本と本屋を舞台にしたアンソロジー『本からはじまる物語』を読みました。

 

 

本からはじまる物語/恩田 陸

¥1,365
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全部で18人の作家の作品が収められています。
 
  
「飛び出す、絵本」 恩田陸
仕掛け絵本の話、ではなく、絵本の森を飛び交う絵本たちをつかまえる話。
本が飛んで回るという思い付きだけの作品。つまらない。
★☆
 
「十一月の約束」 本多孝好
本屋でエロ本を立ち読みする登校拒否児の前に、小説を読んで感想を伝えれば、エロ本を買ってくれるという男が現れる。
惜しい。すごくいい設定なのに、後半、もうちょっと何とかならなかったかな。
★★★
 
「招き猫異譚」 今江祥智
京都の本屋にいた猫が、東京の画家の家に住みついた。
長新太さんなど実在の人物を登場させ、私小説っぽい作り。
★★☆
 
「白ヒゲの紳士」 二階堂黎人
文庫本をバラバラに置いて行く上客、白ヒゲの紳士の正体は?
今時、それはないんじゃないの、と思わせる暗号物。
★★
 
「本屋の魔法使い」 阿刀田高
田舎の本屋にいたお婆さんは、注文した本をたちどころに呼び寄せる魔法使いだった。
本が飛ぶという発想は、恩田陸くんの「飛び出す、絵本」と同じだが、まだこちらの方が良い。
★★
 
「サラマンダー」 いしいしんじ
十六歳の夏、少年は少女に恋をし、彼女が少年にあてて書いた手紙を本の間に探す。
いしいしんじくん、初めて読みますが、いいですね。でも、タイトルが犬の名前ってどうなんでしょ。
★★★
 
「世界の片隅で」 柴崎友香
双子の姉妹と本屋で会った話。
内容なし。

 
「読書家ロップ」 朱川湊人
猫のロップがロシア語の本を読んでいるように見える、という話。
★☆
 
「バックヤード」 篠田節子
書店の地下には作家の念が住み着いていた。
★★☆
 
「閻魔堂の虹」  山本一力
江戸時代の貸本屋の話。他とは違っている、というだけで、ほっとします。
★★★
 
「気が向いたらおいでね」 大道珠貴
不倫の彼との待ち合わせ場所は、本屋の旅行コーナー。でも、たぶん彼とは旅行に行かない。
★★
 
「さよならのかわりに」 市川拓司
記憶を本にする話。
ラストが分からないんですが、悪魔か死神ですか? それともキリスト?
★★
 
「メッセージ」 山崎洋子
これまた並べ替えられた本の最初の文字がメッセージになっている、という作品。
青池君、いい子じゃないですか。
★★☆
 
「迷宮書房」 有栖川有栖
山奥の書店に迷い込んだ二人の男たちは、映画で見たことがないような場面があって、魅力的な美女が登場する冒険小説の登場人物となる。
★★☆
 
「本棚にならぶ」 梨木香歩
ぶつかると、体が欠けていく。最後は本屋で。
ごめんなさい。こういうのダメです。

 
「23時のブックストア」 石田衣良
本屋の店員とアルバイトの恋の話。
★★★
 
「生きてきた証に」 内海隆一郎
書店の書棚に差し込まれる小冊子。だが、書いた老人は3月前に亡くなっていた。
★★★
 
「THE BOOK DAY」 三崎亜記
これまた本が羽ばたく話。本への愛は感じられるものの、三崎くんには違った切り口で書いて欲しかっな。
★★

  
  
初めて読むのは、本多孝好くん、今江祥智くん、いしいしんじくん、柴崎友香くん、朱川湊人くん、山本一力くん、市川拓司くん、梨木香歩くん、内海隆一郎くんの9人。
 
このうち、また他の本も読みたいな、と思ったのは、本多孝好くん、いしいしんじくん、山本一力くん、内海隆一郎くんの4人。
 
でも、一つひとつの作品が短すぎて、皆さん、本来の良さが発揮出来ていなかったかも。
 
 
評価 ☆☆


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