「TPPはとんでもないが交渉には参加」本音が見えない安倍総理 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

先日のTPP交渉参加の記者会見を見ても、安倍総理がTPPに関してどんな認識を持っているかが分かりにくい。多くの人が指摘しているように、いつもの安倍総理らしくなく官僚の作文を読んでいるようなところがあるからだ。どこまでが本音なのか建前なのか。


それに関して、TPPには明確に反対している西田昌司議員が、雑誌『新潮45』の3月号で安倍総理の生の声を伝えてくれている。西田さんは、TPPやその他の新自由主義的な政策をとらない様に安倍総理にお願いした時の様子をこう話している。


安倍総理はこうおっしゃるわけです。
「西田君、そのとおりだよ。TPPはほんとに学べば学ぶほど。これはとんでもないね。だから、私としては、いわゆる金融資本主義に巻き込まれたりすることは絶対断固として反対だ

 さすがだと思いました。さらに、「私は、『瑞穂の国の資本主義』をつくりたいのだ。アメリカは何でも市場化して、競争で勝った者を肯定する社会だけど、われわれ日本の国民は、はるか古(いにしえ)より、米をつくってきた。米をつくるには、親戚一同みなが、ときに村全体が協力し合う必要があり、これが日本のコミュニティを創りだした。これを守る仕組みを片方に置いておかなければだめだ。そういう瑞穂の国の資本主義をわれわれは目指すべきで、それはまた、日本型の資本主義が成功すれば世界のモデルにもなれるということだ。だから、私が、再度、総理になるときはそういう新しい国を創りだす政治家でありたいのだ」

 なかなかいい話でしょう。さすがに安倍総理は考えておいでだと思います。

 ただ、そう言いながら、やっぱりこれ、難しいのは、政治だから(笑)。僕なんかは、大きな全体像に目が先に行きますが、宰相ともなれば、同時に、マクロを俯瞰しミクロを凝視していかなあかん。
(新潮45 3月号 『徹底討論 安倍総理の「覚悟」は本物か』 より)


「TPPはとんでもない」「金融資本に巻き込まれたりすることは断固反対」を、ぱっと読むとTPPには断固反対のような感じだが、実はそうでもない。日本をアメリカ式の社会にしてしまうようなことには断固反対でも、TPPそのものを完全否定しているわけではなさそうだ。


西田さんは「やっぱりこれ、難しいのは、政治だから(笑)」と、安倍総理がTPPには絶対反対なのに、政治的な妥協でやむを得ず推進派に合わせているように述べている。しかし、総理の話からは、TPP交渉の中で必要な条件を勝ち取ればいいと考えているようにも思える。


そしてそれは、「日本型の資本主義が成功すれば世界のモデルにもなれる」という言葉に表れている。交渉しだいで、安倍総理がイメージする「瑞穂の国の資本主義」は十分守れると考えているようなのだ。そして、その瑞穂の国の資本主義は思ったよりも構造改革的なのかもしれない。


西田さんは、安倍総理に構造改革路線はダメだと進言したときのことをこう話している。


 ところが、小泉内閣の構造改革というのは、今おっしゃったように、完全にアメリカからの『年次改革要望書』に端を発したような対米従属路線だった。そこの整理ができていません。「官から民へ」のスローガンで行われた「郵政民営化」や公共事業の減少という、今のデフレのもとを作った小泉構造改革路線の総括がほとんど出来ていない。ですから、私は安倍総理に。絶対に構造改革の整理をするべきだし、特にその象徴である竹中平蔵氏は使うべきでないと、何度も申し上げてきた


 ところが、これまた妙な話で、私が、そう申し上げると、安倍総理は、「西田君、そう言うけれどね、実は竹中さんは公共事業反対じゃないんだ。反対していたのは小泉さんで、竹中さんは反対じゃなかったんだよ。彼は経済学者だからね、そういうことはわかっている。と。「そうですかね、どうも信用できません」と言ったところ、「それじゃ一遍話を聞いてみなさいよ」となって、実は、竹中さんを我々の勉強会にお招きしたのです。


しかし、その席で竹中さんは、「今はデフレ脱却だから。まず日銀にお金をどんどん刷らせる。そして、更なる金融緩和をしなければならない」とおっしゃるので、私が、「ちょっと待ってくください。それは確かに重要なことかもしれないけれど、今、需要がない状態なんですから、まず需要創出で、公共事業を出すべきじゃないですか、財政出動すべきじゃないですか」と問うと、「いや、そのとおりだ。西田先生がおっしゃるとおりです。今はどんどん出せばいいんです」と、切り返される。そうすると、私も何か肩透かしを喰った感じで、「あなた、以前は違うこと言っていたじゃないか」と、まぜっかえそうとも思いましたが、今は正しいことを言ってくれるなら、「まあ、ええか」と黙りました。
 で、安倍総理は、「西田君、竹中さん、ちゃんと公共事業やれと言ってるだろう」と。


(中略)


私は、安倍総理にも、随分、構造改革路線はだめですと申し上げましたが、「西田君、そう言うけれど、構造改革がすべて悪いわけじゃない。要するに、田中派の支配、アレはおかしいだろう。それで日本はやっぱりゆがんでしまった。そこを正すためには必要だったんだよ」と。そういう捉え方をされてます。
(新潮45 3月号 『徹底討論 安倍総理の「覚悟」は本物か』 より)


確かに構造改革でも、規制緩和でも必要なものはある。しかし、この話から伝わってくる限りでは安倍総理の考え方は、明らかに西田昌司氏より構造改革的だ。市場原理主義ではないが、守るべきものさえ守れば自由貿易は当たり前だと考えている感じがある。


安倍総理は、以前から自らを自由貿易論者と言っており、いままでそれを隠してきたわけでもなんでもない。しかし、「瑞穂の国の資本主義」という言葉から、当然TPPには反対するだろうと、こちらが勝手に考えてきたのとはちょっと違う認識を持っているようなのだ。


昨日も触れたように、安倍総理は.「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」ことや、国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を踏まえるとの、国民との約束は必ず守ると述べている。その言葉にウソはないはずだ。


いま見えている安倍総理の立ち位置は、TPP慎重派と推進派の中間辺りだ。それは、多数派を形成することを重視しているからか、そもそも考え方がそうなのか、どうにもはっきりしない。やっと登場した救国内閣の総理大臣は、誰にもその本心を見せられないのである。

(以上)


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