「金融政策」と「財政政策」は切り離せない | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

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三橋さん・藤井さんたちと上念さん・倉山さんたちは、どちらも財政破綻論には与せず、デフレ不況からの脱出には「金融政策」と「財政政策」がセットで効果が上がることも認めている。ところが、どちらがより有効かの議論がエスカレートして、お互いにウソだ詭弁だと言い合い合っている。

その論争の中心になっているのが「財政政策」における『マンデル=フレミング・モデル』であり、「金融政策」における『ブタ積み論(日銀がマネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えない)』だ。そして、そこに挑発的な言葉や言い回しが挟まるから、周りもますますそれに煽られる。

私は財政政策と金融政策のどちらが有効か良く分からないが、政策の結果がどのような形で実際の経済に表れるかは消費者や企業、さらには市場の「気」次第だと思う。2012年11月に衆議院の解散が決まったとたんに為替や株価が反応したのは、まさにその「気」が変わった結果だと考える。

これは解散前から三本の矢を訴えていた安倍総裁の発信力によるもので、実際に第一の矢と第二の矢が発動したのは翌年の春になってからだった。この「気」を高めた主因は金融政策だと思うが、安倍総裁が選挙の第一声で国土強靭化に触れた途端に出遅れていた建設関連の株価が上がったのは第二の矢への期待であり、やはり「三本の矢」だったからこそアピール力が大きかったのではないか。

さて、例えば小渕政権下で財政出動があった時に『マンデル=フレミング・モデル』が適用されるのかとか、小泉政権下の量的緩和では『ブタ積み』が起きていたのかが論争の種になっている。そこで、1996年以降の公的固定資本形成とマネタリーベースの推移(前年同期比)をグラフにしてみた。
(尚、棒グラフの幅が妙にばらついているのはグラフ作成上の都合によるので無視してほしい。)

まず、小渕内閣当時を見ると、消費増税後の景気後退を受けて平成10年度補正予算を2次(10月)3次(12月)と立て続けに成立させて財政出動を実行している。ところが、その時期に日銀はマネタリーベースの増加率を急に落としている。そして、その時の消費者物価や為替は次のように変動していた。

消費者物価が下がり円高が進んでいるのに、日銀はマネタリーベースの増加率を上げるどころか逆に急激に落としている。おそらく短期間に集中した国債増発の影響だと思うが、日銀はそれに対して適切な対応を怠ったのだ。しかも、財政出動も僅か3四半期で中途半端に終わってしまっている。

このように、小渕政権の経済対策は日銀の金融政策との連携が出来ておらず、財政政策も短期で終わってしまった。その結果GDPは一時回復したが、為替は円高に振れ、物価の下落も止まらなかったのである。つまり、財政政策は不十分で、日銀はその役割を全く果たさなかった。

次に最初のグラフに戻って小泉政権時代を見ると、かなり思い切った量的緩和を実施する一方、公共投資は大幅に減らし続けている。その結果、いわゆるいざなみ景気となるのだが、世界的好景気で輸出が伸長したことを考えるとこの政策が大きな効果を挙げたとはとても言えない。

だから金融緩和はあまり効果がなかったという評価があるし、私も最近までそう考えていたが、これだけ緊縮財政をしていたことが足を引っ張ったと考える方が自然だ。私には定量的に評価する知識も能力もないが、このグラフを見ると公共事業がせめて横ばいだったらなあと思う。

そして、リーマンショック後の麻生政権の財政出動も小渕政権時とよく似ている。小渕総理は病に倒れ、麻生政権はマスコミに誘導された間違った民意で倒された。その結果財政出動が中途で終わってしまったし、その間日銀が少しも機能していなかったことも同じだ。

そういう過去の失敗を踏まえて金融政策と財政政策をセットで進めているのがアベノミクスだ。このセットに成長戦略も加えた『三本の矢』として強いメッセージを打ち出したことが、ごく早い段階から市場や企業、消費者の「気」を高め、それが経済指標の改善につながった。

ただ、今回の景気対策には、以前にはなかった消費増税や公共事業の供給制約という阻害要因がある。ここまでは順調に進んできた経済対策が、今後これらを乗り越えてデフレ脱却から自律的な経済成長につながるかがこれからの課題であり、重要な論点だろう。

そういう時期に、既に効果が出ていることは明らかな金融政策と財政政策のセットを切り離して批判し合うのはアベノミクスの成功を望まない勢力を喜ばせるだけだ。いま必要なのは阻害要因にどう対応するかの具体策であり、挑発的な言葉の応酬ではない。

(以上)

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