被災地・避難所でボランティアを計画されている皆様の感染症予防について

2011年3月17日現在
国立感染症研究所感染症情報センター


現在、被災地においては、食料、水の不足、寒さに加え、長期の避難所生活により感染症が流行しやすい状況となっています。ボランティアで被災地・避難所へ向かわれる方には、現地での、主に感染症予防(特に持ち込みおよび自身の罹患の予防)という観点から、是非以下の点についてご留意ください。

* ご自身の体調が悪い場合は無理をせず、特に、下痢・発熱・咳・発疹等の症状の出始めは少し様子を見て、体調を整えてから現地に向かうようにしてください。

* ワクチンで予防できる疾患に関しては(以下を参照)、ご自身のワクチン接種歴を確認し、望ましいと考えられるワクチンについては、できれば出発前に接種してから現地に向かうことが勧められます。

(優先順位:高◎、中○、低△)
◎ インフルエンザ(2010-11年シーズンワクチンを接種していない場合)

◎ 麻疹(2回の麻疹含有ワクチン接種が終了していない場合、麻疹風疹混合ワクチンを推奨)

○ A型肝炎(60歳未満の場合には免疫保有者は少ないので、可能であれば接種を推奨)

○ 破傷風(特に創傷を負う可能性がある作業に従事する場合には接種を推奨)
※40歳以上の方は免疫を持っている人が少なく(参考資料「感染症流行予測調査」:http://idsc.nih.go.jp/yosoku/Tetanus/Serum-T2008.html)、特に勧められます。40歳未満で、小児期にDPT,DTワクチンの接種を受けていれば、1回の接種で抗体は速やかに上昇します。

△ 水痘・おたふくかぜ(これまでに罹ったことがなくワクチンを受けていない場合には、可能であれば接種を推奨)


* 現地での健康管理には、ご自身で十分注意してください。現地は気温が低下し、室内でも低体温症が危惧されております。防寒対策についても十分ご注意ください。被災地で体調の悪い時は、ボランティセンターあるいはそのチームのリーダー、健康管理者などがいればその方などに告げて、一時、第一線を離れて下さい。ご本人のため、被災された方のために重要です。

* 咳エチケット(持参したマスクの着用(被災地・避難所ではマスクの数が十分ありませんので、出来る限り大目に持参してください)、咳き込むときに口を覆うことなど)、飲食前、トイレ後の手指衛生など(速乾性のアルコール製剤、アルコール綿の小パッケージなどの持参が望まれます)、可能な限りの感染症予防策を心掛けてください。

感染症を被災地に持ち込まない、およびご自身が罹患しないために、最大限の努力をよろしくお願いします。

(2011年3月29日 IDSC 更新)