景気回復 この春の賃上げがカギ | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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昨日から経団連主催の「労使フォーラム」が東京で行われている。春闘の前哨戦と言われているこの集まりで、経営側の代表である榊原会長が企業側に積極的な賃上げを求める挨拶をするという、ちょっと前までは考えられない面白い展開になっている。
以下、太字強調は全てブログ主による。

労使フォーラム:春闘「前哨戦」東京で始まる
毎日新聞 2015年01月26日 20時17分

 主要企業の労使が賃上げや雇用条件などについて意見を交わす経団連主催の「労使フォーラム」が26日、東京都内で始まった。2015年春闘の「前哨戦」の位置づけで、経団連側が好業績の企業に積極的な賃上げを要請する一方、連合側は2%以上のベースアップ(ベア)など、より踏み込んだ対応を経営者に求めた。フォーラムは27日まで。

 経団連の榊原定征会長は、冒頭のあいさつで「デフレ脱却に向けた正念場で、政・官・民があらゆる手立てを総動員すべきだ。経済界としても一歩前に踏み出した対応を図る必要がある」と述べた。賃金上昇が消費拡大、景気回復につながる好循環の実現に向け、企業の賃上げが重要との認識を示し、「収益が拡大している企業には、ボーナスや手当を含めた賃金の引き上げについて前向きな検討をお願いする」と要請した。

 一方、連合の古賀伸明会長は講演で「(賃金上昇率から物価上昇率を差し引いた)実質賃金は17カ月連続で前年比マイナス。物価上昇と国民所得の向上が整合しなければ、社会の混乱など大きなリスクの火種となる」と指摘。デフレ脱却の必要性については経団連側と認識を共有しているものの、「昨年より一層の月例賃金の引き上げが求められている」と述べた。

 15年春闘の方針で、経団連がベアを2年連続で容認する一方、連合は前年を上回る2%以上のベアを求めている。15年春闘は、29日の榊原氏と古賀氏の会談で事実上スタートする。2月中旬に主要企業の労組が経営側に要求書を提出し、3月中旬に経営側が集中回答する見通し。【大久保渉】
http://mainichi.jp/select/news/20150127k0000m020071000c.html


経団連会長が経営側に賃上げを促すのはこれがはじめてではなく、昨年もフォーラムでも当時の米倉会長も政府の要請を受けて同様のことを述べている。榊原氏はさらに踏み込んだ要請をしているのだが、彼は経済財政諮問会議の民間議員でもあるから、まあ予想された通りではある。

連合の古賀会長が、まるで榊原氏の補足をしているような話をしているのが面白い。労使の代表が同じ集まりでそろって経営者に賃金を上げろと言うなど、海外ではあり得ないのではないか。安倍総理を新自由主義者などと言う向きがあるが、賃上げを経営側に迫る新自由主義とは一体何なのかと思う。

榊原氏をはじめアベノミクスに協力的な経営者は多いようだが、トヨタの豊田章一朗社長もその一人だ。今年の春闘でもトヨタは率先して満額かそれに近い賃上げをしてくれると思うが、少子化の問題に取組む安倍政権に対し、これからの賃金体系の在り方についても、一つの提案をしている。

それを伝える日経新聞の記事を。
図で概要は分かると思うが、その意図や狙いも説明しているのでできれば記事も。


トヨタ、若手の賃金手厚く 工場従業員、年功部分を圧縮 
2015/1/27 2:00日本経済新聞 電子版

 トヨタ自動車は工場で働く約4万人の賃金体系を大幅に見直す。少子化で確保が難しくなっている若手社員の賃金を手当の増額などで引き上げる。年功部分の圧縮や能力重視の体系への変更で若手への配分原資を捻出する。総人件費は増えるが、優秀な若手人材の確保が中長期的な競争力強化につながると判断した。トヨタの取り組みは大企業の製造現場の硬直的な賃金制度を改めるきっかけになりそうだ。

 工場の現場作業や走行試験などに従事する「技能員」と呼ばれる18歳から65歳までの社員が対象で、単体従業員約6万8千人の約6割にあたる。2016年1月の導入を目指し、このほど労働組合に大筋の考え方を提示した。工場従業員の賃金見直しは完全な年功序列に一部、能力給的な要素を採り入れた1989年以来となる。

 制度の詳細は今後詰めるが、勤続年数が長くなるに従って賃金が増える賃金カーブを見直して若手への配分を増やす。配偶者手当をすべて子供手当に振り替えることも検討中で、子育て世代の配分を厚くする。

 能力給に相当する部分にも柔軟性を持たせる。役割や能力で支給額が上下する部分を新たに設ける。年2回査定し、工場での作業レベルのほかチームワークなどを評価する。資格等級に関係なく、同じ職場なら若手からベテランまで一括で評価する。査定結果に応じた半期ごとの賃金の変動は30歳前後から始まる。

 トヨタの工場従業員の平均年齢は約40歳。若年労働人口の減少から、現在、約2割の50代以上の比率が35年には3割を超えるとみられる。能力や勤労意欲などを重視することで、現場の士気向上や新入社員の獲得増につなげる。

 また、団塊世代の大量退職に伴い、困難になっている若手への技術伝承を円滑にするため、60歳以降の定年後のベテラン社員の処遇も見直す。60歳到達時に作業レベルや指導力などで極めて高い能力を持つ人は処遇を変えずに65歳まで再雇用する。

 現在の再雇用制度では60歳の定年後、65歳までは仕事量と賃金が半減するが、高い能力を持つ人には従来と同じ賃金を支払い、若手の指導や高度な技術の伝承などに生かしてもらう。一定の評価基準に到達していない社員は従来の仕組みを継続し雇用を守る。

 個人消費の回復を目指す政府は今回の春季労使交渉で賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)と同時に、年功序列の賃金体系の見直しも企業に求めている。トヨタは所得増が消費に回りやすい若年層の社員の賃上げでこうした政府の要請に応えていく

(以下略)


トヨタに限らず、すでに団塊世代のほぼすべて定年をむかえているし、再雇用などで仕事を続けていた人の多くも65歳以上になり仕事から離れてはじめている。企業にとって、現在残っているベテランの技能を伝承すること、それを受け継ぐ若手の確保をすることは喫緊かつ極めて重要な課題なのだ。

一方、賃金の高いベテラン層が減少し、賃金の低い新人が入ってくれば人件費全体には余裕ができてくるその余裕分を新人の獲得や中堅層の確保とやる気の引き出しに振り向けるのは企業として当然かつ合理的な判断だ。人材が確保できなければ、ほとんどの事業は成り立たない。

昨年の消費増税で停滞している経済が回復軌道に再び戻るかどうかは、政府の景気対策の効果がどの程度かということもあるが、春の賃上げがどうなるかは今後の景気動向にも大きく影響する所得の目に見える増加は消費につながるだけではなく、景気の「気」も盛り上げるからだ。

団塊世代の大量退職で人件費に余力が生じた企業は、自らの経営環境を良くするためにも人材確保の意味からも、この春は思い切った賃上げを行うべきである。

(以上)

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