コレキヨの時代にも実質賃金は下がっていた | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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高橋是清については当ブログでも何度か取り上げてきたが、上念司氏の『経済で読み解く大東亜戦争』を読んで刺激を受けたので改めてその政策をふり返ってみたい。

高橋是清の財政金融政策は昭和恐慌から日本経済を復活させたが、その結果、政府支出は増大し公債発行額も増えた。その政策は『日銀が国債を直接引受けて市中にマネーを供給することによって、貨幣量そのものを増減する』金融緩和政策だが、かなりの財政出動も伴っていたのである。

↑引用元→http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-1b66.html

このグラフから、是清の政策で財政支出が増加している(その後の増加よりは少ないが)ことが分かるが、この増加分の多くは軍事費だ。しかし、是清は1935年に至って日本経済は完全に復活したと判断し、翌年からは軍事費も含め緊縮財政をとることを予定していた。

そして、それが一部の過激な軍人を刺激し、二.二六事件で是清が暗殺されるという悲劇の一つの要因となる。その後は是清の意志とは逆に軍事費を中心に財政は膨れ上がり、インフレ率が10%まで上昇して国民を苦しめることになる。

上念氏は著書の中で、このような経済政策の失敗が招く国民生活の困窮が危険な思想が支持を集め、究極のポピュリスト総理、近衛文麿が誕生してしまう土壌を作ったと指摘している。是清の金融政策と財政政策のパッケージは日本経済を立ち直らせたが、危険な土壌は既に出来てしまっていたのである。

では、当時として画期的な是清の財政金融政策で日本経済はどう変わったか。物価と賃金の推移からそれを見てみよう。


実収賃金とは見慣れない言葉だと思われるだろうが、これは『実質賃金とは違う。厳密な違いはともかく、現在の指標としては『現金給与総額』つまり『名目賃金』に相当すると考えていいだろう。

是清の政策により実収賃金は上昇に転じ、同時に物価も継続的な下降から比較的緩やかな上昇に転じる。まさにアベノミクスを思わせる動きとなっている。ただ、このグラフでは分かりにくいが、賃金は上昇し始めたが物価も上がっているから、実質賃金は上がるどころか下がっているような感じがある。

「感じ」で判断するのは良くないので、この二つの指標から当時の『実質賃金』を算出してみた。
『実収賃金』と同様に1926年を100とした指数に置き換え、失業率の推移と共に示している。


是清の政策以降『実質賃金』はほぼ一貫して下がっているが、同時に失業率も大きく改善している。まさに現在起きていることと同じであり、雇用の改善が名目賃金の上昇を抑え、さらに物価上昇が実質賃金の下降につながっているのである。しかも、その傾向は4年後の経済復活宣言の時でもまだ続いた。

つまり、これがデフレから脱却し経済が立ち直ってゆくプロセスであり、多くの失業者が職を得る過程では平均値である実質賃金が下がるのは当たり前なのである。コレキヨの政策を絶賛しておきながら、一方では「実質賃金がー」とアベノミクス批判を繰り返す某評論家はこれをどう見るのだろうか。

是清の政策はテロにより4年で頓挫した。アベノミクスは「消費増税圧力」「実質賃金がー、非正規雇用がー」の攻撃を受け、消費増税によるダメージはあったが、再度の増税と野党の攻撃を総選挙でしのぎ、いまや経済は立ち直りつつある。しかも、まだ3年目が始まってそれほど経っていないのだ。

消費の拡大も実質賃金の上昇も、失業者が職を得ることと同時に一人ひとりの賃金が上がらなければ実現しない。だから安倍政権は様々な政策手段を動員しそれを実現しようとしているのである。
この流れを是清の時代のように途中で終わらせては、絶対にいけない

(以上)

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このエントリはこの本を参考にしました。