家賃を値下げして満室に、ところが既存入居者から・・・ | 念ずれば花ひらく「会社経営」

家賃を値下げして満室に、ところが既存入居者から・・・

家賃格差のトラブルについて書いてみます。
最近、空室に悩む大家さんが、家賃を下げて募集したらすぐに入居者が決まった・・・という話を良く聞きます。
しかし、ホッとするのもつかの間、既存の入居者から「私の部屋も家賃を下げてくれ」という申し出がありました。
以前であれば、隣の部屋の家賃は本人に聞かなければ分からなかったものですが、現在ではインターネットによって情報が公開されているため、自分のマンションの空室がいくらで募集しているのかが一目瞭然になってしまいました。

もし、そんな悲しい申し出が大家さんのところに来てしまったらどう対処しますか?

対応策を考えて見ましょう。
まずは、法律論から申しますと、結論的には応じる義務はありません。
賃貸借契約というのは、契約を交わした当事者間で自由に内容を約定できるものであり、同じマンションの同条件の住戸でも、異なった家賃で契約することができます。
また、時間の経過や経済情勢によって、家賃を変更することも認められています。
したがって、既存の入居者が、新しい入居者の家賃と同額にと請求することはできないのです。

ちなみに、同一マンションは近傍同種にあたりません。家賃が不相当かどうかは近隣地域の同種建物の家賃、いわゆる家賃相場と比較する必要がありますが、新規募集時の家賃と、既存入居者の継続家賃とは算定の基礎が異なるため、単純に比較はできないのです。

でも、実務的にどうでしょう。「下げてくれないなら出て行く」、「下げた家賃の部屋に入る」といわれてしまったら・・・
状況により異なりますが、少なくとも現在の供給過剰の賃貸市場では、「値下げは認められない」と一蹴するのは得策ではありません。

入居者には、現行家賃が契約で合意されたものであることを説明した上で、「契約期間中は現行家賃にし、更新の際に検討する」と回答するのが良いでしょう。
実際の更新時には、値下げに応じるか、断るか、状況に応じて考えて話し合ってください。
特に、値下げによる収入源と、空室による損失のバランスを良く考えなければなりませんね。

大家さんによっては、家賃を下げる代わりに、エアコンを新調してあげたり、ウォシュレットを新規につけてあげたり、カラーモニタホンを設置したりと、設備をグレードアップすることによって対応している方もいらっしゃいます。参考にして下さい。