消費増税は自殺者を増やす? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

(お詫びと訂正)
文中の消費者物価の推移を示したグラフの数値は前年同月期なので、97年4月に上がった物価が98年4月になっても同じ水準なら0%になります。ところが、物価そのものが元に戻ってしまったと勘違いしてしまいました。
そこで、文章を次のように訂正します。

誤)
『モノが売れなくなれば値下げをしてでも売ろうとするのも当たり前で、年度替わりの98年4月になると価格は増税前の水準に戻ってしまう。』

訂正後)
『モノが売れなくなれば価格を上げるどころではなくなり、年度替わりの98年4月になると消費者物価は前年同月比では元の水準に戻ってしまう。つまり、緩やかなインフレは終わりをつげ、ここから長いデフレに突入することになった。』


前回のエントリで、97年の消費増税による景気への影響は、駆け込み需要の反動が次の四半期には戻ったから一時的だとする増税派の主張に反論した。増税による実質賃金の低下は民間消費や投資を冷やしたし、同時に公共事業が削減されたことから、年明けの98年から影響が大きくなってきた


そしてその影響は、経済的指標の悪化だけではなく、自殺者の急増という最悪の形で現れたのである。




この件に関しては過去何回か論じてきているが、増税から約1年過ぎてから自殺が急に増えだした理由について、もう一度考えてみたい。

まずは、増税前後の自殺率(10万人当たりの自殺者数)の推移を見てみよう。




猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』




97年から98年にかけて約1.5倍、人数にして年間約1万人増加して3万人台となった。その後その傾向は続き、昨年やっと2万人台に減少するまで15年間も続いたのである。

尚、上記のグラフに『自営者』を挙げているのは、この層の増加率が最も高かったからだ。




猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』




有職者と無職や学生に差があるのは当然ともいえるが、それにしても激しい増え方である。なかでも自営者や勤め人にとって極めて厳しい変化があったことを感じさせる。とはいえ、それ以外の層も大きく増加しているわけであり、日本全体の空気が一気に悪化したことを感じさせる。





これにはもちろん、アジア通貨危機や北海道拓殖銀行や山一証券の破たんをマスコミが大きく取り上げ、不安を煽ったことなども大いに影響を与えたと思うが、ここでは、違う視点から98年の自殺急増の要因を探ってみたい。まず、最初に消費者物価の動きを見てみよう。




猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』


黄色のコアコアCPIに注目すると、97年4月には増税分のかなりの部分(1%くらい)が消費者物価に反映されていることが分かる。しかも、97年の後半にはさらに物価は上がっている。当時は現在のようなデフレではなく、まだ物価というものは緩やかに上がるものという感覚があったからだろう。




しかし、昨日も説明したように、97年10-12月期になると、一時回復したかに見えた消費が減り始める。勤労者の実質賃金が4月から下がっていたのだから当たり前だ。モノが売れなくなれば値下げをしてでも売ろうとするのも当たり前で、年度替わりの98年4月になると価格は増税前の水準に戻ってしまう




ここで容易に想像できるのは、価格を下げるためには仕入れ値を下げる必要があり、仕入れ先への値下げ要請が始まるということだ。この段階で中小零細企業を中心に、消費税分の価格値下げをさせられる企業が続出したことだろう。物価の変動は、そのようなことの結果なのである。





そして、値下げの時期は納税時期(3月)でもある。特に赤字かぎりぎりで頑張っている企業でも納付の義務のある消費税は経営に重くのしかかる。しかも、そういう企業ほど、金融機関の貸し渋りや貸しはがしの対象になるから、経営者は追い詰められるし、倒産に追い込まれれば失業者が増える。





猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』



企業が倒産せずに済んでも、景気が悪くなれば失業者は増える。企業が価格競争に転換し、コストダウンを追求すればするほど、失業者は増え、コストの安い非正規雇用者が増える。そういう、環境の激変があったのが、97年後半から98年だった。増税の影響は当初の一時的なものだけではなかったのである。




今回の増税では、前回のような失敗は決して許されない
アベノミクスが腰折れして景気回復の見込みが吹き飛んでしまえば、また大勢の自殺者が出る先に希望があれば人間は頑張れるが、その希望が消えればどうなることか。




どうしても消費税を上げるのであれば、タイミングにも実施方法にも、細心の注意を払う必要がある。引き上げを延期したら、国債の信認がどうとかの虚言は無視して、経世済民の観点で安倍総理が適切な判断をしてくれることを期待したい。


(以上)



クリックしていただくと励みになります


もしよかったら押してください ↓↓↓                   


                   人気ブログランキングへ