【夢小説/眠らぬ街のシンデレラ】あなたを想うと③(廣瀬遼一)
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②はこちら。
なぜかVIPルームのソファに○○は皐月と千早に挟まれて座っている。
しかも、たくさんの料理を二人から少しずつ食べさせてもらっていて、○○は恥ずかしさのあまり顔がまっ赤だ。
「あ、あの...あの、皐月さん?」
「はい?」
「ここまでやる必要あるんですかね?」
「さぁ、どうでしょう?遼一がくればわかりますよ」
そう言ってにっこりと笑う。
しかし、右に白いスーツをビシッと来た千早に、左は黒いスーツの皐月がとろけるような甘い微笑みと共に果物やカナッペなどを少しずつ食べさせてくれているのだ。
「○○さんが食べる姿はかわいらしいね」
千早がニコニコしながら言うと、皐月も大きくうなづく。
一体どっちがこんなこと考えついたんだろう、と○○は思いながらも、この二人の作戦にのっかっていたのだが....
「あ、トマトソースがついてしまってる」
そういう千早がすばやく○○の口元にその長い指を伸ばすとスッとソースをぬぐった。
そして、その指先をペロッと舐めてしまう。
「え!あのっ、國府田先生!?」
(明らかにやりすぎじゃない?)
「○○さん、こちらの生ハムも香りが素晴らしいですよ。いかがですか?」
そう言って皐月が食べやすく折り畳んだ生ハムをフォークで彼女の口元へ運ぶ。
思わず雛鳥のように口をパクっと開けて食べると。
「おいしい!」
「でしょう?○○さんはおいしそうに食べてくれるからこちらも嬉しいですね......それにしても、貴女にこうやってお食事を差し上げてると、親鳥のような気持ちです。守ってあげたいといいますか」
「えっ....」
笑顔の眩しい皐月にそんなことを言われ、更に赤い顔がのぼせ上がってしまう。
「も、もう、いいんじゃないでしょうか....」
「だめですよ。見せたい肝心の相手がまだですからね。さ、もっと私達に頼ってくれていいんですよ?」
(頼るって....なにを!?)
「.......千早、これは思いのほか、楽しいな?」にこやかに皐月が言う。
「皐月さん、はまってますね。でも男というのはこうやって女性をもてなしたいという欲があるから。○○さん、覚えておいても損はないよ?」
「はぁ....」
「じゃあ今度はこちらのテリーヌを食べてみて。これは....」
千早が小さく切って食べやすくしたテリーヌを彼女の口元に運ぼうとすると。
「○○!!」
VIPルームの入口から大声で彼女の名前を呼ぶ声がした。
驚いてそちらを見ると......
遼一が眉根を寄せて、腕組みをしたまま、○○を睨みつけていた。
「やぁ、遼一。やっとお出ましだね。今、新しいメニューの試作品を○○さんに食べてもらっているんだよ」
千早が屈託なく言うと、遼一は腕を組んだままその場で大きなため息をつく。
そしてスタスタとソファまで歩いてくると。
「千早さんも、皐月さんまで、何やってるんですか.....こいつにちょっかい出さないでくださいよ。ほら、○○、行くぞ!」
そう言って○○の手首を掴むと、無理矢理立たせて引っ張る。
「りょ、遼一さん!ちょっと待って.....ヒールが....」
「いいから来い!」
バタバタと○○と遼一はVIPルームを出て行ってしまった。
「.......どうだったかな?ギャフンと言わせられたと思うか?千早」
「あんな風に彼女を奪っていったんだし、相当ギャフンと来てると思うな」
千早はニコニコと楽しそうに答える。
「それにしても.....これ、楽しかったね、皐月さん。でももう○○さんには食べさせてあげることはできないかな.....そんなことしたら、遼一が怒りそうだね」
「そうだな、それは無理そうだな」
「しかたないか」
千早は肩をすくめた。
(つづく)
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