グラフとハサミは使いよう? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

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本ブログではよくグラフを使うが、妻に聞くとそんなものがあると余計に読む気がしないという。グラフだから分かりやすいと思うのは仕事やブログで使い慣れているからで、学校の数学で苦労しただけの妻のような人にはかえって抵抗があるのかもしれない。

また、グラフを分かりやすくすることと目的を持って意図的にデフォルメすることとは紙一重だ。
例えば次のグラフは、長期金利のちょっとした上昇を朝日新聞が「急上昇」と報じたときのもので、この時は多くの新聞が同じようなグラフを掲載していた。


このグラフのデフォルメのテクニックの一つ目は、全体が縦長になっていることだ。時間が横軸だから当然「上昇」が「急上昇」に見える。そして、もう一つのテクニックは金利を示す縦軸の最小値が「0」ではなく「0.8」となっていることで、これで金利の変動が非常に大きく見える。

ただ、これを最小値「0」で数年間にわたるグラフにすると当然短期の変動を読み取りにくくなるわけで、下手をすると何が言いたいのか分からなくなることもある。だからデフォルメが絶対いけないというわけではなく、グラフを見る側がそういう点を意識することも必要だ。

また、例えばGDPの推移を表す時に、金額で表すか前期比で表すかという選択がある。こちらも目的に応じて使い分けるのだが、これが四半期ごとのGDPになると、もう一つ「前同比(前年同期比)」が登場する。直前の期と比較するのが「前期比」で前年の同じ時期と比較するのが「前同比」だ。

例えば最近の経済成長率を前期比と前同比で表すと、次のようになる。


例えばエアコンが良く売れるのは夏や年末というように経済活動には季節変動がある。こういう時に、前年の同時期と比較してその1年間の成長率を見る(前同比)ようにするのである。ただ、例えば一年前に災害があってGDPが落ち込んでいたりすると、数値が大きくなってしまうということがある。

そこで、GDPの原データを元に季節調整値を算出したうえで前期比を導き出すということが行われる。マスコミが発表する実質GDP成長率というのは大抵この前期比だ。一方、一昨日発表された消費者物価指数などは、普通は前同比で発表される。インフレ目標2%というのもこの前同比である。

消費者物価指数にも季節性があって季節調整値も存在するが、あまり一般的ではない。普通は2010年を100とした指数(季節調整なし)を元に計算した前同比がよく使われる。

では、ここで消費者物価指数とその前年同月比(前同比)の2008年以降の推移を見てみよう。


指数だけを見ると物価は現在も下がり続けているようにも見えるが、前同比を見れば昨年4月以降の異次元金融緩和の効果が出ていることが分かる。物価指数の絶対値を見るのではなく、指数が上昇しているのか下降しているのか、そのスピードがどうかが問題なのである。

指数を見て100以下だからまだデフレなどという人がいるが、下がり続けているからデフレなのであって、100がインフレデフレを見極める物価水準というわけではない。
さて、そういうことを踏まえて最近の消費者物価指数の推移を示す次のグラフを見てほしい。


「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」の他、「総合」と「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」の推移が示されている。これを見ると総合とコアCPIは100以上に上がっているがコアコアCPIはほぼ横ばいに見える。

しかも数値は100以下だから、これを見て「現在はまだまだデフレ状態だ」と思う人も出てくる。

実は、このグラフは三橋貴明さんの昨日のエントリで使われたものだが、実際そうコメントしている人がいる。これを見て、あなたはどう感じるだろうか。
しかも、三橋さんは以前のエントリでは次のようなグラフを使っている。


三項目とも明らかに下がり気味だった時には前同比で示し、上昇に転じている現在は指数でグラフにする。おそらく無意識だと思うが、結果的にはミスリードになるのではないか。現状がデフレ状態かどうかは議論の余地はあると思うが、コアコアCPIもプラスになっていることは事実なのだ。

また、三橋さんは政府が相変わらずコアコアCPIコアCPIで見ていると批判しているが、次の官邸の資料を見たことがないのだろうか。


経済財政諮問会議では黒田日銀総裁も出席している場でコアコアCPIも配慮することが確認されており、この資料でもコアコアCPIの方を太い赤線で示している。明らかにコアコアCPIの方を強調しており、この指標を注視するべきことはきちんと認識しているのである。

かつて三橋さんは、経済指標やデータを見る際に必ず留意するべき「三つの原則」として次の三つを挙げている。

  ■ 割合で見る(絶対値で見ない)
  ■ 流れで見る(瞬間で見ない)
  ■ 相対化する(他者と比較をする)

そして、データ分析の際には上記「三つの原則」と共に次の「二つの視点」が必要だと強調してきた。

  ● 多面的な視点
  ● ブレイクダウン(細分化)の視点

しかし、最近の三橋さんはこれらの原則や視点を忘れてしまったのだろうか。データ使った分析は影を潜めているし、使ったとしても自分の結論に沿ったデータの使い方をしてしまっているのではないか。
ぜひ、これらの原則と視点を我々に示してくれた原点に戻ってほしいと強く願う。

(以上)

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