小学生に人気の、ハチベエ、モーちゃん、ハカセの3人組が活躍する「ズッコケシリーズ」。
本編のほうは、2004年に完結してしまいましたが、今日ご紹介するのは、その番外編『ズッコケ中年三人組』です。
サブタイトルが「age43」。
小学校を卒業して30年、今や中年となった3人は、今度はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
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ハチベエこと八谷良平くんは、親から譲り受けた八百屋を発展させたコンビニのオーナー店長になっていました。
そして、なんと奥さんは同級生の安藤桂子ちゃん!
高校生の男の子が2人います。
モーちゃんこと奥田三吉くんは、内装業会社の従業員。
でも、勤めて2年というところが気になります。
仕事が長続きしないのでしょうか。
中学生の娘が1人います。
奥さんは、これまでの物語とは無関係の随分年下の方のようです。
ハカセこと山中正太郎くんは、独身の中学教師です。
このあたりの設定、どうなんでしょう。
たしかに当時からあまりもてそうなタイプではありませんでしたが、これでは世のハカセタイプの小学生諸君が希望をなくしてしまうのではないでしょうか。
でも安心してください。
最近、ハカセは同級生の荒井陽子ちゃんと、ちょっと良い感じなのです。
そして、肝心の物語の内容は、なんとびっくり、裁判員制度を扱ったミステリーです。
3人の住むミドリ市で殺人事件が発生し、容疑者が逮捕されます。
容疑者は当初殺人を認めますが、後に否認に転じます。
容疑者は、被害者を殴ったことは認めています。
当初殺人を認めたのは、死因が殴られたことによるものだと誤認したからだというのです。
被害者の死因はモンキーレンチで頭部を殴られたことによるものでした。
そしてこのモンキーレンチは、容疑者が経営する工場で使用していたものなのでした。
この事件の裁判の裁判員にハチベエが選任されます。
裁判員は、裁判官とともに有罪あるいは無罪を決めなければなりません。
また、有罪の場合は、量刑も決める必要があるのです。
はたして、あのハチベエにそんなことが出来るのでしょうか?
そして、事件の真相は!
裁判員制度の問題点を扱った小説としては、よく出来ていると思います。
それよりもばくは、花山第二小学校のみんなの30年後の姿に、何とも言えない時の無常を感じてしまいました。
あの榎本由美子ちゃんが、離婚してスナックのママとはねぇ……。
ズッコケファンの小学生は、読まないほうが良いかも知れません。
評価 ☆☆☆
ズッコケシリーズは こちら からどうぞ。