面白いだけではない多才な「芸人作家」が増える理由 | 「365日の言の葉」

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それで始めたブログなので、日々起きたことや感じたこと、また以前と同じくAKB48関連や詞(詩)などジャンルを問わず更新していきます

【昨日までは、"音楽ネタ"といったカテゴリーのブログ内容でしたが、ちょっと路線変更します。最初にこの資料となる内容を読んだ時、個人的には凄く興味深いものがありました。本を読むのも好きですが、最近は製作側の執筆や脚本にも興味があるので…。特に、タイトルのように最近の引く手数多いる芸人の"作家"才能には、凄いのを感じますね…】




今までは、芸人の「品川庄司」の品川さんを始め、劇団ひとりさんなど映画監督として注目されている芸人は多くいるが、ここ数年では小説家や脚本家など、いわゆる"ストーリーテラー"としての芸人作家が脚光を浴びるケースが増えてきている。その勢いは今や、ある面では専業の脚本家や小説家をも脅かす存在になりつつある。かといって、本業のお笑いと作家業のどちらもやどちらかをお座なりにしたり片手間的に行ってはおらず、その作品から自分の表現力で自分を魅せる腕が見えるから、お笑い的という意味ではない面白さがある。



◇「ピース」の又吉さんは文学小説、「バカリズム」さんは連ドラ脚本…
芸人が書いた本の中で最も売れたのは、累計225万部を記録した「麒麟」の田村 裕さんが書いた「ホームレス中学生」だが、その後も数々の芸人が鎬を削るようにして本を出版し続けている。例えば
1)「品川庄司」・品川 祐さんの「漫才ギャング」
2)千原ジュニアさんの「14歳」などの自身の特別な経験を綴った自叙伝的な作品が多かったが、近年では…
3)劇団ひとりさんの「陰日向に咲く」や「青天の霹靂」
4)「インパルス」・板倉さんの「トリガー」や「蟻地獄」
5)「アンジャッシュ」・渡部さんの「エスケープ」
6)「爆笑問題」・太田さんの「マボロシの鳥」や「文明の子」
以上以外にも多々あり、自叙伝的な作品にとどまらず、様々なジャンルの小説に挑戦する芸人も現れるようになってきた。そして今年1月7日には、文藝春秋が発行している文学誌「文学界」で、「ピース」の又吉 直樹さんが小説「花火」を発表した。こちらは、又吉さん自身の経験をベースにした私小説風の作品ではあるが、純文学のジャンルで作品を発表したことで話題となった。その結果、又吉さんの小説を掲載した「文学界」2月号は、発売から僅か2日目にして創刊以来となる初の増刷を決定し、累計4万部を発行することになったほどだった。更には、その「火花」が3月11日に文庫化されることも発表されていたが、既に発売前にして予約の時点で15万部に上ることが、発売元の文藝春秋から発表されている。又吉さんの文才は、かつてないほどに大注目を浴びている。



昨年秋の10月から12月まで、関西テレビ/フジテレビ系で火曜22時に放送された連続ドラマ「素敵な選TAXI」、その脚本をバカリズムさんが担当したことでも話題になった。全10話の平均視聴率も、10.0%と好成績を残した。バカリズムさんは「素敵な選TAXI」を執筆するまでにも、OLになりすましてブログを綴り、それを「架空OL日記」として出版したこともあるのだという。



◇何故芸人がプロ顔負けの物語を発表できるのか?
芸人が小説を書いたり脚本を書いたりということは、これまでは芸人という本業があるからこそ出来ることで、話題先行と思われがちな傾向が専ら強かった。しかし、劇団ひとりさんや又吉さんにバカリズムさんといった知名度がかなりある人の域まで達すれば、専業としている脚本家や小説家をも脅かす存在になってきているようだ。現に又吉さんの小説について言えば、「絶対賞を取る」と「爆笑問題」の太田 光さんが絶賛している他、バカリズムさんの脚本も一部ネットユーザーの間では、「クドカンを(視聴率で)超えた」とも評されたほどである。しかし、芸人がプロも顔負けの物語を発表出来るのは何故だろうか?彼らに共通しているのは、自分のネタのためにコントを書いている、言わばお笑いにおいても作家でもあるということだ。コントといっても、単独ライブなどになると3分や5分の短いネタだけではなく、ざらに10分を超えるような大作となるネタもある。その10分もあれば、起承転結もあり壮大なドラマのような展開になることも多く、単独ライブは短いコントの積み重ねであり、最終的には1つの舞台を見ているような構成にもなっている。更にその内容は、時に社会風刺を織り交ぜながら、現代の若者たちが共感しやすい見せ方、面白さをどこに感じるのかを芸人なりのそれぞれの肌感覚で研究し、彼らなりの表現方法でそれを伝えている。だからこそそんな芸人たちは、ストーリーを紡ぎ出す力に長けている。



ドラマ(映像)脚本の書き手としても、芸人が脚光を浴びてきているのには、これまでのものとは異なる斬新な発想の作品が、シーンで求められていることにもある。人気脚本家や有名作家の作品はもちろんのこと注目され、需要はますます高まっていく。そんな中で、今までの定石を打ち破る脚本が求められている、そんな一面があるのも事実だ。今後も、新たなストーリーテラーとしても発掘される芸人たちが、もしかしたら増えていくのではないだろうか?と思う。




(参考資料:オリコン音楽情報 エンタメNews)