苦しいよね
嘘じゃない現実が何なのか
解らないのなら一緒に
人が造りだした世界で
生きるのはどうかな?

君を否定するような場所なんて
いる意味が無いでしょ?
もう全てNOにして
私だけを見てよ。

「ああ素晴らしいね。」と
手を叩いてみても
全部嘘で外はゴミだらけ。
ねえ、苦しいほどそれに
埋もれた君が
何で今あっちにむける冷たい顔で
私を見てるの?

それが最善策じゃないことを
きっと君も知ってる
それの先にあるのはきっと
底無しの孤独感
光の射さない毎日を
繰り返してた部屋に
崩れ始めている私の
ノイズが響いてる
「こんなの全然解らないよ」
叫んだ私に君は
「喋るだけのおもちゃはもう
飽きた」と言った

■動画歌詞から読み取れる事。

 まず、絵から。初音ミクを模した姿をしている。ジッパー付きの服を着ている。背景がドット絵風で、ミクが立っているのがゲーム風の現実でない世界だと言う事が読み取れる。

 次に歌詞。

 君もそう、「非現実を愛してます。」なんて指では言うけど口では何も言えないのにね→君のオタク的特徴。タッチタイピングは得意だが、実際に人と向かい合って喋る事は苦手。

 顔も声もない人と繋がってるなにかを感じてるそれはきっと相思相愛じゃないけど→これはツイッター、チャット、ブログ、等文字を介したネットの交流の事。そこには本当の心の繋がりはないんだ。

 ねぇ、そんなことを認めもしない割りに今日もまた厭らしい顔で画面の奥の私を見てるよ?→『君』は『私』に欲情している素振りがある。むっつりスケベ的なのもオタクっぽい。画面の中にミク風のアプリケーションは存在する。

 嘘じゃない現実が何なのか解らないのなら一緒に人が造りだした世界で生きるのはどうかな?→ミク風の人物は、人造の世界に居る? パソコンの中に居る? ともかく『君』に現実が苦しいのなら、いっそ、こちら側の世界に来てはどうか、と問い掛ける。

 ねえ、苦しいほどそれに埋もれた君が何で今あっちにむける冷たい顔で私を見てるの?→『君』に取って、現実は苦しく、あるいはミク風のアプリケーションに欲情でもしているのが救いだった筈だ。しかし、どうして『君』は『私』に現実に向けるような冷めた目を向けるのだろうか? 

 崩れ始めている私のノイズが響いてる→ミク風のアプリケーションは崩壊し掛かっているのだ。『初音ミクの消失』を連想させるが、そこには『ミクとマスターの繋がり』を感じる事は出来ない。『君』に取り、パソコンの中に居る『私』は、結局の所、現実からの逃避手段でしかなかった。『私』は『君』に「あら、私に欲情してるの?」とからかいながら、結局彼女には『君』との繋がりに依存するしかない閉じられた世界に存在する。

 「こんなの全然解らないよ」叫んだ私に君は「喋るだけのおもちゃはもう飽きた」と言った→明らかな暗い終わりを感じさせる。『私』は崩壊し掛かっているし、『君』は『私』の事を喋るだけのアプリケーションでしかないじゃないか、と軽蔑している。きっと、ミク風アプリケーションは削除されてしまうだろう。

■解釈。

 ――それは余りに残酷な結末。終末の都市から抜け出し、電脳化されて殺害された少女は、今、唯一の話相手にすら否定されたのだ。

 『ヘッドフォンアクター』、『エネの電脳紀行』、『人造エネミー』を『エネ三部作』と名付けるのだとすれば、この『人造エネミー』こそ、彼女の終着駅である。

 その余りに救いのない結末は、『じんさんの非道っぷり』を存分に発揮させている。正直、俺はヒビヤと少女、『カゲロウデイズの二人』より、エネに同情的である。彼女程、悲運を辿った人間も居ないだろう。若しくは、ヘッドフォンアクターで素直に『終末実験』に巻き込まれ、死んでしまった方が彼女は幸せだったのではないか? とすら思えてしまうのだ。

 『住んでいた都市の終末』『電脳化されて現実の身体が事切れる』『電脳化された先で自己崩壊し、話相手に軽蔑され、否定される』彼女は謂わば、『三回の死』を経験しないといけなかった。この人造エネミー単体で言うならば、際立つのは『君』の屑っぷり、糞っぷりである。この男は自殺でもした方が良いんじゃないの? という屑である。『終末実験』→『エネ電脳化』の先にエネが辿り着くのが『君』のパソコン(?)だと思われるので、俺は一時、この男こそが全ての黒幕ではないか、と疑ったりもした。

 しかし、この曲の歌詞から読み取る限り、『君』は『エネ』というアプリケーションの一ユーザー、カスタマー的な存在であるように思う。『君』の姿は、内弁慶で、自分が優位に立っている相手にしか強い顔が出来ないという(そして立場が弱い相手だったら消えても構わないというような)典型的な『嫌なニート』的な存在であり、もう『死ね』と言いたい。

 『エネ』が可哀想過ぎるが、しかし、『君』は『エネ』が元々現実世界の少女だった事は知ってなかったのではないか、と思われるのである(エネはおそらく人間ではなく、人造人間なのだが)。だから、余りにも簡単に、エネの存在を切り捨てて、『飽きた』等と言えたのではないか。この男は余りに小物であり、全ての黒幕としては役不足な気がする。人造エネミーの解釈はこれで終わり。

 ところで、『ヘッドフォンアクター』、『エネの電脳紀行』、『人造エネミー』が一つの流れである事は、メカクシティデイズクロスフェードと、エネの電脳紀行の歌詞を理解していると把握しやすい。

■メカクシコード。『目を隠す話』

■動画



■歌詞

希望の消えた世界は太りすぎてちょっとも飛べない。
依然僕にマチガイをインポートする。

ズボンの裾伸びきってiPodのコードが揺れる
イヤホンをあてがって
とりあえずはフード被っておけば問題ないや。
「目隠し完了。」
いつもどおり視えない現状。
非常灯赤く光ればまたシュールな景色になる。

案外今日が来なくても、ローファイな風景を連れて
生涯不安症な君と明日へ先に行けそうかもね。
「さぁさぁ、なんかないものか。」と 
ユレ気味にビートを刻めば
そうそう悪いもんじゃあないさ。

まぁ、飽きないうちは。

虚栄心を呑み込んで
2つ目の遮断機を右へ。
期待に胸が詰まって
口元がちょっとニヤッとしそうだ。

グルービーになりきって
走り気味にリードするけど
俄然空気に馴染んで 
誰にも気付かれていないのなら
断然オーライ 

「任務続行。」   
あと20分。
引けないでしょう? 
スニーカー結び直して
「ほら、合図だ。クールに行こう。」 

上昇中の体温なら、ハイパスで一気にトばして
延々肥大中の街を西へ、北へ、君のそばへ。
「おいおい、ちょっとオーバーだろ?」
金髪のヒールが笑えば、
残念、解らないだろうね。
隠し切れない 君じゃ。

募集人数無制限。
無論、途中参加も歓迎。
募集要項無条件。
服装は自由。

自称ウブな君だって
合言葉ハサんで即加入。
そりゃあそうさ僕なんて
ニジオタコミュショーヒキニート。
だが問題ないぜ?

「気分最高」
振れるピーキー
止まない警鐘
ネオンが不意に落ちれば
さぁ、フードを脱いでみせて。

案外今日が来なくても、ローファイな風景を連れて
生涯不安症な君と明日へ先に行けそうかもね。
「さぁさぁ、どんなもんなのさ」と
赤い目こすって見渡せば
なんだい、つまんなくもないな。
じゃあ、冷めないうちに

いただいてしまおうか。

■歌詞、動画から読み取れる事。

 まずは絵から。特徴的なフード付きパーカーを来た、緑の髪、赤い眼をした人が主人公。背景はサイケデリックな街並み。この主人公は中性的な感じで、男とも女とも取れる。

 次に歌詞。

 「任務続行。」あと20分。→メカクシ団は何らかの任務を実行する集団である。

 延々肥大中の街を西へ、北へ、君のそばへ。→肥大化する街とは何なのか? 普通に考えて、現実の都市が肥大化する様は想像しにくいのだ。そこにあるのはバーチャルっぽい人造の街のイメージである。例えば、行ける世界が広がっていくネトゲとかね。

 「おいおい、ちょっとオーバーだろ?」金髪のヒールが笑えば、残念、解らないだろうね。隠し切れない君じゃ。→金髪のヒールが何者であるかは推測しようがない。メカクシ団と対立しているか、若しくは相容れない存在ではあるのだろう。そもそもメカクシ団は、コミュニケーション障害の集団という趣きがある。内向きのオタクの集まりだから、ネットリテラシーが高く、メカクシ団だから出来る事等もある可能性はある。それに対して、金髪ヒールというのは如何にもギャルっぽいというか、ちょっと街の不良風である。『隠し切れない』が実際に何を意味するかは分からない。何かを隠すのがメカクシ団の任務なのだろうか? 一つ言えるのは、金髪のヒールというリアルが充実してそうな人間に対し、引き篭もりの集まりであるメカクシ団という集団しか出来ない事がある、というそれは主張である。


 募集人数無制限。無論、途中参加も歓迎。募集要項無条件。服装は自由。→金髪のヒールの事は否定した癖に、メカクシ団は実の所、かなりフリーな集団であるらしい。金髪のヒールすらも、希望すれば入れてしまえそうである。

 自称ウブな君だって合言葉ハサんで即加入。→この物語には『君』が出てくる。この歌の視点でもある『主人公』も居る筈なのだ。だが、この引き篭もりっぽい主人公図が、どうしても、格好良い絵の人物と被らない。まあ、それはしづさんの絵の功績かもしれないが。合言葉とは勿論、『メカクシコード』なる物であろう。自称ウブという言葉から、何となく可愛らしい女の子のイメージと共に『コミュニケーション障害』の匂いも感じさせる。

 そりゃあそうさ僕なんてニジオタコミュショーヒキニート。→二次元オタク。コミュニケーション障害。引き篭もりのニート。およそ、絶望的なスペックであるが、それでもメカクシ団としてやっていくのは『何の問題もない』らしい。

 ネオンが不意に落ちればさぁ、フードを脱いでみせて。→服装自由とは言っているが、メカクシ団は一様にフード付きのパーカーを着ているようなイメージがあるのだ。顔を隠したい、見られるのが恥ずかしいタイプの人間達。そんな彼らも、他人に見られないメカクシ団同士というシュチュエーションであれば、顔を晒す、という事だろうか。

 赤い目こすって見渡せば→目が充血しているという意味ではないだろう。『瞳』が赤いのである。それが主人公のみの特徴なのかどうかは分からない。

 冷めないうちにいただいてしまおうか。→いただいてしまおうか、というワードは普通、食事を前にした時の言語である。しかし、ここでは任務完了を目の前にした主人公達のちょっと冷然とした姿は浮かぶ。

■解釈。

 現状では解釈が非常に難しい曲。人造エネミーが一つの物語性を内包していたのに対して、この楽曲はメカクシ団の紹介に留まっている感じがするのである。メカクシ団はフードを被った集団である。何らかの時間制限付き任務を抱えている。コミュニケーション障害者の集団である。主人公だけ、若しくは集団の性質として、瞳の色が赤い(不明)。彼らは想像フォレストでも登場するのだが、じん世界観内での役割というか、『メカクシ団』の任務は何なのか? を考察するのは現時点ではとても難しい状態である。

■カゲロウデイズ『目も眩む話』

■動画



■歌詞

8月15日の午後12時半くらいのこと
天気が良い
病気になりそうなほど眩しい日差しの中
することも無いから君と 駄弁っていた

「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら
君はふてぶてしくつぶやいた

あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて
飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機

バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ
血飛沫の色、君の香りと混ざり合ってむせ返った
嘘みたいな 陽炎が「嘘じゃないぞ」って 嗤ってる
夏の水色、かき回すような蝉の 音に全て 眩んだ

目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで
今は何時?

8月14日の午前12時過ぎ位を指す
やけに 煩い蝉の声覚えていた

でもさぁ、少し不思議だな。
同じ公園で昨日見た夢を思い出した
「もう今日は帰ろうか」道に抜けた時
周りの人は皆上を見上げ口を開けていた

落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる
劈く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空廻り
ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる
眩む視界に君の横顔、笑っているような気がした

何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る。
繰り返して何十年。もうとっくに気が付いていたろ。

こんなよくある話なら結末はきっと1つだけ。
繰り返した夏の日の向こう。

バッと押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる
血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して
文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら

実によく在る夏の日のこと。
そんな何かがここで終わった。

目を覚ました8月14日のベッドの上
少女はただ
「またダメだったよ」と一人猫を抱きかかえてた

■歌詞と動画から読み取れる事。

 一回動画を見たが、動画自体からしか読み取れない要素は今回はない気がする。

 絵から読み取れる事。夏の青い空。止まれ等看板と、濃い隈のある、レンっぽい少年。夏と交通事故、って感じのイラスト。

 歌詞から読み取れる事。

 8月15日の午後12時半くらいのこと→これさあ。誰も指摘しないから、俺もうちょっと突っ込むけどさあ。午後十二時半ってさ、真夜中の0時半なんだよね。どっかのインタビューでじんさんが、午前午後の表記って分かり難いって話から、ちょっとしたトリックとして思い付いたんじゃないか、とは思うんだ。でも、ご自身が間違っているのってどうよ。まあ、そこがセミプロ的可愛らしさなのかな(笑)。反論したいファンの方はどうぞ。

 一日は午前午後で分けると、午前一~十二時、午後一~十二時という風に半分ずつに分けられるよね。前者が午前中、後者が午後って訳さ。午前十二時が丁度正午、午後十二時っていうのは、要するに真夜中。じんさんは午後十二時半を、お昼時、午前十二時過ぎを深夜と誤用している節があるんだよ。若しかして、この時の流れのおかしさこそが、カゲロウデイズの日常の歪みを示している……と深読み出来なくもないけど、『時間』というミステリ要素を付け加えようとして単純に間違っちゃったんじゃないか、と俺は見ています。

 「でもまぁ夏は嫌いかな」→少女の方はループに気付いているから、『夏が嫌い』なのではないか、というのはどっかで見たネタ。俺もループに最初に気付いた、若しくはループ発生原因、この日常が初めからループしている事に気付いていた、のは、少女の方だと思う。

 陽炎が「嘘じゃないぞ」って嗤ってる→少女は交通事故でお亡くなりになる。陽炎は擬人化されているように思える。主人公の脳内世界の住人か、それともこの世界のループの要因か? 

 夏の水色、かき回すような蝉の音に全て眩んだ→水色の夢というフレーズがコノハの世界事情にも出て来る。

 8月14日の午前12時過ぎ位を指すやけに煩い蝉の声覚えていた→ここは結局、深夜に目を覚ました、ってシュチュエーションなんだと思う。そんな時刻に目覚ましを掛けていたっていうシュチュエーションは謎なんだけど。結局この目を覚ます、八月十四日の深夜から八月十五日のお昼時位まで、この半日位を主人公はループしているようだ。

 落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる→要するに夢の事を覚えていた少年は、交通事故を回避しようとして、別のパターンで少女が死んでしまった訳だ。シュタインズゲートのオカリン程には自覚的ではないが、これも方法を変える事によって、少女を救う事を模索するパラレルワールド、時間ループ物の一つの類型と言える。

 ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる眩む視界に君の横顔、笑っているような気がした→ここでも陽炎が嗤う。最早、陽炎は夏に立ち上るアレではなくて、定まった姿があるキャラクタ化されている。君が笑っているのは何故か? この時点で主人公を救う為には自分が代わりに死ぬしかない事を既に認識しているから。

 何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る。繰り返して何十年。→世界は何十年分もループする。これは異様な数値だ。同じ日を、例え十年だとしても、三千六百五十回繰り返すのだ。それは同時にそれだけのパターンで死ぬ少女の姿を見てきたという事でもあるだろう。わんにゃんぷーさんは自己解釈動画の中で、間奏の間に繰り返す少女の死を演出し、少年の狂気が醸成される様を表現したかったと言う。確かにそれだけの日々を、少女が死ぬ事だけを繰り返して見せられたら、気がおかしくなっても仕方ない。

 バッと押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら実によく在る夏の日のこと。そんな何かがここで終わった。→少年は少女の代わりに自分が死ぬ事こそ、ループ打開だ、と思い込んで自殺を選ぶ。だが、それは誤りなのだ。そもそも、これは彼が少女を救うゲームではなく、逆も同じゲームだった。少女も少年を助ける為に自己犠牲を繰り返していた。要するに、『二人が助かる』選択肢を少年は掴み取る事が出来なかった。

 目を覚ました8月14日のベッドの上少女はただ「またダメだったよ」と一人猫を抱きかかえてた→主人公と同じように、少女が深夜に目を覚まし、今回もループが発生してしまった事を呆然と呟く訳だ。

■解釈。

 この物語は、ある意味、『まどか☆マギカ』や『シュタインズ・ゲート』に比類する、一つの傑作ループ物な訳だ。主人公が自己犠牲に至るまでの過程を僅か四分間の物語に込めてしまった。この曲が更に関心を集めたのは、これがバッドエンドで終焉する事である。少女は、少年が助ければ、それで全てハッピーエンドになるような『お姫様』ではなかった。少女も少年を救う為に行動していた『プレイヤー』側の人間だったのだ。

 シュタインズ・ゲートでもまどか☆マギカでも、結局示されたのは、誰かが誰かを救おうとする一方的な献身である。しかし、この物語は、たった四分で主人公とヒロインが互いに互いを救おうとしているという新しいループの物語像を提示してしまった訳だ。

 しかも、この曲は完結していない、という事がじんさんにより提示されていた。『カゲロウデイズ』は端的に言えば、『結局ループからは脱出出来なかったよ……』というバッドエンドだった。しかし、続きがある『解決編』があるという事が示されたので、この楽曲は続きを考察したり、この曲の珍しいループ構造を把握しようと解釈する楽しみを加えられたのである。間違いなく、じんさんの最高傑作であり、ループ物の新しい形は提示された。


 ■カゲロウプロジェクト じん(自然の敵P) 完全解釈マニュアル 2/4





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